1 はじめに
この記事は、坂本哲彦先生が運営されているホームページ、「坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり」から引用させていただいたものです。
坂本哲彦先生のホームページはこちらです。→ http://sakamoto.cside.com/
2 授業のねらい
一生懸命生きようとする心情を高める。
3 対象
小学校高学年~中学生(学年終わり、卒業式)
4 学習内容
①生まれたことに感謝すること。
- 周りの人に喜ばれて誕生したことを再確認すること。
②納得いく人生を送ることについて考えをもつこと。
- 笑いながら死ぬことの意味が理解できること。
- 周りの人が悲しむような死を迎えることの意味が理解できること
5 資料
『死ぬことが人生の終わりではないインディアンの生き方』加藤諦三
扶桑社文庫(日本放送)2005.5
「生まれたとき、死ぬとき」 ネイティブ・アメリカンの教え
6 学習過程(45分)
あなたが( ① )時は、まわりの人は笑って、あなたが泣いたでしょう。だからあなたが( ② )時は、あなたが笑って、まわりの人が泣くような人生を送りなさい。
〔1〕①と②に何という言葉が入るか思いを巡らせる。(10分)
【発問1】
「( )の中には、何という言葉が入るでしょうか。( ① )は、以前、みなさんがしたことです。( ② )は、これからみなさんがすることです。どんな時、笑い、そして泣くのか、いろいろ想像しながら考えてみましょう。」
※「転ぶ」「間違える」「失敗する」など。「いじめる」などを両方に入れた場合 は、学級の雰囲気が崩れる場合があるので注意が必要である。
※この詩(格言)に対する関心を高めるための発問なので、発表は求めない。
【発問2】
「ヒントです。①と②は反対の行動が入ります。また、“人生”という言葉に注目です。」
※ここでも、指名しません。
〔2〕 この詩の意味を話し合う。(25分)
【発問3】
「正解を教えます。①は、「生まれた」時、②は、「死ぬ」時、です。この詩は、何を伝えたいのだと思いますか。」
※少し沈黙を保つ。時間を取る。(雰囲気を壊さない。)
【発問4】
「みなさんが生まれたときには、必ず「おぎゃー」と泣きながら生まれてきました。そして、反対にまわりの人は、みなさんが生まれてきたことを心の底から喜びました。生まれたことを喜ばれなかった人は、誰一人としていません。人の誕生とは、それほど尊いものです。この世での最上の喜びの一つでしょう。さて、人はだれも必ず死ぬ日がきます。そして、この詩は、死ぬときは、「あなたが笑って、まわりの人が泣くような人生を送りなさい」と言っています。死ぬときに、死にゆく自分が「笑える」のは、どんな気持ちからでしょうか。そして、「周りの人が泣く」とはどんな気持ちからでしょうか。」
※自由に発言を促す。どんな意見が出てもみんなで認めあう。
説明
「そうです。死に向かう苦しみ、あるいは悲しみの中で、「笑う」ことができるのは、その人のそれまでの人生が「満足だった」ということです。その人が、充実感を十分得ることができた人生だったと振り返ることができたということです。また、まわりの人が「泣く」というのは、それだけその人のことが好きだった、かけがえのない人だったと感じているということです。そのようなかかわりをしてきたということです。人の命は尊く、かけがえがないものです。それを一層尊く、輝くものにするために、どう生きたらよいか、これからも、一緒に考えていきましょう。」
〔3〕自分の生活や考え方をほんの少しよいものに変えるために、具体的に行動を起こしてみたい内容をプリントに書く。(10分)
【発問5】
「今できそうなこと、今は出来ないかもしれないが、今後考えてみたいことを書いてみましょう。 それを書きたくない人、書けない人は、この授業の感想を書きましょう。このことは、先生にとっても大切なおしえであり、課題です。先生も一緒に考えたいと思っています。」
編集後記
はじめは、①、②に当てはめる言葉を思い浮かべることができなくて、真剣に考えました。自分はだれかに迎え受けられて“生”を受けたこと、死ぬとは、周囲の生きている人たちに見守られながら“生”を閉じることです。自分がどう生きるかで、どう死ぬかが決まるというのは、なんとも責任の重い、深い課題です。
(編集・文責 EDUPEDIA編集部 丸山明美)
7 実践者プロフィール
坂本哲彦(さかもとてつひこ)
山口県山口市立徳佐小学校教頭。
1961年生まれ。
山口大学卒業、山口大学大学院修了。
山口県内公立小学校教諭、山口大学教育学部附属山口小学校教諭、山口県教育庁指導主事等を経て、現職。
自身の経験を活かして、道徳実践をHP、メルマガで数多く配信している。
坂本哲彦 道徳・総合のページ
コメント
コメント一覧 (1件)
医者であり、大学教授である中村博志氏が「デスエデュケーション」に取り組んでいたことを思い出しました。
http://death-education.com/
生や死に関して子ども達にきちんと考えさせる機会は大切だと思います。もう、中村先生の著作も手に入りにくくなっている感じです。↓
死を通して生を考える―すこやかな子を育てたいおかあさんへ
http://www.amazon.co.jp/%E6%AD%BB%E3%82%92%E9%80%9A%E3%81%97%E3%81%A6%E7%94%9F%E3%82%92%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B%E2%80%95%E3%81%99%E3%81%93%E3%82%84%E3%81%8B%E3%81%AA%E5%AD%90%E3%82%92%E8%82%B2%E3%81%A6%E3%81%9F%E3%81%84%E3%81%8A%E3%81%8B%E3%81%82%E3%81%95%E3%82%93%E3%81%B8-%E4%B8%AD%E6%9D%91-%E5%8D%9A%E5%BF%97/dp/4576060635/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1378614989&sr=1-3
あるいは
http://www.amazon.co.jp/%E6%AD%BB%E3%82%92%E9%80%9A%E3%81%97%E3%81%A6%E7%94%9F%E3%82%92%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%8B%E6%95%99%E8%82%B2%E2%80%95%E5%AD%90%E4%BE%9B%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E5%81%A5%E3%82%84%E3%81%8B%E3%81%AA%E6%9C%AA%E6%9D%A5%E3%82%92%E3%82%81%E3%81%96%E3%81%97%E3%81%A6-%E4%B8%AD%E6%9D%91-%E5%8D%9A%E5%BF%97/dp/4761007729/ref=sr_1_2?s=books&ie=UTF8&qid=1378614989&sr=1-2