学級づくり6月【子どもが落ち着くスモールステップ作戦】

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目次

6月号 ステップ1

はみ出しそうな子は保育・授業に巻き込みましょう

はみ出しそうな子は、立ち歩く子じっとしていられない子文句(主張)の多い子学習が苦手な子など、どのクラスでも少なくありません。
変に目立つことでアピールする子もいますね。
どの子も自分を一番かまってほしいのでしょうね
例えば、小学校高学年、荒れているクラス、算数の時間、教科書の文章問題は内容が味気なくて、魅力的な文章が少ないので、子どもがあまり集中しません。
そんな時は、その場で文章問題を即興で創作します。
ようするに、ラーメン屋さんに行って・・とか、マクドに行って・・とか、トイザらスに行って・・とか、誕生パーティーをして・・とか、ディズニーランドに行って・・とか、ニューヨークに行って・・とか様々です。
そこに、いろんな食べ物など、はみ出しそうな子も含めて、子どもたちが瞳を輝かせそうなものをからませた内容の文章問題を、即興で創作して板書するのです。
そして、文章問題の登場人物が5人必要なら、クラス中から希望を募って黒板に書き込みます。
はみ出しそうな子らは、ほぼ全員乗ってきます。
本人たちもけっこう楽しそうで、
「次の問題〔誕生パーティーで・・〕の登場人物になりたい人、6人」
と授業者が言うと、
はみ出しそうな子も挙手をしてくれて、バンバン指名して、黒板に名前を書いてあげると、大喜びしてくれます。
邪道としかられるかも知れませんが、他に方法のない状況のクラスもあるのです。
もちろん、いつもって言うわけにはいきませんが・・。

カリカリしている子は自分が責められてると感じやすい

トラブル発生、先生の第一声のトーンは高くなります。
教室の緊張感が高まり、関係ない子も、びびります。
こら、どうしたんや
何やってんのや
なんでやったんや
いきなりこう言われると、火に油、プチッと切れてしまいます。
大きなトラブルを起こした当事者の子は、まだカリカリ・プンプンしている状態ですから、なおさらです。
ぼく(わたし)だけが責められている
どうせ・・・
と思い込んで、よけい心を閉ざしてしまうでしょう。
だから、メッセージは短く伝えます。
どうしたの?」
何かイヤなことがあったんか?」
誰にイヤなこと言われたんや?」
その子なりの言いぶんを言葉で語ってくれ始めたら、興奮の沸騰状態は、とりあえずストップできるといったところでしょうか。
あとは、個別にじっくりと聞いてあげてください。

6月号 ステップ2

省略

6月号 ステップ3

徒党を組んで、のし歩くグループができた時は

6年生男子の中に、学級を超えて(4学級)徒党を組んで、のし歩くグループができてしまいました
約10名で、なかなか手強いメンバーがそろっていました。
全校の子どもたちもびびっていました。徒党を組む時の目つきも、日に日に険しくなっていきました
「これは、なんとかしなければ」
と、学年部の教師集団で話し合い、職員会議でもOKをもらって、『8513プロジェクト』というものを発足させたのです。
つまり語呂合わせで、「はんごうすいさん」→「8513」という暗号です。
ふざけてなんかいません。本気です。一か八かでした。
グループのメンバーと学年の教師だけの秘密で、そのプロジェクトは進んでいったのです。
6月のことでした。

このグループを飯ごう炊さんのリーダーに育てるぞ

まず、6年生全体160名で飯ごう炊さんをしたいが、どう思うか、メンバーの子らに昼休みに聞きました。
中心メンバーの子らが
「暇やし、おもしろそうやで、やってもいいで」
と乗ってくれました。さらに、
「きみたちに各クラスのリーダーになってほしいんや」
と頼みました。すると、
「俺らでええのなら、やったるで。でも、やり方、知らんし・・・」
と答えてくれました。
そこで、昼休みを使って、3週間ほどの取り組みを『8513プロジェクト』メンバーで準備することにしました。
しばらくの間は秘密作戦ということで合意しました。

作戦会議をして、火起こし等飯ごう炊さんのノウハウを、教師がメンバーに伝授する。
→飯ごう炊さんの練習(2回おにぎり)で、メンバーはほぼマスターして自信をつける。
→学年集会で『8513プロジェクト』の提案をメンバーがする(学年のみんなも賛成)。
→メンバーが各学級で6年生全員に「プロジェクトだより」を配布しながら説明(6回)。

1学期最大の学年の取り組みとして、市内の近場のキャンプ場まで6年生160名が自転車で移動し、保護者の有志の皆さんや、教務部の先生方の協力も得て、なんとか無事に「飯ごう炊さんカレーライスづくり」は成功しました。(ホッ)
取り組みが進むのと比例して、『8513プロジェクト』メンバーの表情が和らいでいきました
この子たちはエネルギーを持て余していたのかも知れません。
飯ごう炊さんのコツを各クラスの各班で説明する時の、彼らの顔は自信に満ちあふれ誇らしそうでした
おまけは、メンバーの一人が「松ぼっくり」を拾ってきて釜戸に放り込んだことです。
新聞紙を使わずに、「松ヤニの油で火起こしがスムーズにいく」ことを、発見してくれました。
即、全メンバーに伝達、バッチリでした。
その後、あのグループ化は、何だったんだろうというぐらい、落ち着いていきました。
その数年後、6年生4学級のうち、1学級が極めてしんどい状況になった時は、この作戦を今度は1学級でチャレンジしてもらいました。
気にしていた子らが輝く時間をつくることで、学年全体も落ち着いていった事例でした。

6月号ステップ4

学校・園のトイレでウンチをできる子がいないぞ!

学校・園のトイレでウンチをした子が冷やかされました。
H君(2年)が昼休み、学校のトイレでウンチをしたら、同級生が3人いました。
「やーい、H君、ウンチしてた。ウンチ、ウンチ~」
と冷やかしました。
知らせを聞いた担任の先生が、3人を指導しました。
でも、H君の心は晴れません。
5時間目、担任の先生は教室で、
「ウンチしない人はいない。ウンチをしなかったら・・。先生も、キムタクも、イチローも、みんな・・・ウンチするで。」
と、ウンチをすることの大切さを話しました。

そして、二つの日記を読みました。

『 がまん(2年男子)
学校の帰りにあるいていたら、ウンコがしたくなった。
がまんしてはやあるきで帰った。
おならもしたくなって、おならだけした。
ウンコはしなかっ た。
でも、ウンコがもれそうになった。
ぼくはいそいで、はしって帰ったよ。
いえに ついて、うんこをしたらすっきりした。』

『 ウンコ(6年男子)
給食のあと、ウンコがしたくなった。
学校がおわるまで待ってよ と思った。
待っていた。
したかった。
帰る時、「ウンコしたい」と、I君に言った。
走って帰ろと思った。
I君も走ってきた。
にげたら、こけた。
走ったら、よけいウンコがしたくなった。
こけた所もいたいし、ウンコもしたかったので、たまらなかった。
家についた。
やっとできると思って、便所のドアをあけた。
すぐウンコのかまえをした。
でも「ブリッ」と、おならの音がしたら、ウンコがしたくならないようになった。
おならやったら、学校でしたらよかった。』

H君も少し落ち着いたでしょうか。学校・園でウンチをする子がいないのは、冷やかされることと、家のトイレが洋式で和式トイレがイヤだという、二つの理由があるようです。

翌日、2年生の全4学級では朝の会で
【おはスタ】『デカいの体操』(テレビ東京の朝7時頃の子ども向け番組で流行っていた体操)をしました。(全国的な問題だったからTVも取り上げたのでしょう)
どのクラスも、ビデオを見ながら楽しくできました。H君も笑顔で踊っていました。
デカいの体操、和式トイレをこわがるな~
ドアあけて ドアしめて 便器またいで ねらいをさだめろ ロックオン
いくぞ~」→「お~
ぬいで~」→「ぬいで~
しゃがんで~」→「しゃがんで~
ブリッと~」→「ブリッと~
ふいて~」→「ふいて~
はく~」→「はく~
しっかりながして~」「しっかりながして~
バイバイコーン」→「バイバイコーン
手を洗うのも忘れるなよ
それじゃ いくぞ~ せえの」→「学校でデカいのしてわるいか~

子どもの言いぶん「先生、そんな言い方しないで」

図書館で『先生、そんな言い方しないでください』という本に、目がとまりました。
小4~中学生~高2の子どもたちの生の声と実体験を集約されたようです。
本書を読まれることをオススメしましが、一部だけ紹介させてください。

  • いつもの授業を大切にして!(授業参観や研究授業と同じレベルの授業は?)
  • 遅刻した生徒には、まず「何かあったか?」と気づかって!(いきなり頭ごなし?)
  • 前にいた学校(学年)の成績と比べて、ぼくらをけなさないで!(へこませたいの?)
  • 一部の生徒にウケるからって、生徒(特定の子)をからかわないで!(泣いてるかも?)
  • 生徒が用事を引き受けてくれたら「ありがとう」ぐらい言おう!(役に立ったの?)
  • 採点ミスを生徒が言ってきたら、気持ちよく対応して!(見るより先に疑いの言葉?)
  • 「いじめられてる」と訴える生徒には、とにかく話を聞いてあげて!(「後で」なの?)
  • 部活の試合で負けても、生徒に感情をぶつけないで!(一番くやしいのは、先生なの?)
  • 生徒の呼び方には、差をつけないで!(嫌われてる?ひいき?誤解の元になるのでは?)
  • 「おまえのせいで」とは、どんな時でも言わないで!(ぼくってクラスの邪魔者?)
  • 上級生やこわい先生をダシにして、しからないで!(おどしているの?)
  • 「この問題は、できて当たり前」と、軽く流さないで!(できて喜べた子の気持ちは?)
  • 授業に遅れて来たら、まず理由を説明して!(そのひと言がなくて、尊敬できますか?)
  • 保健室に行きたいという生徒を疑わないで!(体や心がつらいのに、信用できないの?)
  • 生徒の質問に答えられなかったら、いつ答えるか約束して!(他の話でごまかすの?)

以上、ぱっと目にとまった言葉を抜き出してみました。
小学校4年生から高校生までと書いてありましたが、上記の15個のお願いのうち、13個は中学生からのお願いでした。
他山の石として、お互いに、わが身をふり返ってみましょう。
そして、ハッと気づくことができた先生は、教師として成長していけるはずです。
子どもから見て、安心感と信頼感のある教師として。

技術で持つのは最初の10分だけ

以前、三谷幸喜さんが新聞の連載で、女優の吹石一恵さんについて、次のような文章を書いておられました。
『‥本番でもセリフは飛ばすわ、出番を間違えるわ、自由自在。
初舞台だから大半のことは大目に見るつもりではいるが、
初日のカーテンコールの時、
決められた方向と逆に、1人だけ平然と去って行った時は、さすがに頭を抱えた。
だがその度に、楽屋に戻ってきて落ち込む彼女は、とてもチャーミングだ。
舞台で必死に演じる彼女を見ていたら、
「役者が技術でなんとかなるのは最初の10分だけ」
という、つかこうへいさんの言葉を思い出した。
結局、観客は俳優の人間性を見るのである。
その人がどんな風に生きてきたか、舞台で物を言うのは、そこなのである。
舞台女優としての吹石一恵さんは、経験もないし、芝居だってまだまだ粗っぽい。
それでも彼女は光り輝いている。
「演じる」ことにひたむきな彼女の姿が、観る者の心をつかむのだろう。
池袋の芸術劇場での千秋楽。
3週間近い公演を終えた彼女は、さすがに慣れてきた様子だった。
お客さんの前で深々とお辞儀をする姿には、長年舞台をやってきたような風格さえ漂っていた。
と思ったら、袖に戻る時、ぞうりが脱げてしまうという、あり得ないハプニング。
やはりあくまで吹石一恵は「新人大女優」なのです。』

私は、舞台が教室、本番・「演じる」が保育・授業、楽屋が職員室、吹石一恵さんが新米先生、俳優・女優が教職員、観客(観る者)・お客さんは子どもたち、などなど、ついつい学校・園に置き換えて、読んでしまいました。

6月でなくても、教育は気づいた時がスタートです。さあ、よーい、ドン!

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