「学力」とその定着のために(はなまるサポート)

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作成者: EDUPEDIA編集部 (Edupedia編集部)さん

1 概要

この実践は(株)教育同人社の許可を得て、「はなまるサポート」の学習指導ポイント一覧の実践を転載しています。
実践の続き(無料)をご覧になりたい方は最下部のURLからお願いします。
また、以下のURLから実践がPDFでダウンロードできます。

http://www.djn.co.jp/support/special/point/docs/2012/8/2/plan.pdf

2 はじめに

そろそろ夏休みも終わり,早いところでは二学期の始業式を終えたところもあるようです。夏休みの様々な研修が終了し,研修成果を生かすべく先生方は決意も新たに二学期のスタートですね。
去る7月28日には,土曜日にもかかわらず大勢の先生方が「若い先生のための夏休み講座」に参加して下さいました。その折りにお話ししたことは主に「学力」についてでした。今回は,その時のお話を補足し,子どもたちの学力を定着させるための参考にしていただければと思います。

3 1.4つの段階の学力

片桐重男先生(横浜国立大学名誉教授)は,「学力」について著書*1 の中でつぎのように述べていらっしゃいます。

1 これからの算数教育「算数の学力とは何か」片桐重男著明治図書

そこでもう少し具体的に,それぞれを領域別に考えてみます。

第1段階の学力の例

(1) 数と計算

  • 整数,小数,分数の場で簡単な場合に,かずを数えたり数の比較ができる。また,計算の仕方を理解して加減乗除の形式計算ができる。

(2) 量と測定

  • 長さ,かさ,重さ,広さ,体積などの量について基本的な単位を知り,比較や測定ができ,基本的な公式を知って,必要な大きさが与えられているときその公式を使うことができる。

(3) 図形

  • 三角形,四角形,多角形など基礎的な色々な図形の名称とその意味を理解し,それによって図形の弁別ができる。また,簡単な性質を知り,それを使って,図形の弁別や,簡単な場合に図形がかける。

(4) 数量関係

  • 比例,反比例など2料理関係を理解したり,表やグラフをかいたり読んだり,割合を比で表すことができるなど,関数関係や統計的関係を表したり読んだりできる。

第2段階の学力の例

(1) 数と計算

  • 加法,減法,乗法,除法の各演算の意味の理解や,「数のモデル」などを用いて根拠を明確にした演算決定ができる。

(2) 量と測定

  • どの量を使ったらよいか判断し,必要な量を求めて,それを使って問題解決ができる。例えば図形の面積を求める場合,まずは求積の計画をたて,その計画通りに進めるにはどこの長さが必要か判断し実行するなどである。

(3) 図形

  • 多角形の内角の和をもとめるような場合に,三角形の内角の和の性質を利用して,三角形に分割するなど,どの図形のどの性質を使ったらよいかが判断できる。

(4) 数量関係

必要な関数関係や統計的関係を決定して解決できる。

  • 例えば,変化の様子を調べたい場合は折れ線グラフを,1つの事柄の割合の様子を調べたい場合は円グラフを,割合の変化の様子を調べたい場合は帯グラフをなどのように,目的に応じてグラフを選択できる。

第3段階の学力の例

問題解決などで,自分のした行動を,その問題の時だけできると言うことで満足しないで,同種の問題,似た問題でもいつでもできるように,問題や解決の仕方を一般化する。そのために,問題の条件を少しずつ変えたり,問題の場面を似た新しいものに変えてみて新しい問題を作り,これを解決していこうという段階。

例えば,整数の場合に成り立つきまりが小数や分数の場合にも適用できるか調べ,新しい問題を作って解決したり,平面図形で成り立つ性質が立体図形でも成り立つか調べ,一般化するなど,数学的な考え方を活かしてさらに発展させようとする学力である。

第4段階の学力の例

これまでのことを元にして,自分にとって新しい問題を作っていこうとか,日常の場合や他の領域の場面で,今までの解決が役に立ちそうな問題を見つけていこう,創って行こう,数学的により抽象的に一般的なものにまとめていこうという段階。

例えば,日常生活の中から興味ある問題を発見し,数理的に処理する過程で数学的な考え方を用いて解決しようとする力である。問題が「与えられるもの」でなく「自ら発見したり創造したりするもの」という立場を持とうとする態度の元に育成される学力である。

ちょっと難しい話の展開になってしまいましたが,私たちは子どもたちに漫然と指導するのではなく,常にどのような学力を求めるか明確な態度で臨むために,教師として不可欠な理念です。そして,指導に当たっては,「今この段階ではどんな学力を求めているのか」を考え,明確にしておきたいものです。

4 2.どのようにして「定着」させるか

(1) 「習熟」の工夫を

①実態の把握が必要
何が出来て何に難があるかを知ることです。そのためにレディネステストをして未習部分や曖昧な部分をみつけます。→2012,3月の「今月の指導」

②答合わせの工夫
くりかえしドリルなどで練習させますが,教室で一斉にすると児童個々によって作業に遅延が生じます。そのため先生は全員が終わるまでただ待ってしまうことのないように「早く終わった人は○○をやりなさい」などの指示を出します。これを,例えば電卓によつて児童個々が答え合わせができるようにしたらどうでしょう。これなら各自が自分のペースでできます。

③「スモールティーチャー」の活用
早くできた児童の確かめをしたら,「この子も先生です。できた人は見てもらいましょう。」と言って「スモールティーチャー」を増やします。スモールティーチャーになった子は,「表示」を出して,学級全体にそうであることを告げます。この要領でどんどんスモールティーチャーを増やしていくのです。これは,九九のテストなどでは効果を発揮します。

④継続の習慣
習熟については一朝一夕に効果が見込めるものではありません。子どもたちの実態や,何より指導の方法によって定着の度合いも速さも違います。ですから,地道にコツコツと継続する必要があります。「今日はあれがあるからやめておきましょう。またあしたにしましょう。」などと,都合に左右されると定着はおぼつかないものになりかねません。学校によっては,朝の時間帯や中休み,昼休み終了後の時間帯を特設して全校で実施しているところも見られます。学級での「1枠」を考えてみてはいかがでしょうか。

(2) 「数のモデル」が使えるように

子どもたちの思考や説明を助ける道具として,さまざまな数のモデルがあります。

おはじき操作 ブロック操作 ○○などで表す図 テープ図 線分図

アレイ図 数直線 関係図 面積図 樹形図 言葉の式 etc…

これらは,数の関係を明確にして立式できるための大切な道具と言えます。授業での立式の根拠や友だちへの説明などで私たちが求めるものです。しかし,求めるほど子どもたちに定着しているでしょうか。最近は教科書によってはページを割いて描き方の指導に当てているところもありますが,なかなか系統的な指導,継続的な指導に至っていないのが現状ではないでしょうか。学年,学級の中である程度統一して指導の時間を確保したり,単元の中で強調したりする必要があると思います。「教科書に載っているから大丈夫,理解されている」と考えてしまっては子どもたちが気の毒です。

(3) 繰り返し価値づける

第2,第3,第4段階の学力を担うものとして数学的な考え方の育成が大変重要です。子どもたちは授業中,様々な価値あるつぶやきをしたり,自力解決の場面で算数的活動をしています。「前のが○○だったからこれもきっと○○だよ」「きまりがありそう」「確かめてみよう」「どうしてかなあ」などのつぶやき,「表に書いてみる」「簡単にしてやってみる」などの取り組み,「もしそうじゃなかったら」「なぜなら」「根拠は」「まとめて言うと」などの発表場面での発言など,子どもたちの価値ある行動があります。

しかし,教師がそれに気づかなければ何にもなりません。私たちは授業展開の中で五感を研ぎすまして子どもたちのそのような行動を捉え,価値づけていかなければなりません。その「価値ある発言」を板書したり,画用紙に書いて掲示したりして学級の財産にしていきましょう。もちろんこれも教師としての継続的な取り組みが必要です。

5 実践のつづき

つづきは以下のURLよりご覧下さい。

http://www.djn.co.jp/support/special/point/docs/2012/8/2/4.php

6 実践者紹介

初等教育研究所 山崎憲

元東京都算数教育研究会会長。
「小学校時代から現在までで,今が最も算数がすき」と,小学校退職後も算数教育に没頭し,現職時代に引き続き年に数回研究授業も試みている。
現在東京学芸大学講師として初等算数科教育法を担当。
またボランティアとして東村山市算数教室を開催し算数好きの子どもの育成を目指している。

7 サービス紹介

教育同人社の「はなまるサポート」では、若い先生のための授業ヒント集として、毎月の学習指導ポイントを細かく解説をしています。また、不明点や疑問点などを無料で相談できます。
http://www.djn.co.jp/support/

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 細木和樹)

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