絵本『こころの花たば』で「植物愛護」の授業(坂本哲彦先生)

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目次

1 はじめに

この記事は、坂本哲彦先生が運営されているホームページ、「坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり」から引用させて頂いたものです。坂本哲彦先生のホームページはこちら→
http://sakamoto.cside.com/

2 この記事で紹介する実践

資料

『こころの花たば』城谷英男 作・絵 PHP研究所 1998年

対象

小学校1,2年生

ねらい

町の人の気持ちを想像することを通して、おじいさんの願いのよさを感じ取るとともに、植物を大切にしようとする心情を高める。
 また、町の人が「こんな石ころだらけのところで、花なんてそだつわけがないよ」と遠くから見ていた時と、「そうだ、わたしたちももっと花をそだてていこう」と花を植え始めた時を対比的に取り扱うことで、おじいさんの願いのよさを際だたせることで、植物を大切にしようとする心情を高める。

3 学習過程

①「今、育てている花(朝顔やミニトマトなど)に、毎朝、何と言いながら水をやっていますか?教えてください。」(5分)

  • 教師の卓上に、育てている鉢をもってきて、それを示しながら問いかける。または、教室の外に出て、自分自分の鉢植えを前にして、発表活動をする。
  • 実際に水をやりながら、話しかける言葉を発表するのもよい
  • 「早く大きくなってね」や「丈夫に育ってね」、「おなかがすいたでしょう。はい、お水ですよ」、「おお、葉っぱがひとつ増えてるね」など、

  (1)子どもの願い (2)語りかけ (3)新しい発見 などに分けながら板書する。

②「今日は、『こころの花たば』という話で、勉強しますよ。今からゆっくり読みますから、みなさんは、この町に住んでいる人になったつもりで、町の人の気持ちを想像しながら、聞いてくださいね。」(5分)

  • ゆっくり読むと、4分半かかります。
  • カラーコピーしたさし絵と大切な部分の文章を書いた短冊を黒板に添付します。
  • いつもながら、時々、子どもたちのつぶやきに反応しながら、(つまり時々立ち止まりながら、語り聞かせます。)OHCで提示するのもいい。

③「こんな石ころだらけのところで、花なんて育つわけないよ。」と言っていた町の人は、どんな気持ちだったでしょうか?プリントに書いてください。「花なんて育つわけないよ」の後にどんなことを言ったかを考えて書いてもいいですね。どうぞ。(10分)

書く活動に5分かかります。

  1. 石ころばかりのところに花なんて育たない(という科学的な考え)
  2. 花なんて育てて何になるのか(という花を育てることのよさが分かっていない考え)
  3. 変なおじいさんだな(という花とは関係なく、単に見知らぬおじいさんを受け入れない考え)が出てきます。分けて板書します。

④「そうだ、わたしたちももっと花をそだてていこう」と言いながら、たねをまき、花をうえはじめた町の人たちは、どんな気持ちだったでしょうか?」(15分)

③と対比的に扱う。

  1. 花のある生活のよさ、楽しさに触れた発言
  2. おじいさんに代わって、町を花いっぱいにしたいという発言
  3. おじいさんの命の代わりとして花を育てたいという発言に分けて板書。

どれも大切な考え方なので、認めながら板書。町の人の気持ちが③から④に向上的に変容したことを確認して、「花は、単に『きれいで、気持ちが安らぐ』というものだけではなく、『それ以上(一つのかけがえのない大切な命、人と人を結びつける力をもつもの、』等であることを、子どもの発言を借りてまとめる。花(や植物)に対する意味づけが、子どもたちなりに高まればいいです。結局おじいさんの気持ちを考えていることになるわけです。で、それは、結局子どもたちの中の「植物に対する思い」を引きだしていることにもなるわけです。

⑤「毎日、水をやるのが楽しみになってきましたね。みなさんにとっての『こころの花(たば)』が咲くといいね。」とまとめて、授業終了です。

4 実践者プロフィール

坂本哲彦(さかもとてつひこ)
 山口県山口市立徳佐小学校教頭。
 1961年生まれ。
 山口大学卒業、山口大学大学院修了。
 山口県内公立小学校教諭、山口大学教育学部附属山口小学校教諭、山口県教育 庁指導主事等を経て、現職。
 自身の経験を活かして、道徳実践をHP、メルマガで数多く配信している。
 坂本哲彦 道徳・総合のページhttp://sakamoto.cside.com/

5 編集後記

短い絵本ですが、それゆえに低学年の実践にはふさわしいと思いました。
  短い物語のなかで、植物への思いやりや、人の心の動きを感じる力が養えるような内容でした。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 岸剛志)

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