先生Q&A 〜ベテランの先生に聞いた未来の先生の疑問・質問 No.2〜

GOOD!
11398
回閲覧
16
GOOD

作成者: EDUPEDIA編集部 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

EDUPEDIAは現役の先生だけでなく、将来の教育現場を支える教育実習生も応援しています。実習生は将来教壇に立つべく日々勉学に励んでいらっっしゃいます。そんな未来の先生たちには先輩の先生に聞きたい疑問や質問が多くあることと思います。そうであるならEDUPEDIAがその疑問を集め、先生方に回答いただき広く公開することで未来の先生の支えになりたい。そういう思いから、元・小学校教諭で現在大学非常勤講師(教職課程)でいらっしゃる滋賀のタカブーさんに協力いただいて本Q&Aを作成いたしました。ぜひご覧下さい。

また、本記事に記載されている内容はあくまで一つの答えに過ぎません。他の異なる答えをお持ちの方がいらっしゃいましたら、未来の先生のためにコメント欄にて提案をして下されば幸いです。

2 同僚の先生や保護者に関するQ&A

Q 他の先生との関わりで気をつけていることはありますか?

Answer

人間ですから、誰だって長所も短所もあります。A先生は全体への指示が的確、B先生は1人ひとりへの配慮が細やか、C先生は授業の発問がわかりやすい、などと同僚1人ひとりの長所に注目するように心がけると、学ぶところがたくさんあると思います。短所を見つけるのは誰でもできます。子どもの長所を見つけるのが教師の仕事ですから、同僚に対しても同様に関わると、自然としなやかな関わり方ができるのではないでしょうか。腹の立つことがあれば信頼できる同僚に相談してみましょう。基本は、「おはようございます」「教えてください」「お願いします」「ありがとうございます」「すみませんでした」「お先に失礼します」「お疲れ様でした」を忘れずに言うことです。

Q 保護者と上手くやっていく、秘訣などはありますか?

Answer

いつも、保護者と出会ったら、
「◎◎君はやんちゃですけど、ええ子ですね」
「△△さんはおとなしいけど、ええ子ですね」
という会話の入り方をしたいですね。保護者から相談・苦情・抗議を受けた時、私たち教師はすぐ即答しようとしてしまいます。まずはひと呼吸置きましょう。この保護者は「どうしたらいいの?」と訴えながら、同時に家族にも、親戚にも、地域でも、誰もわかってくれない、認めてくれない、自分の子育て(現在進行形)の苦労をわかってほしい、自分の子育てが基本的にどうなのかを認めてほしい、という言葉の裏側にあるヘルプも出しておられるのではないか、というふうに受けとめましょう。ひょっとすると、孤独・不安・イライラ・ストレスを抱えておられる場合も、少なくないでしょうね。言いかえれば、保護者が発するどの詰問・怒り・要求にも、
「私の子育ての「いっぱいいっぱい」の苦労と努力に共感してほしい」という願いがあると思いましょう。つまり、教師・養護教諭・保育士が対応する「最初のひと言」も即返答をしては絶対ダメ!だということですね。

まずは、
①保護者が相談してくださったことにお礼を述べる(信頼度0なら来られません)
②保護者の今回のご苦労をねぎらう(ウーンと心をこめて)
③保護者の子育てのよい点を具体的にほめる(お世辞ではダメ)
④保護者の気持ちに共感する(具体的な言葉と表情とまなざしで)

以上のように向きあえば、保護者と手と手をつなぐ連携ができるのではないでしょうか。スポンジみたいにいったん吸収してから応えるという感覚で相手をすることで、保護者自身も子育ての苦労が報われた、相談してよかった、自分の子育てにもいいところはあったんや、というホッとした気持ちになれます。そうすれば、そこでプラスαのアドバイスをくれた先生への信頼感も増すはずです。

大人でもそうですから、「先生・・」と言ってくる子どもに対しても同様ですね。世の中は、社会全体が防犯「監視カメラ」に囲まれています。親も子どもも先生も、人の「監視カメラ目線」に囲まれているのは居心地がよいはずありません。せめて子どもと接する時、親から苦情を受けた時、同僚から相談を受けた時には、「共感カメラ目線(上から目線の反対)」で応対してあげることが、今の時代(○か×かの結果を素早く求められる時代)の「基本中の基本の姿勢」だと言えるでしょう。
私は自分で忘れないために「保護者対応:はじめの4歩」と呼んでいます。

そして、忙しい時こそ、忘れてはならないのが、次の2つです。

◎電話ですますと、誤解が伝わる。
◎足を運ぶと、誠意が伝わる。

私の数々の失敗と、わずかな成功から、得た教訓が、この2つなのです。

3 先生ご本人にに関するQ&A

Q 1日の時間の使い方、とくに授業が終わったあとの時間はどのように使っていますか?

Answer

1時間目・3時間目・5時間目の後は5分しか休み時間がないので、子どもと会話する程度です。トラブルがあったら長引くケースもあります。2時間目の後は20分間の長休み(中休み)ですから、若い頃は子どもたちと運動場で遊びました。年を重ねると子どもの相談に乗ったり、同僚の相談に乗ったり、臨時ミーティングをしたり、全校児童900名以上(28学級)への配布物の印刷をしたりする貴重な時間でした。昼休みも同様です。6時間目の後は、帰りの会・学年集団下校を終えて、学年主任などをしていると、月曜日に運営委員会、水曜日に職員会議・校内研究会、金曜日に学年会を2時間ほどします。そうなると、教材研究や教育事務に使える放課後があるのは、火曜日と木曜日だけという忙しい週も月2回はありました。いずれにせよ、時間を見つけてノートの点検やテストの丸つけをてきぱきこなしていくことが求められます。

加えて貴重だったのが朝ですね。前日の夕方が出張等で学校に戻れず、夜に作った教材(ワークシート・プリント)は翌日の朝、教頭先生が出勤される頃(まあ、始業1時間前ぐらい)に自分も出勤して、印刷機を独占したことも少なくありません。他の同僚が出勤する前ですから、仕事のはかどる貴重な時間帯です。と言うより、仕上げなければいけないので、職員室の電話が鳴ったら教頭先生を拝んでいました^^。

Q 辛いとき、やめたいと思ったときの乗り越え方をお聞きしたいです。

Answer

私の場合は子どもの日記に返事を書くことを習慣(隔日)にしていました。それは、クラスの子ども1人ひとりを嫌いになりたくないからでした。クラスに40名いたらどの子も好きでいたいからでした。教師も人間ですから、子どもに腹が立つこともあるし、言い過ぎて嫌われることもあります。でも、日記に返事を書く作業をしていると、どの子とも、1対1で真正面から向き合うことができます。子どもに言い過ぎたり子どもを信じなかったりした日は日記の返事で謝りました。返事を1ページ書いたこともありました。日記のおかげで担任した子どもたち1人ひとり(延べ500名)を好きであり続けられらことが、私のモチベーションでした。(ただし、子どもが私をキライな場合はありました)

4 その他のQ&A

Q 自分の言葉で物事を話せるようになるにはどうすれば良いでしょうか?

Answer

今、NHKでは大河ドラマ「八重の桜」を放送しています。私は登場人物がしゃべる会津弁をたいそう気に入っております。会津弁だけではなく、登場する人々の鹿児島弁など、その土地その土地の言葉には何かしら心をひかれます。真似をしたいという意味ではありません。滋賀弁の私が東京の言葉をしゃべったら、とってつけたようで、自分の言葉とは言えないような気がします。つまり、北海道の先生は北海道の言葉で、沖縄の先生は沖縄の言葉で、東京の先生は東京の言葉で、子どもたちに語る時、子どもたちの心に届き、子どもたちの心に響き、子どもたちの心に残るのではないでしょうか。あわてず、落ち着いて、自分の気持ちを、かざらず、カッコつけず、子どもの心に届けようとなさるのがいいような気がします。うまく言えなくてもいいのです。たどたどしくていいのです。言葉につまりながらでいいのです。私は滋賀弁ですから「ほやから~しいやぁ」「ほんで~するんやろ」と、自分の内側から自然にわき出てくる話し方で語りかけました。上手に言おうと思わないほうが余計な緊張をしなくてすむのではないでしょうか。

Q 学生の時に「やっておけば良かった!」ということはありますか?

Answer

私の場合、学生時代に教育関係の本ばかり読んでいた記憶があります。授業では教師の人間性がもろに反映されます。ですから、教育関係だけではなく多様なジャンルの本を読み、多様な文化・芸術にふれておいたらもう少し人としての幅や奥行きを広げる土台ができたかなあと思っています。自分の時間が人生で最も多く持てる学生時代に、ほんのちょっとでも人間の幅と奥行きを広げるための多様な経験をしておけばよかったなあと、53歳の今になってつくづく思います。近年亡くなられた京大の数学者:森毅さんの流れ星のような「ひと言」を学生のみなさんに贈ります。

  • 「学びは人間関係の中に成立します。」 
  • 「ムリやムダを省いて答えを出そうという、効率主義の教育ではだめです。」 
  • 「分からんことを楽しむのも、立派な能力です。」
  • 「正しさは伝わりません。楽しさはうつります。」
  • 「学力低下が社会問題になってますが、本当に大事なのは、学力がなくとも何とかする力をいかに育てるかです」
  • 「今の教育で何より必要なのは、どんな不確定な変動にもツブシの利く人間を育てることでしょう。」
  • 「違うことはいいことだ。アハハって面白がってればいいのよ。」
  • 「失敗しても、またやり直したらええやんか。」
  • 「最近の人は、予定表に空白があると落ち着かへん「空白脅迫症」みたいなのが多いね。山登りでも、すぐ目的地へ行きたがる。僕は、山の上へ無駄なくいくより、谷の方でデレッとしてるのが好きなんや。そうするとね、シャキシャキしてたのでは見えないものも見える時があるよ。」
  • 「若いうちから、もっとムダせい、言うの。ムダがどれだけ身につくかで、教養が広がるんやからね。」
  • 「即戦力なんて、自分を食いつぶすからね。あんまり即戦力になると、時代が変われば途端についていけなくなるからな。時代の変わり結構早いからね。」
  • 「60パーセントぐらい幸せだったら、相当に幸せだと思うことにすればいいと思うよ。」

Q なぜ教師を目指そうとしたのですか?そして、教師になって何がしたかったのですか、成し遂げたいのですか。現場に入ってそれは実行できていますか。それとも現実は現場に入ると教育に理想を求めることは厳しいのですか?

Answer

理想を求めることが厳しいと感じるか、感じないか、先生方としゃべっているとどちらの方もおられますよ。たしかに教育を取り巻く環境には厳しい現実があるのは事実です。たとえば「地域に開かれた学校」が理想なのですが、不審者対策で「門を閉める学校」、中には「施錠せざるを得ない学校」が現実です。でもね、教師が夢を語ることができなくて子どもたちが夢を持てるか、と言われる先生だって、少なからずおられます。厳しい現実の中でもポジティブ・シンキングの精神を忘れず、ささやかでも夢を語り続ける、そんな教師でありたいものです。子どもたちもそんな先生にあこがれます。また、生活科、総合的な学習の時間、家庭科などで、地域の方々をゲスト・ティーチャーとして招き、地域の人との信頼関係を培う努力をされている学校が多いと思います。そこで、子どもたちが目を輝かせて、「こんな人になりたい」と思えるような、ステキな地域の方との出会いをさせてやりたいものですね。

教師を目指したきっかけは「こんな教師になりたい」と思う恩師と中学時代・高校時代に出会ったからです。にも関わらず、教員採用試験は小学校教員1本にしぼって挑戦しました。小学校の採用枠が多かったので、まぐれでもいいから合格する確率の高いほうにかけました。大学浪人と就職浪人で2年遅れのスタートでした。大学時代、子ども会指導員サークルに入っていたので、子どもたちといっしょに何かにチャレンジして、みんなで喜びを分かち合いたいという、漠然とした志望動機だったと思います。
昭和の終わり頃、詩の授業、百マス計算、歴史年表づくり、理科の仮説実験、合唱・オペレッタ、水泳1000m、三角倒立、版画、日記・文集、飯ごう炊さんなど、手当たり次第に挑戦しました。これらを、成し遂げたいことを実行したと言えるのかどうかはわかりません。ただ、子ども全員が共にやりとげた時の笑顔を見たかったし、たまには見ることもできました。

教員が目指すもの、成し遂げたいものには2通りあって、最初から成し遂げたいと思っている場合と、子どもたちといろいろやっているうちに、新たに成し遂げたいことが見つかる場合です。どちらが良いというものでもないし、今見つからなくてもあせることはありません。
 私が担任した教え子は、今20代半ば~40前後になっています。偶然の再会もあります。わが子が習い事でお世話になったり、仕事でわが家に配達してくれたり、わが子が職場体験でお世話になったりしました。店で買い物をしていて、ばったり出会って話すこともあります。保育園で親向けの話をした後「先生」と声をかけられたこともあります。同じ職場で共に同僚として仕事をした教え子も複数いました。
また、定期的にEメール・携帯メールでやりとりしたり、電話とか出会ったりして子育て等の相談に乗ったりすることもあります。もちろん全員ではありませんが、最初に担任した子らから最後に担任した子らまで、今なおさまざまな年代の皆さんとのいろんな形のつながりがあります。

なんか、教師って担任した子どもたちが大人になってからも、機会があればいろんな関わり方をさせてもらえる有り難さがあることを、今になって実感しております。担任したご縁で大人になった教え子たちから学ぶことも多いのが、教師という仕事だと言えるのではないでしょうか。

Q 授業経営や学級経営など、学校で仕事をする上で必要な能力をどのような優先順位でなにを身につければいいかを聞きたいです。

Answer

シンプルですが、やっぱり聴く(聞くじゃない)、話し合う(プレゼンじゃない)、読む、書く、でしょうか。そのベースとしては、下手でもいいから、いろいろな人とのコミュニケーションの体験を積むことです。そうして人に(ヘルプのお願いをして)頼ったり支えてもらうこと、また、その感謝の気持ちを心から伝えること、さらにボランティア活動で、人を支えたり頼ってもらったりすること、また、そこで人の思いを共感的に受けとめること、こうした体験があなたの人生をより豊かにする貴重な土台となるはずです。

Q 実際に先生になって気付いた、先生という仕事の嫌な部分が知りたいです。

Answer

教師ですから、どうしても「教えてあげたい」という気持ちが強くて、子どもの学びのペース(子どもの思い)を無視し教え込もうとしてしまいやすいことがイヤな部分です。そうなると、「せっかく教えてやったのに」という恩着せがましい態度が出たり、「ちゃんとしなさい」「しっかりしまさい」「さっき、言ったでしょ」といった子どものイメージしにくい言葉が出て、子どもとの距離が開いたり子どもとの信頼関係の糸が切れてしまったりして台無しになってしまうことがあります。これらは、教師の言動に起因する場合が大半であるにもかかわらず、そういう教師に限って子どものせい、親のせいにします。少なくとも、「先生」と呼ばれる人は「上から目線」にならないように、自ら戒めることができる人だけが「ほんまもんの先生」だと言えるでしょう。

Q 実際に先生として働きはじめてから、同じ先生として尊敬するようになった先生はいますか?

Answer

人の短所を見つけるのは、じつに簡単なことです。身近なところから、A先生は全体への指示がわかりやすい、B先生は子どもの気持ちをズバッと見抜く、C先生は授業の発問が具体的、などと同僚1人ひとりの長所を見つけることから始めましょう。そうしているうちにこんな先生になりたいな、と目標にしたい先生が見つかると思います。私の場合、大学のゼミで授業のビデオ撮りなどに東京から三重県の小学校へ2年に渡って訪問した時の先生を今でも深く尊敬してやみません。当時、三重県四日市市泊山小学校で高学年の学年主任をされていた石井順治先生です。国語の授業も、日記・作文指導も、合唱指導も、図工指導も、まれにみる優れた実践家ですが、いたって謙虚で、誠実な先生です。自らの授業をビデオに撮って再生しながら、自分の発問や子どもの発言への受けとめや、聞き逃しなどをふり返る作業をずっとされてきた・・・そんなこと、私などには真似すらできない先生です。(自分の下手な授業を、もう一度ビデオで見るなんて、情けないやら恥ずかしいやらでなかなかできることではありません。私なら、消去・削除します)

今でも、校内研究の講師が石井先生である学校の公開授業があれば、滋賀県から愛知県や三重県へ参観しに行っています。学ぶところの多い公開授業で、行ってよかったと、心底思います(ハズレはありません)。子どもを育てるのと同様に、教師を育てるということでも尊敬しています。石井先生が長年、学び合うフィールドにしてこられた「東海学びの会」のHPを見ると、「学びのたより」(石井先生の文章)のバックナンバーをいくつも読むことができます。タイトルを見て、読みたいナンバーを選べるので、私も時々閲覧しています。アドレスは以下のとおりです。

http://www.ne.jp/asahi/manabukai/tokai-kokugo/tayori/tayori-1.htm

5 おわりに

本記事は多くの方々にご協力頂いて完成させることができました。質問に回答してくださった滋賀のタカブーさんはもちろんのこと、twitter( http://p.tl/qWNU )を通じて質問を寄せていただいた大学生の方々のご協力がなければ本記事を書き上げることはできませんでした。この場を借りて厚くお礼申し上げます。

EDUPEDIAは今後もユーザーの方々に寄り添い、ニーズの高い記事を提供しつつアンケート等で交流を行いたいと考えております。その際はぜひまたご協力いただければ幸いです。
 
本記事は二部構成です。以下の記事もあわせてご覧下さい。
先生Q&A 〜ベテランの先生に聞いた未来の先生の疑問・質問 No.1〜
 ( http://edupedia.jp/entries/show/1109

カテゴリ:

キーワード:

コメント

コメントはまだありません

    より良い実践のためには、あなたの励ましや建設的な対案が欠かせません。
    ログインして、ぜひコメント欄をご活用ください。