デジタル機器で授業を変える

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作成者: EDUPEDIA編集部 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

平成20年の学習指導要領改訂により、総則及び各教科・領域において「教育の情報化」に関わる記述が附則された。それ以後、政府や文部科学省が中心となり「教育の情報化」に向けた様々な提言が出されてきた。
 その中でも、筆者が注目したのは、平成26年5月7月に文部科学省から発表された「教育のIT化に向けた環境整備4か年計画」である。この計画では、第2期教育振興基本計画(平成25年6月14閣議決定)で目標とされている教育環境の水準の達成のために、平成26~29年度の4年間で総額6712億円もの予算が地方交付税として地方財政に措置されることになっている。
 これらの予算措置が実現すれば、各教室にはコンピュータ、電子黒板、実物投影機が1台ずつ常設されることになる。また、「設置場所を限定しない可動式コンピュータ」が各学校に40台整備されることになる。
 この「設置場所を限定しない可動式コンピュータ」について文部科学省は、授業中に班に1台で使用したり、児童生徒1人1台で使用したり、利用目的に応じて、様々な利用形態が考えられるとしている。また、具体的な活用方法として、①個人での情報収集、②グループ学習、③屋外での活用、④体育での活用を明示しており、「タブレットPC」を想定しているように思える。
 このように、今後「教育のIT化に向けた環境整備4か年計画」によって、各学校や各教室に多くのデジタル機器が整備されることが予想される。そして、現在の黒板やチョークのように、当たり前に授業の中でこれらのデジタル機器が活用される時代がやってくるに違いない。そこで、以下では、デジタル機器(主に、教室用コンピュータ、電子黒板、実物投影機、タブレットPC)の授業での活用方法について、実践を交えながら述べていくこととする。

2 授業におけるデジタル機器の活用

① 絵や写真を大きく映す

授業におけるデジタル機器の活用として最もメジャーな方法は、教科書の挿絵や写真などを拡大提示する方法である。子どもたちに見せたい部分を大きく映すことで、余計な情報を取り除き、集中して学習に取り組むことできる。以下に、絵や写真などの画像を大きく映すことを生かした授業実践について紹介する。
 算数「10000までの数」の学習では、初めに図1を提示し、縦に10個のどんぐりが並び、それが横に10列並んでいることから100個あることを押さえた。その後、図2を提示することで、100のまとまりに焦点化させて数を数えさせることができた。

また、電子黒板やタブレットPCなどでは、画像に書き込みを加えながら説明をすることで考えを深めたり、より明確にしたりすることも可能である。
 算数「円の面積」の学習では、複合図形の面積を求める際に、面積を求めている部分を色分けしながら説明することで、思考過程を明確にすることができた。

また、国語「おにごっこ」の学習では、前時に考えた手つなぎ鬼の問題点を捉えるために、実際におにごっこを行っている画像に矢印やコメントを付けて提示した。こうすることで、手つなぎ鬼の問題点が明確になり、自分の経験と結び付けながらより楽しい遊び方の工夫を考えることにつながった。

ちなみに、実物投影機でも、透明クリアファイルを使えば、ホワイトボードマーカーを使って説明を書き加えたり消したりすることは可能である。

② 動画を映す

「百聞は一見に如かず」ということわざがあるように、自分の目で実際に見て確かめることは、子どもたちにとって大変わかりやすいものであるだろう。デジタル機器の中でも電子黒板やタブレットPCは、児童に動画を見せることができるのが最大の持ち味である。特に、タブレットPCにおいては、カメラを搭載しているものが多く、手軽に動画をとり、それを見せることが可能である。以下では、動画を生かした授業実践について紹介する。
 体育「マット運動」「跳び箱運動」の学習では、自分の体をどのように動かすのかを自分の中でイメージさせるために、技の動画を大きく映して指導を行った。必要に応じて一時停止をしながら技のポイントを説明していくことで、体の動かし方のイメージをしっかりと持たせることができた。また、子どもがする技を動画で撮り、それを見せることで修正点を明確にして練習をさせることができた。その際、「Coach’s Eye」というアプリを使うと、動画に書き込みを加えたり、動画を2つ並べて再生したりすることができ、より効果的に指導をすることが可能である。(図5・6)

さらに、国語「きみたちは、図書館たんていだん」の学習では、グループで発表を練習する際に、自分達の発表の様子をタブレットPCで動画に撮って見せることで、よりよい発表の工夫を考えさせる指導を行った(図7・8)。普段、客観視することのできない自分達の発表の様子を見ることで、意欲的に自分達の発表の仕方の課題を見つけ修正しようとする姿が見られた。

3 まとめ

このように、デジタル機器は、様々な教科や場面で活用することが可能である。ただし、デジタル機器の活用にばかり目が行き、本来達成しなければならない教科の目標をそらすことになれば元も子もない。
 したがって、デジタル機器を活用して授業を行う際には、デジタル機器が教科等の目標を達成するための1つの手段であることを押さえ、その活用によって学びがどう深まるかをよく考えることが大変重要であろう。
 先に述べたように、今後「教育のIT化に向けた環境整備4か年計画」によって、様々なデジタル機器が整備されることになるだろう。しかしながら、これらの予算は、地方交付税で交付されるため、声をあげなければ現場までその予算が下りて来ない可能性が十分にある。本稿によって、多くの先生方が授業におけるデジタル機器の活用に興味をもち、よりよい教育環境整備のために声をあげていただけることを願っている。

参考文献

文部科学省 (2014)教育のIT化に向けた環境整備4か年計画
http://jouhouka.mext.go.jp/school/pdf/2014ICT-panf.pdf

執筆者プロフィール

菊池 勇希

  • 1988年生まれ、北海道小学校教諭。
  • Twitter(@manbo12)で各種実践を公開中。
  • ICT(特にiPad)の有効活用、単元を貫く言語活動を位置付けた国語授業、授業のユニバーサルデザインが自主研究テーマ。

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