読書へのアニマシオン 作戦11「これが私のつけた書名」〜風切る翼を使って〜

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作成者: EDUPEDIA編集部 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は現在鳥取県米子市立尚徳小学校の校長をされている倉光信一郎先生のホームページ「読書へのアニマシオン」より引用・加筆させて頂いたものです。
倉光信一郎先生のホームページはこちら
http://www.chukai.ne.jp/~kurashin/index.html

2 対象

小学校6年生

3 ねらい

課題図書への内容理解を深め、想像力・表現力を養う

4 教材

「風切る翼」木村裕一、黒田征太郎 著 講談社 (2002)

5 実践内容

以下で登場するアニマドールとは、「読書へのアニマシオン」を行うときのリーダーで、子どもたちの持っている力をやさしく引き出してあげる人です。学校で授業を行う場合は、先生がアニマドールになります。

オリジナルの作戦

  1. 手はじめに、読んできた本の書名が内容に合っているか、もっとよいものがありそうかどうかを考えてもらいます。そして、いずれにせよ、ほかの書名を考えるようにと言います。
  2. めいめいが1番良いと思う書名を紙に書きます。いくつも思いついた場合は、いったん紙に書き出してからもう1度黙読し、良くなさそうなものから消していき、1つにしぼりこみます。
  3. 頃合いをみて、アニマドールは1人ずつ順に、自分のつけた書名を1つだけ、はっきりと読み上げるように言います。全員によくわかるよう、書名はくり返し読んでもらいましょう。アニマドールか子どもたちの中の1人が、黒板かそれに類するものに、出てきた書名をすべて書き出します。
  4. 発表が終わったら投票に入ります。得票数を書名の下に書きこみ、得票数の少なかった書名をすべて消して、多かった書名3、4個にしぼりこみます。
  5. 決戦投票をし、1番良かったものを選びます。
  6. 1番が決まったら、その書名を考えた子どもに、どうしてそのような書名にしたか、とくにどんなことに気をつけて考えたかを説明してもらいます。時間があれば、決戦投票に残ったほかの書名を書いた子どもたちにも話を聞きます。
  7. アニマドールはまとめをし、コメントを述べます。

書籍情報

『読書へのアニマシオン‐75の作戦』 M. M. サルト 著 柏書房 (2001)

倉光先生流の作戦

  1. 同じ
  2. 同じ
  3. 頃合いをみて、アニマドールは1人ずつ書名を書いた紙を集め、適当に黒板に並べます。そして、並べた順番に番号をつけて読み上げていきます。全員によくわかるよう、書名はくり返し読みます。
  4. 発表が終わったらどの題名がいいか投票に入ります。得票数を書名の下に書きこみ、多い順番に「なぜ選んだか」「どこが良かったか」について選んだ人に発表してもらいます。
  5. その書名を書いた人に、どうしてそういう書名にしたのか、説明してもらいます。
  6. アニマドールはまとめをし、コメントを述べます。

※「書名」ではなく「作った人」の人気投票になったり、選ばれた数が少なくて「いい書名」が没になってしまったりすることを避けたいため、倉光流を実践します。
※ この作戦は、高学年以上の子どもたちに向いています。それ以下の学年になると、学年が小さくなるほどボキャブラリーが少なく、だれもが似たような書名しか書かなくなります。

この作戦は、国語科の教科書教材でも理解を深めるためにかなり効果的な方法となります。もし授業で行うとすると、得票の多いものだけでなく、得票が少ないものであっても、教師の視点で国語科としての価値のある書名を拾い上げることが大切ではないかと思います。それがまた、新しい教材となりえます。

6 実践の所感

東京書籍の6年生教科書の1番はじめの教材でもあります「風切る翼」(木村裕一、黒田征太郎 著 講談社 2002)で実践をしました。教科書では絵本に比べて絵がかなり減らされています。教科書教材で学習したあとに絵本を読んでやると、児童はその違いにびっくりします。

あるクラスの児童は「カララとクルル」「クルルとカララ」が人気第1位と2位になり、主人公はクルルなのかカララなのか討論になりました。「友情」に関連した書名が多くなりますが、中には「若きアネハヅルの苦悩」といった書名もありました。人気投票では選ばれませんでしたが「満開の桜」という題名もありました。作者に聞いてみると「ハッピーエンドなので、とっても幸せな気分なので、それは満開の桜のような気分だから」と言っていました。作品の中に満開の桜は出てきませんが、イメージで書名を作るのもおもしろいと思いました。

==「読書へのアニマシオン」シリーズについて
「読書へのアニマシオン」はシリーズ記事です。
「読書へのアニマシオン」全体の説明や、他の作戦をこちらのページからご覧いただけます。

読書へのアニマシオンまとめページ

http://edupedia.jp/entries/show/1227

7 編集後記

本作戦では、想像力を働かせることで、物語の題名だけでも授業の構想に結びつくという点が非常に面白いと思いました。また、題名を考えることによって、「主人公はどちらか」という問題が提起され、それについて新たな議論が生み出されるその過程でも、児童の成長が見られるのではないかと感じました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 安田明弘)

8 実践者プロフィール

倉光信一郎(くらみつしんいちろう)
鳥取県米子市立尚徳小学校校長。
モンセラット・サルト氏の著書『読書へのアニマシオン‐75の作戦』(柏書房)を元に実践を展開。
米子市と長岡京市で「勉強会」を開催。
要請があれば、児童生徒、保護者、教職員を対象にワークショップを行い、これまで数多くのワークショップを開催。
アニマシオンのエッセンスを伝えていらっしゃいます。

倉光信一郎先生ブログトップページ
http://www.chukai.ne.jp/~kurashin/index.html
読書へのアニマシオントップページ
http://www.chukai.ne.jp/~kurashin/anima.html
本記事の元記事
http://www.chukai.ne.jp/~kurashin/watashinoshomei2.html

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