1 はじめに
この記事は、坂本哲彦先生が運営されているホームページ、「坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり」から引用させていただいたものです。坂本哲彦先生のホームページはこちら→http://sakamoto.cside.com/
2 対象
小学校6年生
3 ねらい
「ぼく」の誕生日のプレゼントや自分の誕生日のプレゼント、そして最後のページに出てくる子どもへのプレゼントを対比し、話し合うことを通して、外国の人々や特に途上国の人々に対する関心を高める。
4 目標
- 私たちの生活が豊かであることに気付くこと
- 途上国の貧困、そこに住む子どもの生活に関心をもつこと
- 今後の世界の様々な国(とりわけ途上国)について関心をもっていこうとすること
5 授業時間
6学年内容「国際連合の働き」(ユニセフやユネスコ等)を扱ったときに関連して使用します。
1時間の道徳の時間にするには量的にも内容的にも少し難しいので、念入りに資料を読み、話し合いながら30分の道徳の時間として扱う場合の指導事例としました。
6 資料
資料名
「たんじょうび ‐ゆたかな国とまずしい国‐」
レイフ・クリスチャンソン:文
にもんじ・まさあき:訳 ディック・ステンベリ:絵
岩崎書店 (1997年1月)
概要
このシリーズは、「わたしのせいじゃない—せきにんについて」が最も有名で、道徳の時間の読み物資料としてよく用いられています。
今回用いるのは「あなたへ7 たんじょうび」です。
7 学習過程
「ぼく」の誕生日プレゼントについて話し合います。(15分)
発問1:「ぼくの誕生日プレゼントについて感じたことや考えたことを発表してください。」
(a)「ぼくのたんじょうび」のページで、それぞれの子どもに誕生日を尋ね、口々に言わせます。
- 誕生日についての関心を高めるため。
- 高学年でも自分の誕生日について話すのは大好きで、とっても子どもらしくなる瞬間です。
- 誕生日の話題はいくらでも広げることができます。
(b)「プレゼントはなにかな」のページで、口々に予想を発表させます。
これもいくらでも発言は続くでしょう。
(c)順番にページをめくりながら、その誕生日プレゼントについて感じたことや考えたことを自由に発表させます。
・その際、
→「あなたは、このプレゼントを貰ったことがありますか?」
「あなたはこれがほしいですか?」
「あなたはこのプレゼントは好きですか?」
などの返しにより、描かれているプレゼントと子どもの距離を狭めること。
→「いったい何円位するでしょうか」、
「これは高すぎるんじゃないの?」
などの返しにより、「ぼく」の生活や「自分たち」の生活が豊かであることをそれとなく感じ取らせます。
(d)最後のページの前までは、ある程度賑やかに、そして楽しく話し合いをさせておくことが効果的だと思います。
(e)高学年だと、ページをめくりながら話し合うこの学習活動の行き先が気になり始めます。どこに連れて行かれるのだろう…この話の終着点、落ちは何か……
でも、じらしながら、温かく前向きに続けます。
- 誕生日がその子どもにとって、またその親にとって何よりも大切な記念日であること
- 生きていることが何よりもすばらしいこと
を感じ取れるようにします。
「この子」へのプレゼントを話し合う。(14分)
発問2:「この子へのプレゼントは何だろうか?」
(a)このページを拡大コピーしておき、黒板に添付して問います。
- それまでのページとの落差が大きいため、この写真に描かれている状況が理解できない子どももいます。
- 目線の力強さや服装等から笑ってしまう子どももいるかも知れません。
(b)そこで、「この子どもは今、社会科で学習している途上国の子どもです。貧しい国に住んでいます。」などの補足が必要です。
(c)「食料」「服」「靴」「家」「薬」などが出てきます。
- 「どうしてそう思うのか、一緒に発表してください。」として、理由も述べさせます。
→写真から考えたことと、社会科で学習していることが理由として出てきます。
(d)発言されたことを全て板書します。理由もその下に書きます。そして最後に次のように問います。
発問3:「この中で皆さんにないのはどれですか?」「みなさんがほしい誕生日プレゼントはこの中にありますか?」
(みなさんがもっていないものはないでしょう。みなさんがほしいプレゼントはこの中にはないでしょう…)
教師の話を聞く。(1分)
- 私たちの生活は、この子どもの生活と比べて本当に豊かで平和で穏やかなものですね。
- 社会科で学習しているように、世界には今日食べるものも、住む場所も、着る物もないようなところがあります。
- 私たちができることは何だろう。時々考えてみることが必要です。そして、自分たちの生活のあり方についてもふり返ることが必要ですね。
8 編集後記
外国や途上国の話などは、社会科で習っていてもなかなか身近に感じられるものではありません。そうした中、社会科の分野と結びつけてこうした授業を行うのは、日本と大きく異なる国のことを考え、身近に感じる1つのきっかけになります。子どもたちがこの道徳の授業を通して、違う国にいる自分と同じ年頃の子どもに思いをはせることができると良いと思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 澁川万結子)
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