授業を見る目 NO2 ~ 思考力を育てる授業づくりの第一歩

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作成者: 高岡昌司さん

考える場の保証

若い教師を対象にした授業づくり研修で模擬授業をさせていただきました。研修で、発問づくりや指名の方法等について授業を行う中で、「発問にはレベルがあること」や「子どもの発言や意見を単一的に同じように捉えないこと」という教師の意図を紹介すると、「あまり意識したことがない」という反応が多いことを実感しました。

今、言語活動の充実をはかることで、討論や説明などの活動を通して【思考力・判断力・表現力】の育成を図ることが重視されていますが、若い教師の中で、この具体的なイメージが十分にはなされていないのではないかと思いました。

角屋重樹教授は、思考について、「子ども自らが既有経験をもとに対象に働きかけ、新たな意味の体系を構築していくことが思考と言える。意味の体系とは対象に働きかける方法とその結果得られた概念やイメージなどをいう」(初等教育資料7月号2013No902)と定義されています。また、平成20年中教審答申の中で、思考力等を育成するための不可欠な学習活動として、「互いの考えを伝え合い、自らの考えや集団の考えを発展させること」が挙げられています。

これらのことを援用すると、授業づくりにおいて、私は、発問(内容)や指名(方法)が、いかに子どもたちが思考すること(=考える場)を保証することになっているかどうかということが非常に、重要ではないかと思いました。

考える場を保障する手立て

一般的に「考える」という言葉をよく使いますが、「考える」の中身まで想定している場合は少ないように思われます。1時間の学習内容で、子どもたちに、何を、どこまで、どのように、考えさせるのか具体的に想定していなければなりません。子どもの具体的な姿を想定しておく、この部分が意外と漠然としていないでしょうか?子ども自らが既有経験をもとに対象に働きかけ、新たな意味の体系を構築していく為の、発問づくりや指名の仕方を考えるには、教師自身が「考える」の中身の具体的なイメージを想定しておくことが、まず必要条件になります。
 即効的なハウツーとはいきませんが、子どもたちが思考すること(=考える場)の具体的な手立てについて考えてみたいと思います。

学習活動の中に,思考の手立て(比較・分類・関係づけ・規則性を見つける等)を意図した発問や指名を組み入れ,一人ひとりの意思表示をさせる場をもつ。

低学年段階からも最も意識したいのは、「比べる」という比較思考です。
いろいろな教科・学習で文章や図表、資料からわかったことや思ったことを発表させる中で、それらの意見を受け止めるだけでなく、例えば、発表された意見に対して、「今の意見をどう思うか」、「同じ(違う)意見はあるか」、「A君の意見に賛成か?反対か?」、「これまで似たような学習はなかった?」など一人や数名の発言を全員で分かち合える場を設定します。いずれも漠然と意見を発表させるのではなく、「考える」視点を子どもたち自身が意識できるように教師が働きかけるということです。

個の意思表示 → 全員を巻き込んで

この時に大切なことは、「比べているものを具体的に板書等で視覚化したり、挙手やネームプレートで自分の立場や選択肢を明確に意思表示させたりすること」です。一部の子とのやり取りに終わらせず、全員を巻き込んでいくことで、聞き合う、話し合う、学び合うことの良さを実感させるためにも集団の中での一人一人の意思表示は重要と考えます。

1時間の授業の中に、必ずこのような、個の意思表示をする場を組み入れるのです。(何だ、それぐらいのことか)と思われているかもしれませんが、授業を拝見させていただく中で、意識的に意図的にこのような働きかけをしていることは意外と少ない気がします。

教師の役割 ~ 整理・焦点化

また、学習内容として、その意見から、学習問題についての、何が、どう深まったのかという検証が非常に弱いと思っています。様々な意見が出て、それらをすべて受容しながらも、それらの意見をどのように整理し、どこに話し合いの焦点を絞るか、話し合いの落としどころはどこかを明確にすることは教師の重要な役割ではないでしょうか。話し合い活動では、ともすると、子どもに任せようとする思いが強かったり、発言の数に満足してしまったりということから、深まりのある話し合い活動まで至っていない気がします。オープンエンドと言う言葉で曖昧になっている部分もあるのかもしれません。
 
子ども一人一人の意見から次の段階へと”考える視点”を焦点化する必要があると私は思います。教師はもっともっと話し合いに介入する姿勢が必要だと思います。教師の役割として発問づくりや指名の仕方は、非常に重要なポイントであります。そのためにも、1時間の授業で、子どもたちが思考すること(=考える)を具体的に想定していなければなりません。

発問づくりのポイント

発問づくりのポイントとして、【子どもが教材からどのような思考や感想をもつか】ということと、【教師としてこの教材で何を教えるのか】という2つの視点を明確にしておくことが、思考力を育てる授業づくりには必要不可欠ではないかと思います。

「発問にはレベルがあること」や「子どもの発言や意見を単一的に同じように捉えないこと」ということは、子どもの学びから授業をどのように構成していくのかという子どもの学ぶ道筋を大切にするという教師の意図が込められています。
学習活動が、個からはじまり、集団を通して個へかえっていく中でいかに思考する場(=考える場)を保証できるか、そのための【発問】と【指名】が大きく影響すると思います。

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