「キッパリ」で生き方を考える(坂本哲彦先生)

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作成者: EDUPEDIA編集部 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

この記事は、坂本哲彦先生が運営されているホームページ「坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり」から引用させて頂いたものです。坂本哲彦先生のホームページはこちら→http://sakamoto.cside.com/

2 対象

小学校低学年から中学校までどの学年でも可能。今回は中学校の事例。

3 授業のねらい

自分らしい生活習慣を身に付けようとする態度を養う。※学習指導要領1-(1)

4 学習内容

  1. 自分の生活習慣・生活態度の中で気になる点を具体的に思い出すこと。(授業では「だらだら地獄」と表現)
  2. 気になる生活習慣がなかなか改められない自分の弱さに気付くこと。
  3. その弱さは人間関係などにも大きく影響することに気付くこと。
  4. 自分らしい生活習慣の具体的なめあて、イメージをもつこと。

5 資料

『キッパリ たった5分間で自分を変える方法』
 上大岡トメ:作 2004.7.30 幻冬舎
http://www1.ocn.ne.jp/~tomesan/

内容と扱い方

小学校道徳の副読本の場合、どの学年も(とりわけ4年生までの副読本は)基本的な生活習慣を身に付けていない主人公のお話が掲載されている。部屋の中が散らかっているとか、夜更かしをして朝遅刻しそうになるとか・・・そのような副読本を用いて導入、展開し、後半からこの『キッパリ』を用いる方法もある。

6 学習過程(45分授業)

 
この事例は、中学校で用いる例である。読み物資料として取り上げるのは、この書籍の冒頭、「はじめに」に書かれている著者の回想部分(約1ページ半の短い記述)。概要は以下に示す。

著者が自分を変えたいと腹の底から思ったのは、今から5年前、33歳の時だった。1人の友人に「人の立場もわからない、傍若無人でデリカシーのない奴」と言われたことがきっかけ。友達を著者は大変信頼しており、また大切にもしていた。しかし自分の思いとは裏腹に、その人はそうされているとは思っておらず、逆に著者の言動がその人を傷つけていたとのこと。その事実に著者は「ものすごいショック」を受けた(*)。

①「今日は、上大岡トメさんの書籍を用いて学習をします。『キッパリ』という書籍です。この書籍のはじめに「だらだら地獄」というのが出ています。(提示資料以下)みなさんの「だらだら地獄」を紹介してください。」(10分)

※提示資料:著書冒頭「だらだら地獄」
「仕事しなきゃいけない。お茶碗洗わなきゃいけない。おフロにも、入らなくっちゃいけない。わかってるんです! 『どうしようかん、やろうかな』と考えているくらいだったら、とっととやった方が早いってこともわかってる。でもね、こうしてだらだらしてるのって気持ちいー」

  • 著者紹介をする。仕事を持って子育てする女性の大変さを、具体的に理解する。
  • ユーモアをもって互いの「だらだら地獄」を出し合う。発表の時「○○○○しなきゃいけない、と思うんだけど、すぐにはできない。だって□□□なんだもの・・・」という話形で出すと話しやすくなる。
  • 起床、就寝、学習、テレビ、ゲーム、携帯メールなど地獄別に板書。教師も、自分の「だらだら地獄」を紹介すると良い。
  • 「だれでも、いろいろな場面で『地獄』を体験しているのだね」と共感的に理解させ、「気になる生活習慣がなかなか改められない自分の弱さに気付かせる」と共に、「何とかしたいものだねぇ。どんな心根、気持ちが大切なんだろうか」と本時の課題を持たせる。

②「信頼していた友達から『人の立場もわからない、傍若無人でデリカシーのない奴』と言われたときのトメさんは、どんなことを考えたでしょうか。自分がトメさんだと思って、想像してください。具体的に考えたことです。」(15分)

※提示資料:上記資料概要(*)の部分、(著書本文P.18 10行~P.19 1行)

  • 生徒一人ひとりに「自分の友達の中で最も信頼し、大切にしている人」をまず、想像させる。そして、その友達が自分に向かってある日「上記の内容」の発言をしてきたと想定して、自分がどんなことを考えるか想像させる。
  • 「ものすごいショック」とか「悲しい」とか「いやな気持ち」などの単語にならないように「思いめぐらせた自分なりの考え」、つまり「原因」、「自分の悪い点」、「改めていく具体的な自分の心根」、「具体的な行動」などを考えさせる。プリントに書いても良い。
  • ①「悲しさ」「心苦しさ」「情けなさ」「相手に対する申し訳なさ」などストレートに感じたこと、あるいは自分なら感じてしまうであろうこと、②親しかっただけに、自分のわがままな部分、率直な考えが自然と出てしまい、相手に不愉快な感じをさせていたのではないか、という「親しき仲にも礼儀あり」的発言内容③自分の「傍若無人さ」や「デリカシーのなさ」とはどんなことかという疑問、④あるいは「自分の□□的なところが傍若無人さなのだろうという自分の振り返り、⑤今後、例えば「相手の立場や気持ちをしっかり考えて生活していきたい」といった「心根」に関する意見などに分けて板書する。
  • 「みなさんにも同じよう体験があるかもしれないね。」と生活を見つめさせたり、教師の同じような体験を話したりするなどして、「切実感」を高めながら話し合いを進める
  • 最終的に、気になる自分の生活習慣やものの考え方(だらだら地獄)といった「自分の弱さ」が、「大切な人間関係」に大きく影響することに気付かせる。板書したり、強調したりする。

③「どんなところが印象に残りましたか? トメさんから学べそうなことはどんなことですか?」(10分)

※提示資料:P.19 2行~P.20 12行 (「大きい変化は小さい変化から」などの言葉がわかりやすい)

  • ①何とかしようと思い始め、具体的に変わろうとしていること ②今までと物事の見方を変えていこうとしたこと(例えば、半分水の入っているコップの見方) ③周りの環境を変えることは難しいから、自分のいる場所を変えてみようとしたこと ④「大きい変化は小さい変化から」と少しずつハードルの高さを上げていこうとしたこと ⑤「昨日しなかったことを今日してみる」などといつも自分が普通に、自然にやっていることを変えようとしていること など資料から読み取れることを端的にまとめる。

④ トメさんの60個のコンテンツの中から数個提案して、そのよさを感じ合う。(10分)

  • ここからは、学活の領域。それぞれの具体的な行動の在り方を示す中で、そのよさ、価値、ものの見方などを押さえて、学活につなげる。「心のノート」にも同じようなページがある。
  • よい事例、学級のみんなで取り組むと良いものは、掲示するのも良い。

(以下http://sakamoto.cside.com/sakamoto2006/kippari.htmより引用)

7 編集後記

なかなか改めることのできずにいる自分の生活習慣と改めて向き合い、改善していこうとする態度を養うことを目指している。本資料に書かれている著者の実体験は生徒や教師自身も共感できるところがあると思う。資料の事例に共感しながら自分の生活を見直すことができるのではないか。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 佐藤あかり)

8 実践者プロフィール

坂本哲彦(さかもとてつひこ)
山口県山口市立徳佐小学校教頭。
1961年生まれ。 山口大学卒業、山口大学大学院修了。
山口県内公立小学校教諭、山口大学教育学部附属山口小学校教諭、山口県教育庁指導主事等を経て、現職。
自身の経験を活かして、道徳実践をHP、メルマガで数多く配信している。
坂本哲彦 道徳・総合のページ
http://sakamoto.cside.com/

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