1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
高学年になると体育館の会場準備をする機会が多い。卒業式や入学式などシートを敷いたり、机いすを列べたりする。この会場準備をするとき、遊ぶ子どもがなく、手早く準備をする方法を示す。
会場準備のポイントは、
1.4人一組で仕事をさせる。
2.一回つき一つの仕事を指示する。
3.仕事をするときと休憩をするときのメリハリをつける。
体育館にシートを敷き、机いすを列べる場合は、以下の手順でおこなう。
背の順4列でならんでください。横にいる4人のメンバーを確認しなさい。この4人が一組になって、すべての作業をおこなっていきます。
体育館のフロアーに背の順4列で列び、4人一組になって作業していくことを確認する。背の順の4人一組にすると、男女各二人づつとなり、なかよしグループにならない。そのため仕事中に遊ぶことが少なくなる。
前の方から順番に、列ごと先生のところに来なさい。何をするか指示をしますから協力して仕事をしていって下さい。仕事が終わったら、また4人で先生のところに来なさい。
一回につき仕事を一つだけ与える。与えられた仕事が終わってから次の仕事に取りかかるようにする。こうすることで、何をしたらいいかの目的意識がはっきりしているので子どもが動きやすい。(一時一事の原則)
次に、シートの敷き方を子どもたちに説明する。
4人一組でシートを引きます。図のように2人はシートの端を持って広げていきます。残った2人のうち1人はシートがずれないように端を持っていなさい。もう一人は、隣のシートと少しだけ重なるように調整をしなさい。
シートが敷き終わったら、次は机・いすである。これもシートの場合と同様に4人一組で机を運んだり、いすを列べたりする。特にいすの場合、4列に並べることが多いので、4人で一つの列を作るようにする。(順にならべる)
(□:いす ○:児童)
□ □ □ □
□ □ □ □
□ □ □ □
○ ○ ○ ○
↑ ↑ ↑ ↑
作業が進んでくると進みぐあいに応じて、とりあえずの仕事がなくなる場合がある。そのときには、
「今のとことやることがないよ」と言われた組は、はじめに列んでいた場所に座って、休憩していなさい。
座って休憩を入れることによって、作業にメリハリが出る。仕事がなくて何をしていいかわからないとき、子どもがフラフラと遊び出すのは自然なことだ。仕事がないときは座って休ませ、仕事ができた時点でまた指示をすればよい。次に、シートのたたみかたの手順を以下に示す。
4人一組でシートを片づけます。図のように2人はシートの端を持って半分にたたんでいきます。残りの二人は、シートの半分のところで待っていて、半分に折れたところで端をそろえます。端をそろえた人たちは、また半分に折っていきます。先に折った人たちは、今度は真ん中でそろえる役になります。
文で書くと少しわかりにくいが、たたむ役とそろえる役が交互になる。これが一番自然でスムーズである。
先ほどと同じように、作業が終わった列から順に背の順4列でならんで休憩していく。全部の仕事が終わったときには、子どももはじめと同じようにならんで座っていることになる。全員がいることを確認してから、ねぎらいの言葉をかけて解散する。
4列一組で作業をすることによって、子どもが何の仕事をしたらいいのかがわかる・遊び始めても、同じ列の子が注意してくれる・次に何の仕事をしたらいいか聞きに来るので、大声を出して指示を出さなくていい、などの利点がある。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
卒業式や入学式の準備の際に使える実践です。効率よく作業を進めるための工夫の仕方は様々あると思いますが、この記事では4人1組で共同作業をさせることがポイントとなっています。一人ひとりが散らばって準備をしていると、しっかり頑張る児童の傍らで、作業をさぼって体育館の隅で遊びだす児童が出てきます。しかし、やることを明示したうえでグループ行動させると、連帯意識や責任感がわいてきて、協力して準備に取りかかることができるようになるのではないでしょうか。出会いと別れのシーズンにぜひ取り入れてみてください。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 内藤かおり)
コメント