1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
「すてきな靴」という題材で、水彩画をしました。今回は、下絵・色づくり・バケツの水・色塗りなど、基本的なことを教えるのが主なねらいです。各自が自分の家から素敵な靴をもち寄りました。
① 下絵をかく
持ってきた靴をよく見て書きましょう。「かたつむりの線用意」と言ったらキャップを外して紙につけます。「スタート」と言ったら動き出します。紙から手を離してはいけません。
「かたつむりの線」というのは、かたつむりが動くようにゆっくり描く線のことです。こうすることで丁寧で味わい深い線になります。「かたつむりの線」で描くと「液だまり」ができます。
「液だまり」というのは、絵を見るとわかるように、インクが上にしみて玉のような状態になっていることです。ゆっくり書かなければこの液だまりができません。
「先生、どうやって書いたらいいですか?」と聞いてくる子どもがいます。そんな時には「大丈夫。動き出した後は手が考えてくれます」と答えます。
「先生、間違えてしまったので、裏に書いてもいいですか(もう一枚紙をください)」とも聞かれることもあります。そんな時には「動き出したがもう後へは振り返りません。人生と同じです」と答えます。子どもたちは変な顔をしますが、きっぱりこのように宣言します。
② 下絵が小さくなってしまった時には
たっぷり時間をかけて、すてきな下絵を書きます。色塗りを始める前に、下絵が小さくなってしまった人で、絵を大きくした人はいますか?と問います。
自信がないためか、どうしても下絵が小さくなってしまう子がいます。小さな絵では迫力が出ないので、コピー機を使って拡大コピーをしました。同じ形でも大きさが違うとずいぶん印象が違います。こうすることで大きく描くことのよさに気づかせることができます。
③ 色塗りの前に
そして、絵の具の使い方のポイント説明しました。
- 黒と白は使わない、色を混ぜるときは、大きな部屋で。白を混ぜると色が濁り、黒は他の色を殺してしまうため。仕上げで少しだけ使うのはよい。
- 色を混ぜる時には、大きな部屋で500円玉ぐらいの大きさにする。色は必ず混ぜて使う。チューブから出してそのままは使わない。
- 三つに分かれたバケツの部屋には、使い方が決まっている。
- 絵の具は濃いめにぬっていく。紙が透けて見えるないようにする。
- パレットやバケツが汚れたどんどん洗う。パレットをぐちゃぐちゃにしない。
- くまどり筆は魔法の筆。どんなに細かいところでも描けるし、太くもかける。
一つ一つあげてみると、こんなにもたくさんのポイントがあります。
④ 色塗りのポイント
さて、いよいよ色塗りです。
絵のなかでいちばん細かなところから色をつけよう。線は踏まないように塗ろう。と言います。
これは丁寧にさせるためです。「神経を集中して丁寧に」、これがいい絵を描く書くための秘訣です。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」「学級開きルール&アイデア事典」
(いずれも明治図書2015/2、発売予定)
5 編集後記
各自で自分の家にあるすてきな靴を持ち寄り、下絵・色づくり・バケツの水・色塗りなど、基本的なことを子どもたちが楽しく学ぶことができる実践だと思いました。また、図工の楽しさにも気づくことができる実践であると思います。ぜひ、取り入れてみてください。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 川原悠成)
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