学級づくりは、熱いハートで!~伝説のドラマ『熱中時代』 私には、北野広大先生のDNAが流れている!~

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目次

1 はじめに

この記事は古川光弘先生のクラスづくりについての講座を基に書いていきます。
 古川先生は教員歴29年、現在は教頭を勤めながら、クラスづくりについての本を執筆したり、全国各地で精力的にセミナーを開いたりするなど今まで培ったノウハウを発信しています。
 今回は、1980年代に流行った『熱中時代』というドラマの主人公『北野広大先生』をモデルに、クラスづくりのコツについてお話されました。今では教頭という立場にいる古川先生の若いころの失敗談や、管理職の先生からは注意されそうなことにも思い切って取り組んできた思い出などを語りながら進んでいった講座でした。そのため、日々の実践に悩んでいる若い先生におすすめの記事です。

2 揺るがない信念を持つこと

自分が一度決めた方針や考えは、よほどのことがない限り揺るがさないことが大切です子どもや保護者の方になにか言われるたびに、自分の考えをフラフラさせていると、子どもが先生のことを信用しなくなります。自分が決めたことには信念を持つことが大切です。ですから、学級づくりには戦略が必要なのです。思い付きでやっても、絶対にうまくは続きません。
 古川先生が新任だった時の話です。当時先生は“子どもは宿題などで時間をつぶすのではなく、思い切り遊んで日々を過ごすべき”だと考えていました。さらに、『熱中時代』の北野先生も同じような考えだったので、自分の方針に自信をもっていました。そこで、初めて受け持ったクラスでは宿題を出さないことに決め、保護者から「宿題を出してほしい」という要望があっても、方針は変えず、宿題を出しませんでした。しかし、宿題のないまま1か月ほど過ぎたころ、当初宿題が出ないことに喜んでいた子どもたちが自ら宿題を出してほしいと訴えてきました。そのとき、生の子どもの声を受けて、古川先生は自分の方針を見つめ直し、それ以来必ず宿題を出すことにしています。
 このように、当初古川先生が保護者の方からの声があっても方針を変えなかったように、自分が何かに取り組もうとするときまずは自分の考えに対して”信念“をもつことが大切です。

3 若い先生だからこそできること

若い間は授業を勉強することも大切です。学校の実務をこなすことも必要です。しかし古川先生は、若いからこそできること、たとえそれが教育的な観点から見ると意味のないようなことであっても、子どもたちにとって、生涯の思い出に残るような冒険的実践を行うことが必要だと考えています。

4 ばかげたフェスティバル(学級崩壊を立て直すきっかけに)

『熱中時代』の中で北野先生 が教室で子どもに 、インスタントラーメンの早食い競争をさせる 場面があります。当時の古川先生はこれに触発され、子どもたちに、土曜日の昼間、インスタントラーメンを持って河原に集まるように言いました。当日それらを大きな鍋にいれ、みんなで楽しみながら食べました。
 このように、くだらないことや、子どもだけではできないこと、誰も想像できないようなことを本気でやることで、子どもたちの積極性や挑戦心、他人と交わる心が育まれると考えています。
 実際、めちゃくちゃなことをしていると思われるかもしれませんが、この“みんなでインスタントラーメンを食べよう計画”を家庭科室で行った先生がいました(河原で行うのは時代背景もあり難しいため)その先生は、学級崩壊しているクラスを受け持っており、学級経営に抜本的な変化が必要でした。そこで思い切って 上記の計画を実行したところ、これが子どもの心を掴み、見事学級の立て直しに成功する要因の1つとなりました。

今は、時代背景もあり、難しいところもありますが、冒険的実践を子どもたちのために具現化する熱い志と実行力を若い先生方は持たなければならないのではないかと思っていますとおっしゃっていました。

5 学校を意外性に満ちた楽しい場所へ

古川先生はクラスづくりに関する講座を行うとき、次の言葉を必ず言うそうです。
 『私は学校を意外性に満ちた楽しい場所にしたい。子どもたち自身がこんなこともできるのかとワクワクしながら登校できる、そんな場所にしたい。教室が意味のあることばかりの学ぶ場ではなく、それほど大切でないこともつまらないことも一緒に勉強できる、そんな場所になったらいいな、と思っている。』
 この言葉は『熱中時代』のなかに出てくるセリフを基に先生が考えた言葉です。この言葉を聞くと、先生の教育実践は、勉強はもちろん、子どもをワクワクさせることを本当に大切にしているのだと理解できます。

6 古川先生関連記事

学級ワンダーランド計画(古川光弘先生)
 https://edupedia.jp/article/53233f93059b682d585b643b
 ここにも古川先生のクラスづくりに役立つ様々な知恵があります。たとえば、クラスの雰囲気をよりよくする“ハッピーレター”など、この記事で取り上げきれなかった実践も詳しく紹介されています。ぜひご覧ください。

7 実践者プロフィール

古川光弘(ふるかわみつひろ)先生
教職経験年数は29年。『子どもの心をどうつかむか』を生涯のテーマとし、日々の実践に取り組む。著書多数。2013年2月、新著『学級づくり成功の原則−魔法のアイデア50選』(明治図書)を発刊。昨年度、教育新聞(教育新聞社)に、古川流・学級経営の真髄「教室ワンダーランド計画」を連載。
HP『古川光弘の教師修行』http://www1.winknet.ne.jp/~furu1962

8 編集後記

古川先生の講座を聞くのは、2回目だったのですが、相変わらずエネルギッシュで、古川先生が話し出すと、先生たちはそれに引き込まれていました。
 また、管理職の立場になった今でも、思い切ったことをやってみることも大切だとおっしゃっていた姿は心に残ったし、このような方がいる職場は心強いだろうなとしみじみ思いました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 岸 剛志)

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