わにのおじいさんのたからもの(シリウス)

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目次

1 はじめに

こちらの記事では、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 教材名

『わにのおじいさんのたからもの』

3 実践内容

「おじいさんのその後」と「おにの子は宝物を見つけたか」の2点について検討をする。

(1)おじいさんのその後

問いかけ「おにの子と別れたわにのおじいさんは、死んでしまったのだろうか?」

子どもたちは、文中にある言葉を手がかりに証拠を探していった。

< 死んでしまった >

  • 「心おきなくあのよに行ける」と書いてある
  • おじいさんは、優しいから、おにの子に心配かけさせないように「ねむる」といって本当は死んでしまったと思う。
  • 普通テレビのドラマなんかだと、こういう時はだいたい死ぬ。

< 死んでいない >

  • 「 もうひとねむりする」と書いてある。
  • 死ぬじゃなくて、眠ると書いてある。
  • 一眠りで死ぬんだったら、ぼくたちだって死ぬことになっちゃう。

子どもたちは相談をしあっている。「心おきなく」という言葉が分からなくなると、国語事典をパッと調べに行く子たちもいた。こんな中、次の文に気がついた子がいた。

「では、いっておいで」と書いてある。

問いかけ「『いっておいで』とは、またおじいさんのところに戻ってくるのですか?」

< もどってくる >

また会えることだよ。

このことに気づくと、おじいさんが生きているか生きていないかに気づいた子があらわれた。

< 生きている >

「いっておいで」は、行って帰ってくることを意味する。もしおじいさんが、おにの子ともう会うつもりがなかったら、「行け」とか「もう行きなさい」という言葉を使うと思う。でもおじいさんは「行っておいで」と言っているから、まだ生きているつもり。

正解を導くには、根拠になる言葉が少ないので何とも言えないが、おじいさんのその後を言葉を手がかりに考えることができた。

(2)おにの子は宝物を見つけたか

問いかけ「おにの子は、たからものを見つけることができただろうか?」

最初の考えは、< 見つけた >3人 < 見つけない >31人であった。それぞれ証拠となる文章をあげていった。どちらの考えの子も、辞書を調べたりヒソヒソ相談をしながらの話し合いとなった。

< 見つけた > 3人

  • 「これがたからものだ」と書いてある。
  • 「おにの子にしては」宝物なのだと思う。
  • 夕焼けだって、宝物だと思う。

< 見つけない > 31人

  • 「たからものを入れたはこがうまっているのを、おにの子は知りません」と書いてある。
  • 「わしのたからものをあげよう」とおじいさんは言っているから。これは、夕焼けのことじゃないか。
  • 「ゆうやけ」という言葉の意味を調べたら、宝物という意味はのっていなかった。
  • もし夕焼けが宝物なら、他の人たちも来て、おーっとか言っている。

やがて < 見つけた > < 見つけない > から、それぞれこんな意見が出された。

< 見つけた >

「せかいじゅうでいちばんすてきなゆうやけが見られる」と書いてあって、世界中で一番素敵なんだから、やっぱり宝物だと思う。

< 見つけない >

そのすぐあとに”~と思いました”と書いてあって、おにの子が自分で(自分勝手に)思ったことなのだから、世界中で一番と決まったわけじゃない。

< 見つけない >派の反論に < 見つけた >派 は、反論ができなかった。
最後のまとめとして、おにの子から見れば、夕焼けという宝物を見つけたことになるし、わにのおじいさんから見れば、ラ印の下に隠された宝物を見つけることになるのではないかという教師の考えを話した。

4 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

5 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

6 編集後記

教科書内で完結することなく、その先までクラス全体で話し合うのはとても有益だと思います。
読み取りの力はもちろん、児童の発想力や想像力を見る良い機会となるのではないでしょうか。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 陣内萌)

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