生徒全員にiPadを持たせた意味

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作成者: 永野 直さん

1 袖ヶ浦高等学校 情報コミュニケーション科

本校の情報コミュニケーション科では,iPadを各家庭負担で購入してもらい,一人1台のタブレット,校内全域にわたる無線LAN環境で学んでいる。これからの社会に生きる生徒たちに対応した学びを実現するために,この学科がスタートして3年目となる。(2013年現在)

学科設置の背景

教科「情報」が新設されて十年が経過し,スマートフォン,タブレット型コンピュータの登場など,情報通信技術(以下ICT)はめざましい発展と変化を遂げた。OECDの定めるキーコンピテンシー(主要能力)では,複雑に変化する社会に対応するにはテクノロジーを活用する力や,他者と協調しながら課題に取り組むための言語能力やコミュニケーション能力が必要とされている。国際成人力調査(PIAAC)でも,日常生活や職場で必要とされる技能として,ITを活用した問題解決能力や他者との協調力等があげられており,日本のみならず世界的に「ICTを用いた問題解決能力」と「コミュニケーション能力」が重要視されている。また,ビッグデータという言葉に象徴されるように,機器の進化だけでなく,「情報」そのものも爆発的な速度で増殖し続けている。情報量の増加とICTの進化は,人類に数々の恩恵をもたらしてきた。

しかしこれらの情報の中には間違い,嘘,古い情報,デマ等の信用できない情報も多く含まれているため,情報の取捨選択能力は不可欠となっている。ビジネスにおいてだけでなく,学習においても,信用できる資料やデータを基に分析,検討し,自らの情報を作り,発信していくという,いわゆる「情報活用能力」は今後ますます重要性を強めていく。

また,個人情報の漏えい,不正アクセス,ネットいじめ,著作権侵害等,毎日多くの「影」の部分が報道されている。重要なのは,他の犯罪と比較して中高生が被害を受ける事例が多いことはもちろん,彼らが加害者となる危険を常にはらんでいることである。

現代ではネット環境,スマートフォンなどは中高生が当たり前に手にしており,一見彼らはICTを使いこなしているように見える。しかしそれは単に環境,機器の整備,普及が進んでいるだけであり,そこにはらむ危険性,その防御策の知識とスキル,また娯楽にとどまらない学び,仕事,生活に生かすツールとしての認識とその技能を持っているわけではない。

これからの時代を担う生徒の育成に向けて

これからの時代を担う人材を育成するうえで,自ら学び,主体的に行動することはもちろん,ICTを効果的に生かすための知識とスキルは欠かすことができない。ただ受動的に授業を聞き,ノートを書き写しているだけでは主体的な態度は育たず,またネット社会の影の部分から遠ざけて危険を防ぐだけではICTを有効に利用することもできない。危険性も含め,社会に出る前にICTを,より安全かつ有益に利用するための知識とスキル,その積極的な態度を経験的に学ぶ必要がある。

このような背景から,本校情報コミュニケーション科では,一人1台iPadを所有させ,授業はもちろん学校行事,部活動,生活のあらゆる場面でICTと関わる環境を作ることにしたのである。

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