1 はじめに
こちらの記事では、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 教材名
『体を守る仕組み』(中村桂子作)
3 実践内容
私たちは体を守る仕組みを持っている。病気の原因となる微生物の侵入を防ぎ戦ってくれる。そんな人間の優れた体の仕組みについて学習した。
以下、5つの問いかけを中心に実際に行われた授業をまとめた。
「作者がこのお話で一番言いたいことは何ですか。ずばり一言で書きましょう」
たくさんの「ズバリ一言」が出された。本当に愉快である。中には思わず笑ってしまう「ズバリ一言」があった。
- 自分たちの体の中はどうなっているか
- 白血球がどんな役目をしているか
- 体にはいろいろな仕組みがある
- 体には仕組みがたくさんある
- 体の仕組み
- 体を自分で守る働きができる
- 体にはいろんな守る仕組みがある
- きみたちが危ない
- 手洗いうがいをしろ
- 健康一番
- 自分はこんなに素晴らしい など
たくさんの「ズバリ一言」が出されたところで、どれがいいと思うか尋ねてみた。
「みなさんは、どの『ズバリ一言』がいいと思いますか。一つずつ聞いていくのでいいと思ったら拍手をしてください」
挙手の数ではなく拍手の大きさで人気度を測った。中には拍手する人数は少ないのに、一人で頑張って拍手をしている子もいた。子どもたちに一度人気の高かったものは
- 自分の体はすごい
- 健康一番
- きんがいるよ
- きみたちが危ない
さて、今度は私も点を付けていった。
「みんなの書いたズバリ一言に先生も点数をつけていきます。○がいくつつくか見ていて下さい」
◎ どんなものが体を守っているか(パラパラ)
◯ 体はこういう働きをしている(シーン)
無 病気の原因はこんなもの(パチパチ)
無 きんがいるよ(パチパチパチパチ)
◎ 体の仕組み(シーン)
◯ 自分たちの体の中はどうか(シーン)
3◯ 体にはいろんな守る仕組みがある(パチパチ)
子どもたちの人気度(丸括弧内)と私の評価が必ずしも一致していなかった。
「先生はあるルールで◯の数を決めていたのだけれど、どうして◯がついたりつかなかったりしたかわかりましたか」
子どもたちは「ズバリ一言」と◯の数を見比べ、以下のような気付きを得ていった。
- [体]という言葉が入っているものは◯がついている。
- 題名に「体を守る仕組み」とあってそれと関係している
- [体][守る][仕組み]があると◯が一つ増えている。
- 題名をもとにして◯の数を決めている。
「この作者が言いたいことは7文字です。さあ、何でしょう」
「えぇ」という驚きの声。指折り数えながら文字数を合わせている。
勘の鋭い子は「あっ」と気付いた。「教科書に書いてあるよ」とヒントを出すと、慌てて「どこどこ?」とページをめくっている。もうわかった子は、「大きく書いてあるよ」とニヤニヤ。
実は題名にこそ作者の一番伝えたいことが端的に書かれていることを説明した。
4 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
5 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
6 編集後記
「作者の最も言いたいことを一言で表す」というのは、児童の読解力、表現力を見るのに最適なワークだと思います。
また、この教材から得た学び(=題名にこそ作者の一番伝えたいことが端的に書かれている)を他の文章にも応用できるというのは、児童にとって以前読んだことのあるものに立ち返る良いきっかけとなるでしょう。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 陣内萌)
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