『14歳からの哲学』で「友情」の授業(坂本哲彦先生)

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目次

1 はじめに

この記事は、坂本哲彦先生が運営されているホームページ、「坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり」から引用させて頂いたものです。坂本哲彦先生のホームページはこちら→ http://p.tl/a-TK-

2 概要

友情とは何か?について仲間と共に考える。

14才の繊細な時期に人と人とのつながりや人間の心に迫り、自分という人間の分析をする。生徒達が同世代の仲間同士で深く話し合い、自分を見つめなおす

対象

中学校2年生

目標

テキストを読み、筆者の主張点について話し合うことを通して、友達についての考えを深めることができる。

資 料  

『14歳からの哲学』池田晶子 著 株式会社トランデビュー(2003)

「15 友情と愛情」の中で本時で扱うのはPP.98-101 L16まで

下記は『14歳からの哲学』へのリンクになります。
ぜひご覧ください。

3 授業指導案(45分授業)

資料

(P.100 L5-8引用)

「本当の友情、本当の友だちこそがほしいのだけど、いない、と悩んでいる人が多いみたいだ。でも、いなければいないでいい、見つかるまでは一人でいいと、なぜ思えないのだろう。
一人でいることに耐えられない、自分の孤独に耐えられないということだね。でも、自分の孤独に耐えられない人が、その孤独に耐えられないために求めるような友だちは、やっぱり本当の友だちじゃないんだ。本当の友情というのは、自分の孤独に耐えられるもの同士の間でなければ、生まれるものでは決してないんだなぜだと思う?

①資料を読んで話し合う(25分)

  1. 上記の部分まで、教師が2度読み聞かせ、黙読の時間も取る。
  2. 自由に感想を述べ合う時間を確保する。2人組や学習班で感想を出し合ってもよい。
  3. 「ただ一緒にワイワイやって面白いだけの友だちというのは、やっぱりそれだけのことであることが多い」や「壊れるような友情は、本当の友情じゃなかったんだ」という言葉についてどう思うか、など、観点を決めて、感想を出し合ってもよい。
  4. その後、「なぜだと思うか」と発問する。
  5. 自由に考えを発表し合うことを保障して、板書するなど、教師が受容し、みんなで共通理解や認め合いを行う
  6. 著者が伝えたかったことを聞かせる。

「自分の孤独に耐えられるということは、自分で自分を認めることができる、自分を愛することができるということだからだ。孤独を愛することができるということは、自分を愛することができるということなんだ。そして、自分を愛することができない人に、どうして他人を愛することができるだろう。一見それは他人を愛しているように見えても、じつは自分を愛してくれる他人を求めているだけで、その人そのものを愛しているわけでは本当はない。愛してくれるなら愛してあげるなんて計算が、愛であるわけがないとわかるね。」

②資料を読んで話し合う(20分)

(PP.101 L16までを読んだ後)

1. 著者のメッセージを伝える。
「考えるということは、ある意味で、自分との対話、ひたすら自分と語り合うことだ。だから、孤独というのは、決して空虚なものではなくて、とても豊かなものなんだ。もしこのことに気がついたなら、君は、つまらない友だちとすごす時間が、人生においていかに空虚で無駄な時間か、わかるようになるはずだ。ただ友だちがほしいって外へ探しに行く前に、まず一人で座って、静に自分を見つめてごらん」と。

2. NHKのしゃべり場のように、グループになって、20分間、感想を述べ合ってみるのがよい。ただ、話し合いにならない場合は、何らかの支援が必要でしょう。

4 引用元、参考

坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり 『14歳からの哲学』で「友情」の授業

http://p.tl/a-TK-

5 編集後記

14歳という時期はとても難しい時期です。この繊細な時期に自分の中でだけでなく、同世代の仲間と共に深く物事を突き詰めて考えることも大切なことです。同じく悩みを抱えた友人と打ち解けた話をすることは、生徒たちの心を支える助けになると思います。

ひとつの方法として、こうした授業実践を参考にして欲しいと思います。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 松田ゆう)

6 実践者プロフィール

坂本哲彦(さかもとてつひこ) 山口県山口市立徳佐小学校教頭。
1961年生まれ。 山口大学卒業、山口大学大学院修了。
山口県内公立小学校教諭、山口大学教育学部附属山口小学校教諭、山口県教育庁指導主事等を経て、現職。 自身の経験を活かして、道徳実践をHP、メルマガで数多く配信している。
坂本哲彦 道徳・総合のページ
http://sakamoto.cside.com

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