社会科「これからの日本の工業」で問題解決学習

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作成者:Nanae Mori (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

2014年7月12日、近畿大学附属小学校の「創立60周年記念研究発表会」に伺い、竹下仁章先生の5年生社会科の公開授業を見学しました。近畿大学附属小学校が注力する問題解決学習をまさに実践している社会の授業を紹介します。

2 実践内容

①実践のアイデア

この単元では、現実の社会問題とテーマである日本の工業とを結び付け、子どもたち自身が「これからの日本の工業」の新しいあり方を考えることができるように、調べ学習・グループ活動・発表という構成で授業を進めます。

②実践のねらい

・「思考力・判断力・表現力」を育成すること。
・持続可能な社会を構成する一員としての認識を高め、社会的なものの見方・考え方を深めさせること。

➂指導計画(全4時間)

1時間目:「住みよい社会をつくるために、工業がどんな役割をはたせるか」を調べ考える。
2・3時間目:グループで調べながら話し合い、「工業の力で社会問題を改善する方策」についての発表の準備を行う。
4時間目:グループごとに方策の発表を行い、互いに評価し合うことで、自分の考えを深める。

④指導のポイント

■1時間目(「住みよい社会をつくるために、工業がどんな役割をはたせるか」を調べ考える)

調べ学習をはじめるにあたって、社会問題を、「身近なもの」・「やがて自分たちも直面する問題」として捉えさせることが大切です。工業に関わる社会問題とは、公害問題、地球環境の保全、産業の空洞化などです。これらの問題を身近に感じさせるためにポイントとなるのは、テレビの「エコカー」のニュースの話題に触れたり、自動車のリコールのニュースが載った新聞記事を紹介したり、「子どもたちにとって身近なメディアなどの情報や話題を取り上げる」ことです。また、授業で学んだ話などを持ち出すのも効果的です。
そうして、子どもたちに社会問題を「身近」に感じさせたら、次は、子どもたちに想像・空想をさせます。その空想とは例えば、「授業で習った燃料電池のように、車も走りながら自分で発電できるかもしれない…」というものです。空想を広げやすくするため、子どもたちにとって身近で、魅力的な工業製品を紹介するのも効果的です。
こうして想像や空想の機会を持たせることで、子どもたちは自分たちの空想が実現できるものなのか、実際にありうるものなのか、「調べてみたい」と思うようになります。この「調べてみたい」を引き出せば、子どもたちを積極的に調べ学習へと向かわせることができます。

■2・3時間目(グループで調べながら話し合い、発表の準備を行う)

この時間では、1時間目の空想を現実の方策へと発展させるため、「実現可能性」を意識させることが大切です。そのためには、「これは本当に使えるの?」「日本で実現できるの?」と声をかけたりすることが、ポイントです。
発表の準備では、「自分たちのアイデアがこれからの日本を支えるものであるということを聞き手に伝えること」を意識させることが大切です。「聞き手に実現可能と思わせる」ことを子どもたちに強調します。そのためには、説得力のある資料やデータの提示が必要であることを伝え、資料やデータを用いた発表を作らせます。

■4時間目(グループごとに発表を行い、互いに評価し合うことで、自分の考えを深める) 

この時間のポイントは子どもたちによる相互評価を行うことです。そのために授業のはじめに、評価のプリントを配り、評価の観点(わかりやすさ、声の大きさ、提案の実現可能性、発表が具体的な根拠に基づいているかどうか、など)を伝えます。
}これを全員に伝えることで、発表者が聞き手の立場に立って考えることができるため、その点を意識して発表することができます。他人からの評価があることで、よりわかりやすく伝えようとする工夫を促すこともできます。
聞き手には、それが実現可能なのかどうかを考え、理由をもって評価するよう指導します。
また、自分たちの発表の際の着眼点を他のグループにあてはめて聞くことで、より多面的なものの見方・考え方ができるようにする、ということも4時間目の相互評価のねらいの一つです。

⑤4時間目の指導案

公開授業では、この実践の4時間目が行われました。そこで、4時間目の指導方法について、学習指導案に基づいて詳しく説明します。

■本時のねらい

これからの日本の工業が、どんな分野にどんな工夫をして取り組めばよいか、グループごとに発表し、そのアイデアを互いに評価することで、住みよい社会をつくるうえで具体的に日本の工業がどういう役割を果たせるかについて、自分なりの考えを深める。

■本時の学習展開

3 編集後記

社会問題の改善策を考えるという課題は、小学校5年生の子どもたちにとって、とても難しいものだと思います。しかし、実際にいきいきと自分たちの改善策を発表したり、友達の改善策を興味津々に聞いたりしている子どもたちの様子を見ることができ、驚きました。この実践の何よりのポイントは、子どもたちにとって身近な話題を持ち出したり、魅力的な製品について触れたりすることで、子どもたちが積極的に課題に取り組めるように工夫がたくさんなされていたことだと思います。この実践から、子どもの積極性や主体性を工夫して導くことで、効果的な問題解決学習ができるということを学びました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 森七恵)

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