読むことの指導~国語科研究法と事例(「一つの花」)(はなまるサポート)

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目次

1 概要

この実践は(株)教育同人社の許可を得て、「はなまるサポート」の学習指導ポイント一覧より転載しています。
実践の続き(無料)は最下部のURLからご覧ください。
また、以下より実践をPDFでダウンロードできます。
http://www.djn.co.jp/support/special/point/docs/2012/6/1/plan.pdf

2 はじめに

国語科の研究をし、授業力をつけるには、どんなことを大事にして研究をすればよいのか。

「読むこと」の領域を中心に考えてみたいと思う。
まず、教材研究について考えてみよう。

3 対象

小学4年生国語

4 国語科研究法

どんなことを研究し授業に臨めば、教師自身に授業力がつき、また、子どもにも力を付けることができるのか。簡単にできる方法はないか。こんな声をよく耳にする。残念ながら、答えは「ノー」である。簡単にできる方法はない。

時間をかけ、「読んでは考え、考えては読む。」を繰り返すことが大事である。そうすれば、必ず子どもに力を付け、教師自身も授業力をつけることができる。能率的にする方法は、研究を積み重ねれば、必ず見つかる。「ハウツウ」ばかりに気をとられていると、真の研究はできない。

『理論なき実践は砂上の楼閣である。』と言われるように、学校現場と言っても、実践を積み重ねるのみで、理論的根拠のない研究では、「労多くして効少なし」になる。理念の追究や理論的研究を合わせてすることが重要である。

(1)教材研究

教材研究では、以下の3つが重要である。

  1. どんな子どもに育てたいか(何に感動させるか)
  2. どんな力を付けるか
  3. どんな言語活動を選ぶか

国語科といえども、教材を読んで、人間形成に役立つ価値について考えさせることが大事である。何に感動させるか。この教材で、こんな子どもに育ってほしいという願いをもって指導に当たりたい。

また、どんな力を付けるかについては、本教材の指導事項で、身に付けさせたい力を明確にすることである。既に身に付いている力とまだ身に付いていない力を弁別し、身に付けさせる力を明確にするのである。

そして、単元を貫く言語活動を確定するのである。力を付けるためにぴったりな活動を選ばなくてはならない。

(2)国語科の研究サイクルの確立

国語科を研究するには、教材研究を徹底し、その研究結果を指導案作成に活用し、その研究成果を授業展開に具現化するのである。授業実践後はやりっ放しでなく、よりよい授業を創るために授業分析・評価を行い「指導過程」を軸に「指導技術」と「学習形態」の3つの重要事項を視点に「授業の評価」をし、指導案の再構成をするのである。しかも、授業者自身が納得するまで「教材研究」→「指導案作成」→「授業分析・評価」→「再構成法」・・・のサイクルを螺旋的に何回でも繰り返して主体的・創造的に自己の授業力を練磨し向上していくのである。この研究のサイクルを確立することが重要である。再構成した指導案は、研究の成果として宝物になっていく。

5 2、「読むこと」の指導 事例 4年 「一つの花 今西 祐行作」 (光村図書 4年上)

教科書では、言語活動例として、「物語を読んで紹介する」があげられている。「物語の組み立てや表現の特徴をよく理解し、紹介したい理由が分かるように伝えましょう。」と書かれている。 読解の過程で、紹介に必要な事柄にポイントをしぼることが大事である。

  1. 特別な言葉として、「一つだけ」「一つの花」に着目して、登場人物の願いや気持ちを読み取らせる。この物語には、「一つ・・」の言葉が、22回も使われている。題名の「一つの花」と関係づけて考えさせたい。また、対比的に、めちゃくちゃに高い高い、みんな、なんでも、山ほど、一輪のコスモス、いっぱい、コスモスのトンネルなどと関係づけて考えさせたい。戦争中と戦後の状況の比較をすることも大事である。
  2. 「『一つの花』を読んで、お家の人に紹介する。」など、相手意識・目的意識を明確にすることが大事である。また、登場人物の行動や人柄、出来事、心に残る言葉や文、お話の構成や感想などから選んで、紹介をする。
  3. 交流学習をする。・・・交流することで、友達のよさを認め、自分の考えをさらに明確にする。ペアーやグループで紹介し合い、友達のよさをまねて、なおす。
  4. 「『一つの花』を読んで紹介する。」という言語活動で授業をするとき、主題に関するたくさんの本を準備して、並行読書を行うとよい。そして、感動した本の紹介をする。その時、「一つの花」と関係づけることが大事である。似ているところや違うところなどについての自分の考えを明確にして、紹介し合う。全体で発表したり、グループやペアーで発表し合い、自分の考をさらに明確にしていく。友達の紹介を聞いて、読書につなげていくことが重要である。

6 実践の続き

続きは以下のURLをご覧ください。
http://www.djn.co.jp/support/special/point/docs/2012/6/1/1.php

7 実践者紹介

福本 菊江 
「美しい日本語を話す日本人の育成」を目指して、国語教育に携わってきた。
「授業は教師の命である」の信念のもと、理論と実践の統一を目指している。
東京都小学校国語研究会や全国小学校国語研究会で、全国の先生方と研究を続けている。
殊に、音声言語の指導の重要性を強調している。
現在は、初等教育研究所で国語科の担当である。

8 サービス紹介

教育同人社の「はなまるサポート」では、若い先生のための授業ヒント集として、毎月の学習指導ポイントを細かく解説をしています。また、不明点や疑問点などを無料で相談できます。
http://www.djn.co.jp/support/

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 藤井本健太)

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