よのなか科～政治・法律編～「政治と行政のしごとを考える」（藤原和博氏）

1　はじめに

この記事は、藤原和博氏の「よのなか科」の実践の紹介です。
以下のホームページをもとに作成しています。

• 「藤原和博のよのなかnet」内にある「よのなか科ワークシート」

（http://www.yononaka.net/）

• 「全国[よのなか]科ネットワーク」内にある「WEB研修用ビデオ」

（http://www.yononaka-net.com/mypage/top/index.php）

2　よのなか科とは

元東京都杉並区立和田中学校校長の藤原和博氏が提唱している「学校で教えられる知識と実際の世の中との架け橋になる授業」のこと。 教科書を使った受身の授業とは異なり、自分の身近な視点から世界の仕組み、世の中の仕組みなど、 大人でも簡単に答えを出せないテーマ（「ハンバーガー１個から世界が見える」、「模擬子ども区議会」、 「少年法の審判廷ロールプレイング」など経済・政治・現代社会の諸問題）を扱う。授業の特徴として藤原氏は以下の特徴を挙げている。

1. ロールプレイやシミュレーションなどゲーム的手法によって子ども達の主体的な学びを創造する。
2. 大人も授業に参加することで、ともに学び合う力を付ける。
3. カリキュラムの目的に沿ったゲストを迎え、生徒の思考回路を刺激し、ときに通常の授業では得られない種類の知的な感動を与える。

（全国[よのなか科]ネットワークより
http://www.yononaka-net.com/mypage/network/index.php）

3　実践内容「政治と行政のしごとを考える」

よのなかワークシート「政治と行政のしごとを考える」

ワークシートの流れ（よのなか科ワークシートより抜粋）

１． 役所（役場）のナカミを見てみよう。
（１）「政治」と「行政」とは？
（２）役所(役場)の内部の図を見て、意外に思った仕事は?
（３）あなたの市区町村の行政にかかる1年間の費用

２． 市区町村長への質問を考え、実際に聞いてみよう。

３． お金の使いみちをシミュレーションしてみよう。
（１） 学校の全教室に冷暖房をつける費用
（２） 自分が中学校の校長だとして、冷房化にかかる費用と同じ金額の使いみちを自由に決 められるとしたら、生徒たちの学びを豊かにするためにどのような投資をしますか?
（３） 市区町村の全校に冷房設備をつける総費用

４． きょうの授業の感想・意見などを書いてみよう。

ワークシート

ワークシートPDF

ワークシート「政治と行政のしごとを考える」のダウンロードはこちらからどうぞ。
http://www.yononaka.net/worksheet/worksheet02/yononaka_politics_05.pdf

授業ビデオ「政治と行政のしごとを考える」

藤原和博先生の本実践の授業の様子です。
4分43秒の短い動画ですが、とても分かりやすい授業のビデオです。
今回の授業では、区長を実際にお呼びして仕事内容や生徒の質問に答えていただくことを中心に展開されていきます。政治と行政の違いを理解した上で、自分の住む区の行政がどのように行われているのか、各予算を予想することや、率直な質問を区長と交換することを通して、自分のイメージとのギャップを認識していきます。最後に、自分たちが学校を運営するとしたらということで、実際の使い道を考え、周りの人と共有し、同じ金額の使い道を区の行政単位でも考えます。

ポイント

区役所の仕事を学ぶ
限られた予算とトレード・オフの関係を理解する

ビデオURL

実践のビデオはこちらからどうぞ。
http://www.yononaka-net.com/mypage/model/movie.php?file=y11&no=11

ビデオイメージ

4　実践者プロフィール

　藤原和博氏　教育改革実践家

1955年生まれ。78年東京大学経済学部卒業後リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任。93年からヨーロッパ駐在、96年から同社フェロー。03年4月から杉並区立和田中学校校長に、都内では義務教育初の民間人校長として就任。キャリア教育の本質を問う[よのなか]科が『ベネッセ賞』、新しい地域活性化手段として「和田中地域本部」が『博報賞』、給食や農業体験を核とした和田中の「食育」と「読書活動」が『文部科学大臣賞』をダブル受賞し一挙に四冠に。「私立を超えた公立校」を標榜して「４５分週３２コマ授業」を実践。「地域本部」という保護者と地域ボランティアによる学校支援組織を学内に立ち上げ、英検協会と提携した「英語アドベンチャーコース」や進学塾と連携した夜間塾「夜スペ」に取り組み話題に。　

5　編集後記

今回の実践は、現職の区長の方を実際にお招きするという非常に貴重な機会を十分に活かしたものになっていると思います。区長や市町村長を授業に来て頂くことは難しいと思いますが、市議会議員の方や、市区町村の職員の方をお呼びしての授業は十分に可能ではないでしょうか。学校と地域社会とのつながりを通して生徒が学びを深めるとともに、学校が孤立するのではなく外に向いていくきっかけとなるような実践となると感じました。
（編集・文責：EDUPEDIA編集部　安田明弘　）