どこの場所かな?(表と棒グラフ)-タブレットを使ってみんなで調べてみよう-

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目次

1 はじめに

平成25年6月6日~6月8日、New Education Expoが開催されました。本稿は、8日に行われた筑波大学付属小学校の公開授業「ICTを活用した国語・算数の授業」の算数の教育実践です。

ICT機器を活用し、コミュニケーションを活発にする授業の在り方について考えるため、子どもたち全員にタブレットPCを持たせて授業を行います。

本時は「表と棒グラフ」の単元の導入です。

2 授業に入る前に

ちょっとしたあそびをする。
「おだんご」
○○○○○○○○○○○○○○○○○

  • 端から1~3個とっていき、とれなくなると負け。
  • 生徒と先生が1対1で勝負するが、クラスメイトも生徒に大きな声で助言したり応援したりしながら一緒に参加する。
  • そのあと、生徒たちだけで隣同士勝負して、先生は勝った人を聞く。

このあそびで、クラスがなごやかな雰囲気になる。

3 ねらいと目標

ねらい

  • 資料をもとに数値的に整理し、2年生の既習を生かして○を使用したグラフなどに表し、図化する。
  • 電子黒板に写ったアニメーションの様子が地図上のどの地点の様子かを考える。

目標

<単元目標>

  • 棒グラフのよみ方やかき方を理解し、それらを目的に応じて用いることができる。
  • 資料を簡単な2つの観点から分類整理して、2次元表にまとめる仕方を理解する。

<本時目標>

  乗り物が通過する様子の特徴を調べるために、その様子を数値化し、表に整理して表したりグラフに表したりすることができる。

活動のポイント

(a)子どもたちが目的をもって表と棒グラフの学習をするために、最初に地図を見せて次のように言う。

「今から見せる映像は、この地図の中のどこかの道路の様子です。この場所はどこでしょうか。」

(b)こう聞いてから乗り物が通過するアニメーションを見せる。

  • 子どもたちは「バスが多い」とか「タクシーも多いよ」といった特徴を言うかもしれない。
  • 地図を見れば病院やスーパーがある。病院の近くの道路だったら救急車が多く通るのでは。子どもたちはいろいろ考え思いつき、意見を言うかもしれない。

(c)それらを聞いてから「この場所の特徴をとらえるためにどの乗り物が何台か調べてみようか」と投げかける。

→どんな特徴があったかをみんなで話し合い、より正確にとらえたいという意欲を引き出す。

(d)目的をもった乗り物調べをすることで、整理した数値の意味を考え、

子どもたちが本気になって学ぶ姿を引き出すことができる

4 ICT機器を使ってコミュニケーションをとろう

子どもたちに乗り物が通過するアニメーションを複数回見せ、どの乗り物が何台通ったかを調べさせる。徐々にコミュニケーションを活発にとるようになる。

はじめに

先生「この地図をみてください。みんなは、自分のパソコンの画面に地図のファイルを開きましょう。」

児童「あっ、地図が出てきた」「駅がある!」「開き方が分からない」

  • 地図は各タブレットPCに事前に入れておく。
  • タブレットPCの使用方法が分からない児童もいるので開いてあげる。

学習の流れ

〈1回目〉

(a)一生懸命数えて暗記する。

(b)ただ見ているだけでは覚えられないことに気づく。

(c)より正確に調べるためにどうするのがよいかを話し合い、メモをとることを思いつく。

〈2回目〉

(a)タブレットPCにトラックや救急車などの項目を立て、正の字や○を書いて通過する車を数える。

→子どもたちは自分たちで○や△、正の字など、数え方を生み出していく。

→正の字を書く子どもがいたら正の字のよさを考えさせる。

「どうして数えるときに正の字を使うのかな?」

→子どもたちのタブレットPCの各画面は、教師用のPCで一括して見ることができる。そこで、これはと思

う画面を提示用の大きなスクリーンに映し、どんなメモのとり方がよいのかをみんなで検討する。

(b)再び問題に気づく。アニメーションを見ながらメモするのは難しい。

(c)どうすれば良いのだろう?

〈3回目〉

(a)2人1組になって、1人が通過する車を読みあげ、もう1人がタブレットPCに書き込むことにした。
正の字などで車の台数を表に整理したら、台数が少ない乗り物は「その他」としてまとめるとよいことを伝え、改めて表を作りなおす。

(b)1台のタブレットPCのメモの画面を見ながら、もう1台のタブレットPCに表をつくるという作業になる。

さらに、表の数をぱっと見て比べられるようにするためにはどう表せばよいかを、今まで習ってきたことをふまえて考える。

先生「調べた数をもっと比べやすくするためにはどう表せばいいかな。」

児童「グラフにしたらいい」「○で書いていこう」

→○のグラフの発想を生かすが、○では書ききれないので、テープ図のような棒にすればよいことを教える。

(c)これもさきほどと同様に、1台のタブレットPCのメモの画面を見ながら、もう1台のタブレットPCにグ

ラフをかくという作業になる。
タブレットPCという楽しい道具を使いながら子どもたちが2~3人で頭をつき合わして学ぶという活発なコミュニケーションの姿が見られる。

5 講師プロフィール

盛山隆雄(せいやまたかお)
筑波大学付属小学校教諭
数々の本を執筆している。
「さんすう脳をきたえる プレNEO教具 おふろタングラム」小学館(2014年)

6 編集後記

私自身タブレットPCを使用した授業を受けたことがなく、新鮮な気持ちで授業や子どもたちの様子を見ていました。子どもたちを見ていると、授業が進むにつれてペンや指を使って互いに話し合っています。子どもたちがタブレットを片手に、どうしたらうまく数えられるか協力しているのを実際に見ることができて、自然にコミュニケーションの場がつくられていると実感しました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 澁川万結子)

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