1 概要
この実践は(株)教育同人社の許可を得て、「はなまるサポート」の学習指導ポイント一覧より転載しています。
実践の続き(無料)は最下部のURLからご覧ください。
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添付ファイル
(1)「÷小数」の指導に向けて
今回は,5年の「整数÷小数」「小数÷小数」などのいわゆる「÷小数」を取り上げてみました。先月の「分数×分数」では5年生の既習内容である「小数×小数」の考え方が大切であると述べました。同様に「÷小数」の単元で学習する内容は,「÷分数」の解決のための大切な既習事項になります。また,「÷小数」の既習事項はどのようなことなのでしょうか。既習事項を如何に活用するか,一緒に考えてみましょう。
(初等教育研究所 山﨑 憲)
(2)計算の学習の流れ
前回も申し上げましたが,新しい計算に出会ったとき,私たち教師は子どもたちの思考を促すために次のような順で発問していきます。
–
1. なに算になりますか。
2. それはどんな式ですか。
3. なぜそのような式になるのですか。
4. その計算の仕方を考えましょう。
5. どんな場合もその計算の仕方でできるか確かめましょう。
6. 「パッ」とできる簡単なやり方を見つけましょう。
7. 練習して計算の仕方をマスターしましょう。
その際,子どもたちの思考を助ける道具(数のモデル)として,割合の考え方,数直線による数の関係把握,関係図,4ます図などが活躍します。子どもたちは,自力解決する際の手段として,また友だちに説明する際の根拠を示すものとして用いています。このような数のモデルをマスターすることは非常に大切です。数と計算の指導領域では折に触れて指導し,子どもたちが使えるようにしておく必要があります。
今回は,それらの数のモデルをもとにした演算決定や,小数の意味をもとにした計算方法などに着目して考えてみましょう。
(3)演算決定する
① 割合の考え方による演算決定
小数×小数の学習から,もとにする量×割合=割合に当たる量ですから,この問題から,もとにする量,割合,割合に当たる量を見つけます。
1mあたりのひもの重さ□g …… もとにする量
2.5m …… 割合
300g …… 割合に当たる量
すると, もとにする量×割合=割合に当たる量だから □×2.5=300 になります。
② 数直線による演算決定
もしこの問題の数値が全て整数で,例えば次のような問題だとしたら,子どもたちは
「このように数直線で表され,□×3=300 になり,□は300÷3で求められる。」と答えるでしょう。さらに,これを参考にもとの問題を数直線に表すと,次のようになり,整数の場合と数の位置関係は同じなので,□×2.5=300だから□は300÷2.5と立式できると考えます。
また,以上のようにして立式ができたら,きちんと立式の根拠が述べられるように指導することが大切です。
(4)計算方法を考えよう
計算方法を見出していく場合の留意点として,次の事柄を意識しましょう。
- 既習事項をどのように活かすか
- とにかく答を出してみる
- それぞれの答の出し方を価値づける
- よりよい求め方を追求する
- 共通する方法はどんなことか
- まとめられないか
- パターン化できないか
つまり,計算方法にめどがついたら,
- その方法で他の場合もできるか確かめる。(帰納する)
- 一般化し,習熟する。
- 形式的処理方法を見つける。(アルゴリズム化)
- 形式的処理方法で習熟する。
のように進めます。
よく,授業の際,問題を提示した後,「今日のめあては,整数÷小数の計算の仕方を考えることです。」と示す例を見かけます。しかし,本時では,まず「300÷2.5」の計算方法に繰り組むのであって,一般化された「整数÷小数」をするのではないはずです。その,言わば一般化は上に述べたように次の段階と考えましょう。もちろん,「色々な数でもやってみましょう。」として練習問題的に扱い,その後一般に「整数÷小数では…」とまとめるのもよいでしょう。
それでは,具体的に「÷小数」の計算方法について考えてみましょう。
実践の続き
続きは以下のURLよりご覧下さい。
http://www.djn.co.jp/support/special/point/docs/2013/6/2/2.php
2 実践者紹介
山﨑 憲
元東京都算数教育研究会会長。
「小学校時代から現在までで,今が最も算数がすき」と,小学校退職後も算数教育に没頭し,現職時代に引き続き年に数回研究授業も試みている。
現在東京学芸大学講師として初等算数科教育法を担当。
またボランティアとして東村山市算数教室を開催し算数好きの子どもの育成を目指している。
3 サービス紹介
教育同人社の「はなまるサポート」では、若い先生のための授業ヒント集として、毎月の学習指導ポイントを細かく解説をしています。また、不明点や疑問点などを無料で相談できます。
http://www.djn.co.jp/support/
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 鈴木鷹志)
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