1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
http://homepage1.nifty.com/moritake/sonota/komyuni.htm
2 実践内容
【自己紹介】
言語による自己紹介「こんにちは、○○と申します。よろしくお願いします」
非言語によるコミュニケーション
- 自己紹介:握手、包容など。
- 誕生日順に並び替える
- 非言語で自己紹介するときに何を気をつけましたか?目を合わす。笑う。姿勢を低くするなど
グループエンカウンターをスムーズにおこなうために
- あっち向いてホイ:5回勝った人にみんなで拍手しましょう。
- 動物自己紹介:自分を動物にあてはめて「○○の森竹です。よろしくお願いします」のように自己紹介をしましょう。
【図形を描いてみよう】
○△□◇で構成された図形を見ないで再現していく。
一方向のコミュニケーション
質問は受け付けない。一方的に図形の説明を聞いて図形を描いていく。 → 結果はよくない
双方向のコミュニケーション
わからないときは質問をしながら図形を描いていく。→ 正確な図形が描ける。
【対決と調停】
やりかた
- 3人組をつくり、2人が対決し残りの1人が調停をする。
- 冬休みに学年旅行に行くという設定
- 一人は北海道、もう一人は沖縄に行こうと主張する
- 対決役は何とか相手を説得しようとする。
- 調停役は、話し合いをまとめる努力をする。
- 時間は約10分
- 演習後、感想を述べあう。
対決役のポイント
- 矛盾、混乱の指摘・自己開示・(事実、感情、思考)・情報提示・自己主張
調停役のポイント
* 目標は?・現状は?・問題点は?・方法は?
【面接の連続技法】
能動的
↑
│
│ 対決
│ 説得
│ 指示
│ 自己開示
│ アドバイス
中間三技法
│ 焦点合わせ
│ 開かれた質問
│ 閉ざされた質問
│
│ 支持
│ 明確化
│ 繰り返し
│ 受容
│ 非言語的表現
│
↓
受動
【立体図形の再現】
ルール
- 16本の棒で構成される立体をチームで協力しながら再現する。
- 制限時間は10分。全部で12回だけ見本を見ることができる。
- メモを取ってはいけない
- 1回に見に行けるのは、チームで1人だけ。(2人同時には見に行けない)
- 正解を見ながら、どのような作戦を立てたか、グループごとふりかえる
【チームとメンバーシップ】
チームとは
集団の目標に向かって各自の仕事がスムーズに機能していること
- 目標の一致
- 役割
- 方法の修正
- 権限と責任
メンバーシップとは
A:中間報告
不安の解消
目標や方法の修正
B:役割範囲
C:信頼関係の醸成
情報を共有化しないとチームとして機能してこない、傍観者を作ってしまう。行動を具体的にイメージできる目標がよい。
【船長の決断】
- 船が沈没しそうなとき、どの行動からするか優先順位をつける
- グループで話し合いをしてグループの意見を決める(25分)
- 答え合わせをする
- 正解と自分の答えの差を求める
船長の決断
あなたは船長です。東京晴海を出発して、土佐湾を過ぎ、まもなく日が暮れようとしています。海は波がなく、静かに航海しています。ところが濃霧が発生し、視界が悪化してきました。レーダーに船の影が映ったとき、すでに衝突を回避する適切な時機を逸してしまい、衝突をしてしまいました。あなたは、直ちに船長として適切な処置をとる必要があります。課題は次の10項目の処置の中で、あなたが最も重要で素早く処置しなければならないものを1とつけ、順に10までの順位をつけることです。(同順位をつけないこと)船長としてすぐに決断して下さい。
A:音楽:船内に、興奮を静めるための音楽を流す。
B:救命艇:乗務員に救命艇を降下するように命令する。
C:発電機:非常発電機が運転されているか、チェックさせる。
D:つり道具:各救命艇につり道具を分配させる。
E:医薬品:船医に衣料品を持ち出させる。
F:状況確認:衝突箇所の現場に乗務員を配置し、事故の状況を把握確認させる。
G:非常通知:船内に非常事態を通知する。
H:水密戸:船体破損区画の水密戸を閉鎖させる。
※水密戸(すいみつど):水の侵入を防ぐための戸
I:相手救助:相手船の乗務員の救助のために救命艇を降ろさせる。
J:SOS:近くを航行中の船にSOSを発信、救助を求める。
正解(数字は優先順位)
1F 2H 3G 4B 5J 6C 7I 8E 9D 10A
A10 B4 C6 D9 E8 F1 G3 H2 I7 J5
絶対必要なのは1~5、中間は6~8、不要は9~10とベテラン船長たちは考えている。これはどの船長も同じ答えになった。
対人的な葛藤処理の対応のタイプ
a妥協型:安易に相手の言うことを聞いてしまう。
b固執型:自分の考えにいつまでもとらわれる
c融和型:相手との接点を見つけていく
d問題直視型:とことん相手との違いを追求していく。
e回避型:いくら言ってもやってくれない
dを中心にしてcでバックアップするのがよい。
危機管理について
1 危機の予知
2 危機の回避
3 危機への対処
(1) 状況を把握する :船長の決断では、F
ア 何が起こったか
イ どんな状況か
ウ 危機の意識
(2) 応急処置 :船長の決断では、H
(3) 非常事態の通知 :船長の決断では、G
(4) 第二次への処置、対応:船長の決断では、B・J
グループの成長とリーダーシップ
グループメンバー
a 不安、ためらい
b 親近感が生まれる
c 不平不満が出る
d まとまり始める
e 安定、成熟
リーダー
- 指示、教示型:グループが未成熟なときに有効
- コーチ、説得型:やる気はあるけど、十分な力がないとき
- 参画、援助型:チームと話し合いながらすすめていく
- 委任、委譲型(非指示):おまかせ
どれがリーダーとしていいというわけではない。集団の性質を見て使い分けていく必要がある。
ブレーンストーミング
- 自由奔放
- 数多く発言すること
- 批判はしない
- 他と結び合わせる
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
多様な意見を戦わせるディスカッションの経験は、将来社会に出る際には必要不可欠なものでありますが、小学校の教科教育においては積みにくいです。このようなゲームを通じて少しでも経験させられるとよいのではないかと思います。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部)
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