「金子みすゞ」でいじめについて話し合う(坂本哲彦先生)

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作成者:Mana Tanaka (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

この記事は、坂本哲彦先生が運営されているホームページ「坂本哲彦 道徳・総合の授業づくり」から引用させて頂いたものです。坂本哲彦先生のホームページはこちら→ http://sakamoto.cside.com/

2 対象

小学校1・2年生

3 ねらい

金子みすゞの童謡「こだまでしょうか」の主題(よさ)を話し合い、よいこだまをロールプレイすることを通して、積極的に温かい言葉を掛け合うことで、友達と仲よくしようとする態度を養う。

4 学習内容

(1)どんな人でも、温かい言葉をかけられれば温かい言葉を、冷たい言葉をかけられれば冷たい言葉をかけかえしてしまうことに改めて気付く。

  • 童謡の「だれでも」が「どう」なのか話し合い、自分の考えをもつこと。

(2)温かい言葉をかけたりかけられたりする心地よさを実感する。

  • 温かい言葉をたくさん見付けること。
  • 実際に二人組、三人組で温かい言葉をかけあうこと。

5 資料

『こだまでしょうか、いいえ、誰でも。—金子みすヾ詩集選』金子みすゞ 宮帯出版社 (2011/4/26)

6 学習過程(60分授業)

①童謡「こだまでしょうか」を読み、感想を発表する。(10分)

みすゞさんの童謡を読み聞かせる。

発問1:「感じたことを自由に発表してください。」

  • 「こだまって何だろう?」
  • 「こだまが、同じ言葉を言い返すのは、わかる」
  • 「自分も馬鹿って言われると馬鹿って言い返すことがある」
  • 「こだまに似ているかも」
  • 「こだまでしょうか、いいえ、だれでも。のところの意味がよくわからない」

などの発言が出るでしょう。

そこで、④の発言を捉えて、
「みすゞさんがこの童謡を書いた気持ち、皆さんに伝えたい気持ちを考えてみましょう」と課題提示する。

②みすゞさんの言いたいことについて話し合う。(20分)

発問2:「『だれでも』『どう』のでしょうか。」

【「だれでも」について】

  • 「だれでも」っていうのは、わたしたち「人間も」という意味だと思う。
  • 「人間も」「こだまも」同じということじゃないかな。
  • 「子どもだけをさしているのかも、だって、遊ぶとか、ばか、とか言っている」
  • 「大人も遊ぶとか、馬鹿とか言う。いやあまり言わないけど、心の中では思っている、子どもだけじゃなくて人間みんなだと思う」

などの意見から、
「こだまだけじゃなくて、人間、大人も子どももみんな」ということだね、とまとめる。

【「どう」について】

  • 「遊ぼう」って言われたら「遊ぼう」って言い返す
  • 「遊ばない」って言われたら「遊ばない」って言い返す
  • ただ言い返すだけじゃなくて、「遊ぼう」って言われたら、「自分も一緒に遊びたくなる」。反対に「馬鹿」って言われたら、人間はみんな「馬鹿」って言い返したくなるっていうこと。
  • 相手に優しい言葉を言ったら、言われた方も優しくなって、優しい言葉を言い返したくなる。反対に、「馬鹿」とか、冷たいいやな言葉をかけたら、自然に相手が嫌いになって、「馬鹿」っていう気持ちになるってことだと思う。

などの意見から、
「大人も子どもも、こだまと同じように、『温かい言葉』をかけられると不思議と相手に温かい気持ちをもち、『温かい言葉』をかけかえしたくなるし、逆に、『冷たい言葉』をかけられると、なぜか魔法にかけられたように相手に『冷たい言葉』をかけかえしてしまう。ことばは不思議な力をもっている。」とまとめる。

※だれが】【どう】を話し合うとき、

  • 自分がそんな言葉をかけられたらどんな気持ちがするか
  • 自分がそんな言葉をかけたり、かけられたりした経験はないか

などの体験を尋ねて、思いを確かにしたり、先生はこんな経験があったよ、と補説したりしながら、考えを進めることができるようにする。
また、2,3人の子どもにはみんなの前で簡単なロールプレイをさせて、どう感じたのかという感想を引きだしてもよい。

※最終的に上記下線の部分をしっかり板書し、「ことばのふしぎ」としてまとめる。

※この際、昨今のいじめの問題に触れ、いじめは、この「冷たい言葉のこだまから始まる」として、注意が必要であることを指導する。教室に「冷たい言葉のこだま」が聞かれるようになったら、要注意。みんなで「温かい言葉のこだま」が響く教室であることを望んでいると、話す。(終末に話すこともできる。)

③「温かい言葉」を探し、ロールプレイする。(20分)

発問3:「『温かい言葉』を1枚のカードに一つずつ書き出してみよう。何枚書いてもいいです。」
※冷たい言葉を書くこともできるが、ここではあえて「温かい言葉」だけに着目して書かせることにする。

「○○貸してあげる」「がんばって」「一緒に○○しよう」「一緒に帰ろう」「何困ってるの?」「何かいやなことがあったの?」「わたしが○○しようか」「おはよう」「さようなら」「明日も一緒に遊ぼうね」「何だか元気がないね。どうしたの」「元気出して」「代わりにわたしがやってあげるよ」「ごめんね」「わたしが悪かった」など出るでしょう。

特に「おはよう」などの挨拶や「相手の気持ちを尋ねる言葉」が「温かい言葉」の仲間であることなどに気付かせる。

発問4:「では、今見付けた温かい言葉を互いに言い合って、どんな感じがするかやってみましょう。」
※ロールプレイをする。「冷たい言葉」のロールプレイはしない。いい気持ちを味わうだけにすることが、この時期の子どもにはプラスになるのではないかと考えるからである。(もちろん、冷たい言葉をたくさん見付けあって、何が冷たい言葉なのか「知的な理解」を図るとともに、それを演じあって、その不快感を感じ合うこともよい実践とは思う。)

④お家の人に手紙を書く。(10分)

まとめとして感想を書く活動を、お家の人への手紙という形式にして、家庭でも「温かい言葉」を使いあっていただくようにお願いする。

7 実践者プロフィール

坂本哲彦(さかもとてつひこ)
宇部市立西宇部小学校校長。1961年生まれ。
山口大学卒業、山口大学大学院修了。
山口県内公立小学校教諭、山口大学教育学部附属山口小学校教諭、山口県教育庁指導主事等を経て、現職。
自身の経験を活かして、道徳実践をHP、メルマガで数多く配信している。
坂本哲彦 道徳・総合のページhttp://sakamoto.cside.com/

8 編集後記

金子みすゞの詩から、「こだま」をうまく活かした実践だと思います。詩を読んで感じたことを共有するだけでなく、ロールプレイをすることで子どもたちにとって印象強く残るのではないでしょうか。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 田中真奈)

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