資料の見方 指導のポイント ―5年 工業生産の単元を例に― (はなまるサポート)

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作成者: EDUPEDIA編集部 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

この実践は(株)教育同人社の許可を得て「はなまるサポート」の記事をもとに作成しています。
(参考URL:http://www.djn.co.jp/support/special/point/docs/2011/11/4/1.php

2 学習指導要領の規定

学習指導要領の第5学年の目標と内容 1目標(3)には、内容全体にかかわる能力に関する目標が次のように示されています。

3,4年生の能力に関する目標の中にはなかった「地球儀」「統計」が基礎的資料の内容として明記されています。ですからその2つは、地図帳などの資料と合わせて、「意識して効果的に活用してください。」「活用の仕方をしっかりと身に付けてください。」ということになります。

また『学習問題に即して具体的に調査したり、地図帳や地球儀、統計などの各種の基礎的な資料を活用したりして調べることができる必要がある、そして調べたことや社会的事象の意味について考えたことを、根拠や解釈を示しながら図や文章などで表現し説明することができるようにすることが大切である。』(『』は学習指導要領解説 5年目標と内容から抜粋)とあるように、資料の効果的な活用は、考える力、表現する力を伸ばすといえるでしょう。

資料の活用例

  • 資料から必要な情報を読み取る。
  • 資料に表されている事柄の全体的な傾向をとらえる。
  • 複数の資料を関連付けて読み取る。
  • 必要な資料を収集したり選択したりする。
  • 資料を整理したり再構成したりする。

ここに挙げられている以上に、子どもたちは様々なことに気づいたりアイディアを発揮したりすると思います。それ見過ごさないで拾い上げ認めてあげられる教師力がつくとよいですね。

3 資料の活用の実践

下の資料を見せて、 下の資料を見せて、「どんなことが分かりますか?」と聞くと、子どもたちは、まず、資料を見て分かったことを答えます。

次に、 次に、「分かったことから気付いたり疑問に思ったりしたことはなんですか?」と聞きます。子どもたちからは、「機械の中で一番生産されているものは何だろう。」「太平洋ベルトは海に面している地域がほとんどだ。船での輸送が便利からだと思う。」「海に面していない工業地域は不便ではないのかな。」「京葉工業地域の化学製品は何だろう。」「日本は山地が多いから平地のところに工業地域が多い。」などなど、たくさんの意見が出てきます。とにかくどんな小さな気付きでも認め、意見が出やすい雰囲気を作ることが大切です。

上記[1]の資料での話し合いやノートへの記入が終わったら、次に、下に示す[2][3]の資料に注目します。

[2][3]の資料は、 [2][3]の資料は、変化の様子を読み取らせたい資料です。ですから、

「生産額は京浜工業地帯の割合がだんだん減っていて1960年に比べるとすごく少ないです。」
「生産額の割合が同じか減っている地域が多いのに中京工業地帯だけがだんだん増えています。」
「工業の種類別生産額では機械の割合がとても増えています。」
のように、「だんだんどうなっているか」や、「比べてどうなっているか」などの見方を育てていく必要があります。

!注意!

教師が「資料の表題」をよく読み、理解することが大切です。資料[2]も資料[3]も「生産額の変化」ではなく、「生産額の割合の変化」についての統計資料です。子どもによってはあいまいに認識していることがあります。ですから、ここはしっかりと教師が理解して子どもに丁寧に説明する 必要があります。例えば1960年代の京浜工業地帯の生産額は16兆円の25%なので4兆円です。2008年は338兆円の9%なので約30兆円です。またどの年も4%とあまり変動がない北陸工業地域で比較するととても分かりやすいです。つまり、元の大きさが違うと割合で示される数字の変化と金額は一致しないということを具体的に示しましょう。また、算数の「割合」の単元に結びつけて考えさせてもよいでしょう。
「このページには、3つの資料がありますが、2つの資料、3つの資料を比べたり結び付けたりして何か考えられることはありますか?ノートに書いてみましょう。」
ノートに書く力はしっかりと資料を読み取る力がないとできません。子どもの小さな気付き、小さな発見を大きく認めほめながら、読み取ったことを書く力を伸ばしてあげてください。

この資料は、前述の資料のP.87 にあるものです。貨物の輸送時間の比較です。棒グラフのものと日本地図を活用したものを並べてあります。どちらも同じことを伝えていますが、両方あることでずっと理解が深まります。

理解が深まると、疑問がわいてきます。「九州は、高速道路を使うと半分以下の時間で行けるのに、北海道の稚内は1/3しか時間の短縮になっていない。なぜだろう。」と思って違う資料を見ると、「本州と九州は高速道路がつながっていないこと」「九州、四国は、高速道路がつながっていて、四国には3通りの行き方があること。」が確かめられます。このように、左右の資料で理解を深め、上下で見て様々な発見や確かめをすることができます。また「高速道路を使えば早く目的地に着くけど、お金がかかるだろう」とか「貨物の輸送は時間がかかるけど、エコかもしれない」など、さらに興味がわいてくるかもしれません。

4 まとめ

5年生は、基礎的資料のうち、統計資料や地球儀の扱いや読み方に慣れ、地図帳と合わせて上手に活用することが求められています。工業単元では教科書・資料集ともに統計資料が多く取り入れられているので、資料を読み取るスキルをアップさせるチャンスです。資料を理解しよく読み取り、効果的に活用できれば、思考力、判断力、表現力の向上につながるでしょう。

5 実践者紹介

初等教育研究所
加藤 良子 プロフィール
元公立小学校教諭、23年3月末で退職。
38年間に4区5校で勤務する。各区で社会科部に所属。地域教材を開発して、各学校で実践してきた。
趣味は、江戸の歴史や文化に親しむこと。月に数回、江戸東京博物館で展示ガイドボランティアをしている。

6 編集後記

 地図帳や地球儀、統計資料といった補助資料を効果的に活用することでさまざまな学習活動が展開でき、その学習活動を通して、社会科で求められる思考力や表現力が育成できることが分かりました。
 資料を用いた学習の中で、我が国の国土や産業の関する社会的事象を具体的にとらえたり、その意味について考えたりすることは、今の教育で求められている「生きる力」を育むことにもつながっているでしょう。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 佐藤あかり)

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