星を観る会(11月)の資料原稿/参加承諾書(柴田克美先生)

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間教員をなさっている柴田克美先生がホームページに掲載されているさまざまな教育実践法の中の一つを紹介しています。
http://pinokio.blog.jp/

本記事では、実際に星空を眺めながら月や星について解説する、11月の終わりのころの星を観る会の説明会資料及び、保護者向けの連絡プリント(参加承諾書)のサンプルをご紹介します。

2 実践の内容

星を観る会説明資料

★ようこそ、この◯◯小 屋上天然プラネタリウムへ。

それでは、今から、しばらくの間、皆さんを星の世界へご案内しましょう。

(1) 月

★まずは、月です。

明後日が新月なので、今日はもう、ほとんど、見えません。月には年齢があって「月齢」と言いますが今日は28.2歳です。30歳が寿命ですからもうすぐに消えてしまいます。でもまた0歳から出発です。月を望遠鏡で見ると下のほうに大きなクレ−タ−が見えます。これが有名なコペルニクスというクレ−タ−です。クレ−タ−というのは大昔、隕石が衝突した跡なのです。

この、クレ−タ−の跡が兎の形に見えるのです。コペルニクスというのは人の名前で、はじめて、地球が太陽のまわりを回っているといった人です。ガリレオのまえにそういったのです。いままでは、太陽が地球のまわりを回っていると思っていたのですからまったく反対を言ったのです。だから、教会から馬鹿にされ、捕まってしまいました。

望遠鏡でクレ−タ−をよく見てくださいね。

(2) オリオン座

★次は、オリオン座です。

南東の空です。たてに3つならんだ明るい星が見えるでしょう。これが「3つ星」といわれています。この3つ星の左側、およそ、10度ほど東へいったところに1等星の「べテルギウス」という星があります。この星は1等星とはいっても明るさが変わるんです。0.4等星から1.3等星まで明るくなったり暗くなったりします。こういう星を光が変わると書いて「変光星」と言います。星自身が、ふくらんだりちぢんだりするんです。大きさは太陽の1000倍。赤い色をしているもうふるい星です。

今度は三ツ星とは反対に10度ほどいったところに1等星の「リゲル」があります。「リゲル」は白い星でまだ若い星です。若いとか古いといいましたが星にも年齢があるんです。塵が集まって星になり、やがて輝き、白色に高温にそして、何十億年ともえ続けてやがて赤くなり、だんだん縮まり密度が高くなり、おしまいには中性子星とかブラックホ−ルになるのです。

太陽もやがてもえつきます。

地球も膨らんだ太陽にのみこまれてしまいますが、たぶんその頃の人類は脱出の方法を考えているでしょう。

リゲルと三ツ星とのあいだに赤い星のようなものが見えますか。これはM42という星団です。星団というのは星がいくつか固まったものです。正確に言うと固まって見えるだけですが。

M78星雲というのをきいたことがあるでしょう。そうです。ウルトラマンが生まれた星です。このMというのはメシエという略です。M1から110まであります。オリオン座のM42星雲はめずらしい星雲で望遠鏡で見ると馬の形に見えます。そこで馬の頭、「馬頭星雲」ともよばれています。赤いガスがひろがってそこに暗黒星雲が重なっているのですが・・詳しいことは省きます。自分で勉強してみてくださいね。

(3) バラ星雲

★べテルギウスの下にはバラの形をした「バラ星雲」があります。

オリオン座は狩人です。その先には牡牛座があります。いちばん明るい星がアルデバランという星です。映画「スタ−ウオ−ズ」で悪のベ−ダ−卿に爆破されてしまう星です。あ、そんなことは関係ありませんね。牡牛座というのは全能の神ゼウスが美しいエウロパをさらった時に化けた白い牛なのです。

(4) プレアデス星団

★その、牡牛座のアルデバランからさらに10度ほど南にプレアデス星団があります。

M45という星団です。わかりますか。目のいい人は6つ。うんといい人は9つくらい見える人もいるかも知れません。日本名では「すばる」といいます。「昴」という歌、谷村しんじという人が歌っていますが、知っていますか。多分、お父さん、お母さんは知っていると思います。また、「すばる」という車の会社がありますね。あの会社に付いているマ−クがこれ、「すばる」なんです。双眼鏡でみるととてもきれいです。

このすばるがいくつ見えるかでその土地の空のきれいさがわかるといいます。◯◯小のこの地区の空はきれいでしょうか。昴は6こみえるでしょうか。

(5) カニ星雲

★アルデバランから1度北には・・

1054年、今から954年前ですが、大爆発したカニ星雲があります。その中にブラックホ−ルになりかかっている中性子星があります。どんどん、まわりの物がその星に吸い寄せられていっているそうです。

(6) 冬の大三角

★もうしばらくすると、おおいぬ座のシリウスが昇ってきます。

シリウスは全天1の明るさです。オリオン座のペテルギウス、おおいぬ座のシリウス、こいぬ座のプロキオンという星をつないで「冬の大三角」といいます。

(7) アンドロメダ座

★さて、一番上、天頂といいますがそこを見ましょう。

アンドロメダ座です。ぼやっとしている星雲がみえるでしょうか。渦巻き星雲、アンドロメダ大星雲です。M31です。地球からの距離は230万光年。光の速さで行っても230万年かかる遠いところにあります。だから今、みんなが見ている光は230万年前のアンドロメダ大星雲ということになります。もしかしたら今、現在はそこにないかも知れないのです。いま、アンドロメダ星雲で起こっていることは230万年後にしかわかりません。何だか不思議ですね。アンドロメダ座というのは古代エチオピアの王女アンドロメダ姫のことです。このアンドロメダ姫を食おうとしてペルセウス座に石にされてしまったのが南の正面、クジラ座です。ちょっと見えにくいですね。

(8) 北の空

★北の空を見ましょう。

まず、カシオペア座です。ちょうどりゅう座の上あたりです。さきほどのアンドロメダ座の下です。Wがいま反対でMがつぶれたような形です。カシオペア座は王ケフェウスの妃です。

α星とβ星、ε星とδ星を延長した交点とγ星とを結んでその長さを5倍したところの星が「北極星」です。

★この北極星はほぼ、真北にあります。だからこの星を探せば方角がわかるのです。

この星を中心にして全天の星が回っています。というよりは、この方角に地球の中心軸があって、地球が回っているといったほうが正確です。北極星というのはこぐま座のひとつです。こぐまのしっぽなんです。こぐま座に対しておおぐま座というのがあります。有名なひしゃくの形をした北斗七星のある星座ですが、まだ、残念ながら見えません。11時頃には北東の空に見えるでしょう。

(9) ぎょしゃ座

★ペルセウス座の北東にぎょしゃ座があります。

このぎょしゃ座でいちばん明るいのが「カペラ」という星です。そういう名前の車がありますね。車の名前には星の名前が多いのです。最近出た「アルファード」なんかもそうです。このカペラは連星といって1つに見えるけれど本当は2つの星がくっついているんです。くっついているといっても太陽と地球くらい離れてはいるけれど宇宙の広さから言ったらくっついているよな物ですね。大きさは太陽の8倍と10倍。47光年離れています。わりと近い星ですね。連星というのは「宇宙戦艦ヤマト」のガミラス星とイスカンダル星が連星でした。あ、これも余計な話でした。

(10) 土星

★最後は土星ですが、残念ながら明け方の3時くらいにならないとのぼってきません。

今、輪がちょうど一直線上になりかかっていて細いんです。来年は輪が消えてしまいます。土星の月にも輪があることが最近発見されました。

★それでは、星座早見盤で「この星が何座だな」ともう一度確認しながら、星空をながめましょう。とくに、冬の代表「オリオン座」と「カシオペア座」そして北極星の見付け方、この3つはおぼえて帰りましょう。

★これで、ピノキオ先生のお話はおわります。

3 参加承諾書

4 講師プロフィール

柴田克美(本名)

静岡県藤枝市生まれ。明治大学卒業後公立小学校教諭として33年勤め現在に至る。
その間、学研の「学習」「イマジン学園」連載、明治図書各雑誌の執筆、静岡出版文化会の「夏休みの友」など数々の著作がある。
「知的興奮・算数ドリル」(明治図書)はアドベンチャー算数として好評を博した。
近年は大手「アマゾン」の電子本サイトにてペンネーム剣崎克彦の名で「究極のダイエット」「雨ニ負ケ剣崎克彦詩集」「脳を鍛えて120歳」など多彩な分野へも執筆活動を続けている。
幼児教育の重要性を唱え、自分の息子は東大へ入学させている。現在、認知症の予防をするため介護施設をめぐりお年寄りに学ぶことの楽しさを届けている。静岡市在住。

近著
「教室掲示レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動&アイデア事典(仮称)」「学級開き&アイデア事典(仮称)」(いずれも明治図書2015/2、発売予定)

柴田克美教育大全集は開設から半年あまりでアクセス1万件突破。他の実践も多数掲載。こちらもあわせてご覧ください。
http://pinokio.blog.jp/

5 編集後記

現在の日本は夜も街灯で明るく照らされている場所が多く、また空をのんびりとながめることもあまりないように思います。そのため、夜空を見ながら天然のプラネタリウムを体験するというのはとても素敵な実践だと感じました。実際の空では星の見え方が天候に左右され、なかなか実践するのが難しいかもしれませんが、柴田先生のわかりやすい説明は普段の授業でも取り入れやすく、楽しく星や月について学ぶ手助けとなるのではないかと感じました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 内藤かおり)

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