「信頼関係」のある学級づくり(小美濃威先生)

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目次

1 はじめに

この記事は、2013年3月31日に朝日新聞の連載記事「花まる先生」で実践が紹介された、元杉並区立桃井第五小学校の小美濃威(おみのたけし)先生への取材をもとにしたものです。

〇朝日新聞デジタル(会員登録していただければ全文をご覧になれます)
http://www.asahi.com/edu/articles/TKY201303300278.html

どんな実践も子どもとの信頼関係がなければ成り立ちません。

雰囲気の良い学級をつくるためには、先生と児童の間の信頼関係が何よりも大切です。ここでは、その「信頼関係」を日常的な積み重ねで築いていくための実践をご紹介します。

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1.子ども達に対して

○クラスでいちばん弱い子をそのクラスの宝物にして、クラスの中心にする

  • 指導案などを作る時もいちばん立場の弱い子を念頭に置くことで、授業の発問が分かりやすくなり、クラスにまとまりが生まれる。

※できる子もできない子に教えたり、できない子を思いやったりしながら進むことで、着実に力を伸ばしていく。

○日記でコミュニケーションをとる

  • 思ったことを素直に書くように指導する。(感情をありのまま表現できる「喜怒哀楽がある教室」をつくる第1歩)本当のことを書いたときは、褒める。
  • おとなしい引っ込み思案な子には個人的に声をかけ、つらいこと・がんばったことを書かせるようにする。
  • 先生への相談も日記に書かせる。

※強制すると嫌いになるので、日記を出すのは最低1週間に1度だが、いつ出してもいい。
※内容(経験・心情)と、書き方(情緒的な伝わり)を褒めると文章力が伸びる。

遊び勉強仕事の3つを好きにさせる

  • この中で仕事とは、児童会やクラスの係など、学校・クラスの中の役割のことである。組織の一員としての役割を与え、それをこなすことで仲間の中に居場所があることへの喜びを芽生えさせる。

※ひとつの活動のみに偏った子にならないように、バランスが大切。

2.先生自身の心がけ

○時間を守る
先生自身が時間を守る。授業で言えばチャイムが鳴る少し前に教室にいて、チャイムが鳴ったらたとえ授業が中途半端な状態でも、即座に授業を終わらせる。
※新学期の始めに「授業を時間通りに終わらせる」ことを約束し、100パーセント実行する。その積み重ねで、徐々に児童達は先生を信頼するようになり、自然と「時間を守る」「有言実行」という姿勢を学ぶ。

「そのための方法として、指導案をストイックにして狙いを1つに絞る。45分の授業であれば35分で終わるようにして、残りの時間は問題演習など、いつでもやめられるものを最後にしておくと良い。自分が子どもだったときも、授業を長引かせて休み時間を短くする先生がいちばん嫌いだったよ。」(小美濃先生)

「命にかかわること」「人に迷惑をかけること」「いじめ」この3つだけを叱る
これも新学期の始めに「この3つだけは許さない」ということを話し、実行する。「いじめ」に関しては、「このクラスにボスはいらない」と宣言する。

※先生自身も「ボス」にならない。子ども達と対等な立場で語りかけることが大切。

※「宿題をやってこない」くらいでは叱らない。そういう子に対しては、「なぜ、だれのために宿題をやるの?」と考えさせる。

2 取材を終えて&編集後記

「時間を守る」「約束を守る」「同じ目線で話をする」などはあたり前のようで100%実行するのは難しいことです。しかし、子どもたちは先生をよく見て、言ったこともよく覚えています。まずは先生自身が子ども達の見本になるよう振る舞うことが、信頼関係を築く第1歩なのだと、改めて知ることができました。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 長谷川文)

3 実践者プロフィール

小美濃威(おみのたけし)
杉並区立馬橋小学校教諭(新人育成教員)
1952年生まれ。早稲田大学法学部卒。
秋川市立東秋留小学校 練馬区立大泉南小学校 武蔵野市立千川小学校 目黒区立東山小学校 杉並区立桃井第五小学校 同区立八成小学校を経て2014年4月1日より現職。
元日本作文の会常任委員。学校図書国語教科書執筆者。

著書「かさこじぞうの授業」(桐書房)

編著「楽しい読み合いの授業」(日本標準)

共著「楽しい随筆の授業」(日本標準) 他

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