「じしゃくのふしぎを探ろう」「季節と生物」「電流の働き(電磁石の働き)」「てこの規則性(電磁石の働き)」(はなまるサポート 太田由紀夫先生)

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目次

1 概要

この実践は(株)教育同人社の許可を得て、「はなまるサポート」の学習指導ポイント一覧より転載しています。

実践の続き(無料)は最下部のURLからご覧ください。
また、以下より実践をPDFでダウンロードできます。

http://www.djn.co.jp/support/special/point/docs/2012/1/3/1.php

2 はじめに

ここでは、3年生から6年生までの理科の実験にはどのようなものがあるかを見ていきます。
また、実験結果をどうまとめさせるかも重要なポイントのひとつです。

対象

小学生全学年

3 3年「じしゃくのふしぎを探ろう」

A区分学習内容

  • エネルギー(エネルギーの見方・エネルギーの変換と保存)
  • 磁石に引きつけられる物
  • 異極と同極

A区分の学習過内容を各自で体験し、自己評価してみよう。

1.事象から@<u>{問題をつくる。}
実験は素材を変えたとしても条件が合えば常に同じ事象を観察できます。そこで、一人ひとりに身近な素材を使った事象を体験させてみましょう。

単元の構成とねらい


1.磁石につく物・・・磁石につくものは磁石になる
2.磁石の強さ・・・・磁石の力は空間に働く
3.磁石の極・・・・・磁石の極(同極は反発し異極は引き合う)

繰り返し何度でも実験できるので、ノートを丁寧に書いていくように指導することが大切です。
体験したことをまとめる力を仕上げていきましょう。

1と2の事象提示

A:磁石が引き付ける缶(スチール)

B:磁石が引き付けない缶(アルミ)

という二種類の缶を用意します。塗料の部分は紙やすりで一部分を削っておいてもいいですね。

繰り返し磁石をつけ、問題意識を深めたいです。また、2種類(アルニコ磁石と普通の鉄の磁石)を用意して、磁石の強さを問題に加えていくと要因が増え、広がりが出ます。

《問題》

①磁石はどのようなものを引き付けるのだろうか。

②磁石の強さによって付くものが違うのだろうか?

 

①の問題の結果の整理で子供たちに「分類と統合」という科学的思考能力を十分発揮させます。具体的には、引きつけられる物をたくさん見つけます。それらの共通点を見出して、「引きつける物は鉄だ。」という結論に至ります

②からは、磁石の力に着目して「磁石によってひきつける力の強さはどのように違うのだろう。」という問題をつかみます。これは、すなわち「力」をエネルギーとして捉える見方になっていきます。

この検証過程では、引きつける力の強さを「クリップがどのくらいの距離から磁石につくか」という方法を用いて調べる児童もいます。これが、「磁石の力は物を動かす力に変わる」というエネルギー変換の概念に結びついていくのです。

下の写真のように空間に磁力が働いているのです。

これは、アルニコの強力磁石ですが、普通の鉄の磁石でも机の上にクリップを置いて、磁石を遠くから少しづつ近づけ、クリップが動いて磁石に付く距離を図ります。

そこで、「どのくらい離れて付くのか」という距離の大きさが磁石の強さになります。

また、磁石の強さは、くっつくクリップの量(重さ)でも示すことができます。重さを図るのは電子天秤が正確で良いと思います。

②の「磁石につくものは磁石になる」については「磁石に付いた物は、磁石になるのではないか。」という問題を設定します。これも、クリップやくぎが磁化されて、磁石についたままになる現象から見つけることができます。このように、この単元では、子どもたちが設定した問題を自分たちで何回も実験できるので、情報も豊かになり、話し合いを深めることができます。

アルニコ磁石と普通の鉄磁石との強さの違いを惹きつけたクリップの重さであらわしたもの

4 4年「季節と生物」 

 
ポイント:
B区分 生命(生物の多様性と共通性・生命の連続性)・・・動物の活動と季節・植物の活動と季節

動植物の冬の暮らしの状況を丁寧に観察させましょう。動物については年間を通して観察できるものは少ないので、3年生の時に飼育した昆虫や身近な動物の冬越しについて調べさせましょう。

上のような一覧表から、冬という季節の特徴を要因として、変化した環境とそれを乗り越えて生きる生物の共通性を見出していく学習を展開します。

  • 寒さから身をまもる
  • 食べ物がないことへの対応

について気づいたことをまとめさせ、互いに情報交換していく学習です。

冬を超す生物の暮らしの様子や事実をなるべく多く集め、それらの共通性を推論していくという展開で事象提示から問題をもつというA区分の学習過程のようにはいきません。

たとえば、冬越しの「ロゼッタ葉」

少ない冬の光を体全体で浴びることができるように葉を広げています。霜で地面が浮いても抜けることはありません。しっかりと地中に根をはっています。

5 5年「電流の働き(電磁石の働き)」 A区分 エネルギー(エネルギーの変換と保存)

ポイント:
・鉄心の磁化  ・極の変化  ・電磁石の強さ

この単元は6年生からの移行教材です。電流の働きを電磁石を使って体験的に理解していきます。

日野第四小学校22年度研究紀要より

子供の思考を揺さぶる事象

  • 電流の磁化作用を気付かせる事象提示・・・

芯のないコイルに電流を流し、マグチップに近づけるとマグチップが吸い込まれていく。コイルに電流を流すと方位自身が振れる。(※上図参考)

6 6年「てこの規則性(電磁石の働き)」 A区分 エネルギー(エネルギーの見方)

ポイント:
・てこのつり合いと重さ ・てこのつり合いの規則性 ・てこの利用

ここではてこの原理が実際身近にある道具にどう応用されているかなどを道具を例示しながら、その作用や論理を表にまとめさせています。

これ以降は下記URL先でご参照ください。

7 実践の続き

続きは以下のURLをご覧ください。
http://www.djn.co.jp/support/special/point/docs/2012/1/3/1.php

8 実践者紹介

初等教育研究所
太田 由紀夫

元東京都小学校理科教育研究会副会長、現全国構造学習研究会常任講師。
小学校のときから理科大好き人間。部活は中高大と生物部で蝶を追いかけていました。それがきっかけで山登りも好きになりました。
理科教育の楽しさを子供たちや先生方に知ってもらいたくて、この仕事をさせていただいています。また、地域のボランティアとして鮎も遡上するきれいに復活した多摩川で地域の方々と共に「多摩川で泳ぐ会・探鳥会」を続け、子供たちに自然の中で遊ぶ楽しさを味わわせてています。

9 サービス紹介

同社の「はなまるサポート」は、若い先生のための授業ヒント集として、毎月の学習指導ポイントを細かく解説したり、不明点や疑問点などに関する無料相談を受け付けたりしています。

http://www.djn.co.jp/support/

10 編集後記

理科の授業で実験は一番楽しかった授業でした。しかし、実験の考察の中で先生が当時のぼくらに推論や仮定までを考えさせたということは実はあまり記憶にないんですよね。ただ、大学生になり改めて現象を見つめ原因を考えるということの大切さを知るため、楽しい実験の中でこのような思考法を繰り返し鍛えることは、将来においても非常に役立つものだと思いました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 岸剛志)

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