「かさ」の指導(はなまるサポート)

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目次

1 概要

この実践は(株)教育同人社の許可を得て、「はなまるサポート」の学習指導ポイント一覧より転載しています。
実践の続き(無料)は最下部のURLからご覧ください。
また、以下より実践をPDFでダウンロードできます。
添付ファイル

2 導入 「かさ」の指導に向けて

猛暑の中,夏休みを間近に控え,指導計画の実施状況,評価など,先生方には頭の痛い時期を迎えていらっしゃることでしょう。今回は,2年の「かさ」を取り上げてみました。1年生では「おおきさくらべ」などの単元で,長さ,かさ,ひろさについて学習します。2年生ではある程度のスパイラルな学習も見込んで「長さ」「かさ」について学習を深めていきます。今回は量と測定の領域全体の基礎的・基本的な内容を押さえながら「かさ」の指導を考えてみましょう。
(初等教育研究所 山崎憲)

3 1.「量」と「測定」の学習のポイント

算数科の指導では「数と計算」の領域と同じように「量と測定」領域がありますが,それは右のように「量」とその「測定」に分けられます。小学校で扱う「量」には,長さ,かさ,広さ,重さ,時間,角度,速さ,その他の単位量当たりの大きさなどがあります。それらの学習内容は,いずれも「量」についてはA~D,「測定」についてはE~Hのように整理できます。

◆「かさ」という量の基礎的・基本的な内容

それでは,上に示したそれぞれの具体的な学習内容(基礎的・基本的な内容)を「かさ」を例にして述べてみます。

A 量を認知する

・「ここにかさ(容積)がある」と言える。また,「かさ比べ」と言ったときに,容れ物の大きさ比べなのか,液量などの体積の大きさ比べなのかが分かること。

※従って,例えば「水筒のかさ比べ」と言ったときに,「複数の水筒に入っているお茶の量の比較」「複数の水筒そのものの大きさの比較」の両方が考えられます。

問題を提示する場合もこの点を曖昧にしないことです。

・かさは分けたり合わせたり、変形したりできることがわかる。(保存性、加法性)

※従って,ある容れ物に入っている水を他の容れ物に移しても水の量は変わらないことや,ある容れ物に入っている水をいくつかのコップに分けたときに,分ける前と後では水の量は変わらないことなどを扱うが,これらは既に基礎的な経験として子どもたちが持っているものです。この保存性や加法性を確かめるときは,容積ではなく液量で示した方が理解を得やすいです。

B 量をとらえる

・視覚的にとらえて、このくらいのかさであると言えること。

※従って,手をつかって「このくらい」と表現したり,1回に飲む量は大体これくらいなどと言えることです。

・具体物に置き換えて、~ぐらいと言えること。

※従って,「この量は牛乳パック1個分くらい」「缶コーヒーと同じくらい」などのように言えたり,長さに置き換えて「指の長さぐらい」「5㎝くらい」などと言えることです。

これらも基礎的な経験と言えますが,量感が損なわれているような発言が多かったり,そのような経験が足りないと判断したときは,随時具体物に置き換えて発表される必要があります。

・並べてみたり入れ替えてみたりして、AはBより多いと言えること。(直接比較、間接比較)

※どれが大きいかとか,どれが多いかと問うとき,見ただけで判断できるものも多いはずです。見ただけで明らかに違いが判るのに,いちいち並べて比べたり他の容れ物に移し替えて比べる必要はない訳で,直接比較や間接比較の活動を望むのなら,それなりの困難さや条件が必要です。つまり,見た目では判断がつかないときに直接比較や間接比較の活動が生まれるのです。まず,教師が判断に迷う題材があるといいですね。

C 量を表す

・同一の容れ物に分けて,その任意単位のいくつ分でかさを表すこと。

※この活動は,既に「測定」と見ることもできます。つまり,大きさのそろった小カップなどに分け入れてその単位量のいくつ分か,数で表すことにより,違いの大きさを求めたり,一度にいくつものかさ比べができるなど,数値化のよさが理解できるようにします。この場合,単位とする大きさをそろえることが大切であり,「○○で何個分」というようにかさを表現させます。

・任意単位の共有の限界に気づき,普遍単位の必要性がわかること。

※任意単位での数値化によって問題解決できる場面もたくさんあります。従ってここでは任意単位で比較することが不都合な場面を設定する必要があります。「家から小カップ5杯分ずつジュースを持ち寄った。ところが…」などの展開です。

・普遍単位L,dL,mLを用いてかさを表すこと。

※世界中の共通な単位としてのL,dL,mLを知らせることが必要です。これは指導する内容で,子どもたちに考えさせる内容ではありません。書き方も読み方も正しく教えましょう。そして,身の回りには具体的にどのような使われ方をしたものがあるのか調べさせましょう。

D 量を処理する

・L,dL,mLなどの単位を用いて,目的に応じてもっとも適した表し方ができることやなぜその単位を用いているのか考えさせ,かさの処理の仕方を理解させること。

※場面に応じて単位を使い分ける必要性のある場の設定を心がけるようにします。また,任意単位で処理した方がよい例なども扱うといいですね。

E 正しく量る

・LますやdLますをもちいて容積を量ること。

※LますやdLますで何杯分なので「かさは何L」「水は何dL」のように,積極的にかさを測定して表すことにより,かさの量感も養うようにします。特にmLについてはペットボトルなどでの表示が一般的になっていることなどに着目させ,生活の中に活かされていることに気づかせましょう。

・任意単位や普遍単位を正しく数えることができること。

※測定の技能に関わることです。正しく液量や容積を単位に置き換え,そのいくつ分で表す練習が必要です。実際に水などを使って実習するとこぼしたり,「いっぱい」の誤差でデータにずれが生じます。「何のいくつ分だからどれだけか」を図や絵から読み取ることも必要です。

・Lますに区切られためもりを正しく読み取ること。

※Lますでは10等分に区切られためもりが記されているものが多いです。目盛りの数を確かめ,1目盛りのかさの単位がどれだけかを確かめ,液量をよみとることができるようにしましょう。

F 能率的に量る

・上位の単位から量り、端を下位単位で量ること。

※ある液量を量る際,まず大きい容れ物で何杯分あるかを量り,あとの半端を小さい容れ物で量るのが操作に無駄がなく能率的です。そこで,まずLますで量り,その残りをdLますで量ることに気づかせたいです。如何にして無駄なく短時間でしかも正確に量り取るかを常に考えて操作する子どもたちを育てましょう。

・かさの等しい任意の量でそのいくつ分かを量り取り,後に任意単位を測定して何倍かして量ること。

※あらかじめ容積が分かっている1つの容れ物を用いて,量る対象の液量がその何杯分あるかを知り,○dL×□のように計算して全体量を求める方法です。間接測定に近い方法です。

実践の続き

続きは以下のURLよりご覧下さい。
http://www.djn.co.jp/support/special/point/docs/2013/7/2/3.php

4 実践者紹介

初等教育研究所 山崎憲

元東京都算数教育研究会会長。
「小学校時代から現在までで,今が最も算数がすき」と,小学校退職後も算数教育に没頭し,現職時代に引き続き年に数回研究授業も試みている。
現在東京学芸大学講師として初等算数科教育法を担当。
またボランティアとして東村山市算数教室を開催し算数好きの子どもの育成を目指している。

5 サービス紹介

教育同人社の「はなまるサポート」では、若い先生のための授業ヒント集として、毎月の学習指導ポイントを細かく解説をしています。また、不明点や疑問点などを無料で相談できます。
http://www.djn.co.jp/support/

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 鈴木鷹志)

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