学力は短期間の指導で伸びる 実践編(陰山英男先生)

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作成者: EDUPEDIA編集部 (Edupedia編集部)さん

1 【実践概要】

この実践では、徹底反復研究会の年末合宿勉強会で代表の陰山英男先生が講演された内容をご紹介しております。

学力向上には何が必要なのでしょうか。ゆとり教育やPISA型学力の向上のための教育方針が話題になっています。しかし、学力について世の中で常識だと思われていることの中には間違っていることも多いと陰山先生はおっしゃいました。この実践では、陰山先生の調査されたデータを基に、学力に何が必要か検証していきます。そして、保護者や校長先生に授業改善が受け入れられない場合は、データや実績を提示することが解決に繋がることが多いようです。結果がついてくれば、周りの方も賛同してくれるようになるとのことでした。

そして、下記の内容は『学力は短期間の指導で伸びる 定義編(陰山英男先生)』の記事の後編となっております。前述の記事では、学力の向上に必要な考え方を紹介しております。ぜひこちらの記事もご覧下さい。
http://edupedia.jp/entries/show/1317

2 【徹底反復学習とは】

徹底反復学習とは、その漢字の通り、徹底的に反復し、完全に覚えきるまで学習する、というものです。ただ単なる『反復』とは違います。『徹底反復』なのです。

徹底反復学習をすることによって、子どもたちがある段階から、覚える能力そのものが高まり、反復学習しているものとは異なる科目までもが効果的に進むようになってきます。子どもたちの学習処理能力が高まり、確かな思考力や学力がつくのです。

実践をするときには、“高速に”学習ができるように注意が必要です。そうすることによって、学習効率が高まり、そこから得られる脳の力が、子どもたちの学習処理を高めていくことにつながっているのです。

つまり、徹底した反復学習をすることによって、子どもたちの学習能力を高め、多用な学習を支え、そして子どもたちの可能性を広げていくものだと考えています。

3 【実践内容】

反復学習例

ここまでは学力向上の基礎に必要なものを提示してきました。この章では、学力を向上させる学習方法である百ます計算や漢字練習などの反復学習の例を紹介していきます。反復学習を通して学習の要である集中力を養い、基礎学力を高めていくことが学力向上につながります。

①百ます計算

百ます計算ですが、毎日どんな問題を解かせるのでしょうか。最も効果的である百ます計算のやり方は、初めに毎回数字の並びが同じ問題を計算することです。同じ問題を繰り返し行うことで、タイムが上がります。タイムが上がり、その過程を記録し褒めることで児童の学習意欲は向上します。そして、毎日同じ時間に問題を解くことで学習習慣をつけます。そして、毎日同じ時間に問題を解くことで学習習慣をつけます。この繰り返しのサイクルを身につけることが反復学習の基本になります。

しかし、同じ問題を解くことは暗記しているだけとおっしゃる方もいると思います。ですが、この暗記も重要で、問題への暗記力や集中力を高めることで新たなものに対応できる基礎力がついてくるのです。そして、数字の並びが同じ問題を繰り返し行った後、数字の並びを変えた問題を行ったとき、タイムは下がらず、上がる子どもが多いのです。

②漢字学習

まず、漢字をすらすら読めるようになることを目指します。次に何度も見て書いて覚えます。その後、漢字テストのプリントを繰り返し何度も反復学習していきます。その間宿題で漢和辞典を使い意味を理解しながら、その学年で習う全ての漢字の8割ほどを書けるまで練習させます。反復学習する量は百点を取れる量と結びついてきます。この反復学習を行った小学校とそうでない学校の漢字の習熟度は歴然とした差がつきました。

③暗記は徹底反復

社会や算数の公式などの暗記モノは暗記すべき内容を初めにプリント化しましょう。単元ごとに限定し、クイズ形式などの単純な方法の内容にし、反復学習しやすいようにします。

④計算指導

ここでは計算ができるようになるまでのポイントを3点紹介します。

まず、 まず、1番目のポイントです。『計算はサッと解けなければできていないことと同じ』と考えます。同じ問題がサッと解けるようになるまで繰りかえし練習します。そうしないと、数字が変わっただけの同じ問題形式を解こうとしても児童にとっては違う問題に感じ、サッと解けるようにはなりません。さらに、サッと解けるようになるまで、児童が解いた答えを消しゴムで何度も消すという方法を1つの実践として行っています。書いた答えを何度も消されるので、児童は悔しくなり集中しだします。また、児童がわからない部分をうっすらと残すことで何が書かれているかを考えるためにそこに集中し、どう計算すればよいか必死で理解しようとします。ここで、児童は悔しくなり集中するでしょう。また、児童がわからない部分をうっすらと残すことで何が書かれているかを考えるためにそこに集中し、どう計算すればよいかわかるようになります。

 2番目のポイントは、『筆算などの補助数はわかるようになったら書かせない』ということです。補助数を書くことで計算が遅くなり、その分だけ集中できなくなるということです。

 3番目のポイントは、『分数計算ではいきなり約分・通分を指導し、計算になれさせる』ということです。通常、約分・通分の前に最大公約数や最小公倍数など理解のしにくいことを習ってから計算します。しかし、これは児童に苦手意識を持たせてから無理やり計算させるようなものです。なので、具体例を用いて分数の簡単な計算を説明して計算に慣れていきます。慣れてから最小公倍数や最大公約数を学ぶことは遅くはありません。

授業の基礎スキルを磨く

ここまで児童たちに必要なこと、児童たちがやらなければいけないことを述べてきました。最後に学力向上に必要なことは、教師の授業のやり方の改善です。今の若い教師の方たちには授業の基礎スキルはしっかりと伝わっているでしょうか。児童の学力を伸ばす工夫をするのは教師なのです。大学で習うことではないので、経験のある教師を観察して授業のコツを身につける勉強が必要になるでしょう。教師の一挙手一投足には意味が付いてまわります。教師に必要なことは、教師の動きや教師の立ち位置と連動した視線の動きの工夫です。また、机間巡視も授業の雰囲気をコントロールする重要なスキルです。

1.児童の挙手

児童の挙手についてですが、授業中に挙手をさせすぎることはよくありません。ただの理解できているかどうかの確認のための挙手は、児童に緊張感を持たせません。児童が当たるかもしれないと集中するように緊張させることも大切です。わかっていても挙手をしない子は、まだ教師との信頼が足りていないのかもしれません。

2.板書の練習

板書の上手な書き方も授業運営には欠かせません。放課後に翌日の授業の板書を練習して、自身の板書を確認してみましょう。翌日の一時間目の授業の板書を書いておくと、授業中に板書を書く手間が省けスムーズに授業を展開することもできます。

3.児童を指名する順番

児童に発言させる際には、まず「自分の意見を書きなさい」と指示してから児童の書いた内容を机間巡視で確認します。机間巡視をすることで、児童の理解度を把握し、うまく発言を促していくことで授業の流れを効果的にすることができます。また、意見を聞く際に児童の近くに行くか行かないかでは児童の集中度が変わってきます。

4.授業構成

授業が時間通りに終わらないときはないでしょうか。ベテランの教師は、授業中にきっちり時計を見ながら授業を進めています。この確認を繰り返すことで児童がどのぐらいの時間で学習を進められるかを把握することができてきます。確認する目安としては5回でしょうか。この情報をもとに授業の予測を立てながら、授業計画を考えることができるでしょう。

学力の向上への考え方の記事はこちら

http://edupedia.jp/entries/show/1317

4 【編集後記】

勉強のやり方を児童に丁寧に教え、勉強ができるようになった瞬間に児童は達成感を得ると思います。最初は勉強のやる意味を考えていても、自分の学力が上がって楽しくなってくれば勉強は続くはずです。そして、勉強を通して得られるものを児童自身が活かせるよう、教師の方たちは児童の個性を伸ばすことができるようになると素晴らしいと思いました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 坂本一途)

5 【講師プロフィール】

  • 1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒。
  • 兵庫県朝来(あさご)町立(現朝来市立)山口小学校教師時代から反復練習で基礎学力の向上を目指す「陰山メソッド」を確立し脚光を浴びる。
  • 2003年4月尾道市立土堂(つちどう)小学校校長に全国公募により就任。

百ます計算や漢字練習の反復学習を続け基礎学力の向上に取り組む一方、そろばん指導やコンピューターの活用など新旧を問わず積極的に導入する教育法によって子どもたちの学力向上を実現している。

  • 立命館大学 教育開発推進機構 教授(立命館小学校#校長顧問#)。
  • 文部科学省・中央教育審議会 教育課程部会委員。
  • 内閣官房「教育再生会議」元有識者委員。
  • 大阪府教育委員会教育委員長。
  • NPO法人日本教育再興連盟理事
  • 徹底反復研究会代表

*著書:「このままでは学校はもたない!みんなで考えたい、学校教育のこれから」(教育開発研究所)「学力は1年で伸びる!」(朝日新聞出版)「若き教師のための授業学」(日本標準)「陰山メソッド たったこれだけプリント」(小学館)…他多数

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