じょうずに断ろう~断る技術~(シリウス)

GOOD!
2760
回閲覧
11
GOOD

作成者:Mayuko Shibukawa (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

薬物講座

薬物の害について、薬剤師さんから話を聞く「薬物講座」の機会があった。この薬物講座では、人体に害を及ぼすものとして、覚醒剤・シンナー・たばこ・お酒などを扱った。覚醒剤やシンナーは稀だとしても、身近な人にお酒やたばこを誘われることは十分に考える。たばこやお酒など、自分がしたくないことを誘われたときにどう断わるか?という生きるための知恵について学習した。

導入

お酒やたばこを飲み過ぎるとどうなるか覚えていますか? 
〈たばこ〉

  • 身体に悪い
  • 止められない
  • ガンの原因になることがある。

〈お酒〉

  • 肝臓に悪い

覚醒剤やシンナーは大人になってもダメですが、お酒やたばこは二十歳になれば飲んでもよいことになっています。大人になったら自分でもしたいと思いますか?(ぜひしたい・かもしれない・絶対にない・まだわからない)

「煙草は吸わないと思うけれど、お酒は飲んでみたい」という声があった。

「煙草は吸わない」子が多かったが、こんなケースを考えてみた。

ケース1 友達からたばこを勧められた時

でも、もし仲の良い友達に「吸ってみないか?」と誘われたらどうしますか?

ケース1 友達からたばこを勧められた時

二人は同じ学校で仲の良い友達です。Aはたばこがとてもおいしいと聞き、吸ってみたいのですが、一人だと勇気がいるので、家からたばこを持ってきてBに一緒に吸ってみないか?と誘います。

A:たばこってすごくおいしいんだぜ。お前もいっしょに吸ってみないか?

私:(    )

教師が誘い役になって声をかけ、子ども達はそれに応じて受け答えをする役割演技をおこなった。さてケース1の場合、どうやって断ったかというと

Aタイプ:嫌だ、つきとばす、やめろっていってんだよ

Bタイプ:わからないよ、えー、1本くらいいや

劇のようなものであるから、そのたびに明るい笑い声が起きた。いろいろ言わせたあとで、出てきた受け答えを二つに分けてみた。実は、Aタイプのような断り方を〈攻撃的コミュニケーション〉といい、Bタイプのような言い方を〈消極的コミュニケーション〉と呼ぶ。でもどちらにも少し問題がありそうだ。

攻撃的コミュニケーションも消極的コミュニケーションもどちらもあまりおすすめの言い方ではないのですが、どうしてかわかりますか? 

  • 攻撃的コミュニケーションは喧嘩になっちゃう。その人が怒ってしまいそう。 
  • 消極的コミュニケーションはたばこを吸ってしまうかもしれない。

二つの話し方の問題点に子ども達はすぐに気づいた。

友達との関係も壊れず、二人ともたばこ吸わないでいられるにはどうしたらいいのだろう?

  • たばこをすると背が悪くなっちゃうよという
  • 説得する
  • たばこの悪いところをいう

断り方には、3番目の方法として〈自己主張的コミュニケーション〉があることを教えた。ポイントは、次の3つである。  
1. きっぱりと
2. 何度も繰り返して
3. 理由を言う
ワークシートにもメモさせた。次に、二つ目のケースについて考えた。

ケース2 中学生からたばこを勧められた時

中学生の先輩から誘われたとき、どう断ったらいいでしょう。(   )の中を込めてみよう。

ケース2 中学生からたばこを勧められた時

仲のいい中学生の先輩が久しぶりに会うとたばこを吸っていて自分も誘われました。もうすぐ中学校に入学する私は悩んでしまいました。

先輩:おぉー○○、久しぶり。お前もタバコを吸わないか?

 私: (a)

先輩:1本くらい平気だって。おいしいから吸ってみろよ。

 私: (b)

先輩:何をいい気になっているんだよ。友達だろ俺達。

 私: (c)

こんなことは本当にありそうだ。(  )を埋めてから全員に発表してもらい、誰の断り方が説得力があるか手を挙げてもらった。みんながよいと評価したのは、次のものだった。
~その1~
 (a) いらないよタバコなんて
 (b) 吸うと病気になるからいらないよ
 (c) ぼくはタバコなんていらない
~その2~
 (a) いらない
 (b) 1本でもやめられなくなるからいらない
 (c) 友達でもたばこはまた別だよ
三人とも〈自己主張的コミュニケーション〉のポイント
 1. きっぱりと
 2. 何度も繰り返して
 3. 理由を言う
をしっかり押さえている。

最後にお正月に本当に起きそうなケースについて、養護教諭の先生の協力を得て考えた。

ケース3 親戚のおじさんからお酒を勧められた時

正月に親戚のおじさんからお酒を勧められたら、どうやって断ったらいいでしょう。

ケース3 親戚のおじさんからお酒を勧められた時

叔父:おー○○君、大きくなったな。今日は久しぶりにみんなが集まった正月だ。まあ試しに一杯飲んでみろ。

叔母:あなた○○君は小学生でしょ。ダメよ。ふざけて飲ませては。

叔父:バカ、学校じゃないんだからわかりゃしないよ。さっ、飲んでみろこれが付き合いというものだ。飲んだらお年玉をやるぞ。

叔母:仕方がないわね。(と容認する)

これもまた本当にありそうなケースだ。教師が何人かを誘ってみた。「先生、目が恐い」と言われながら迫真の演技である。たいてい、酔っぱらいは恐いもんだ。しかし子ども達は、はっきりと何度も繰り返して断わることができた。あとは本番の正月に断わるだけとなった。

授業の感想を教えてください。

  • 聞かれたときはドキドキして、いつかこういう時がくるかもしれないから気を付けたい。きっぱり、何度も、理由を言うという三つの大切なことを忘れないようにしたいです。
  • たばことかを勧められて、先生だったから断ったりしたけど、仲良しの子に言われたら、困ったりするかもしれないし、お酒を勧められて酔っぱらっている人は恐かったりするから、お酒やたばこは断わる。
  • 知ってる人や仲のいい人に誘われたら、煙草は体に悪いけれど吸ってしまうことはあるかもしれないから、いくら仲のいい人でも誘われてしまったら、キッパリと断りたいと思いました。
  • 先生に言われたときはすごく緊張した。断わるのは楽だと思っでいたけれど大変だった。お正月にもし言われたら断りたいです。
  • 僕はこんなこと書いたけど、実際にいえるかどうかさえわからない。三つの約束をしっかり守って、言ってきた人を納得させたいと思いました。
  • 今は“やらせ”だから上手に断われたけど、正月になったら親戚の人たちに飲まされるかもしれないからいい勉強になりました。
  • 断わるにはいろいろな断り方があることがわかりました。

3 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

4 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

5 編集後記

相手が小学生であっても、まわりの大人が安易な気持ちで飲酒や喫煙をさそってしまうことがあるでしょう。そうしたときに、自分の意思で身をまもる技術を早い段階から学んでおくのは非常に大切なことだと感じました。教師がさそい役になることで、見知った相手でも断れる練習になります。

しかし授業の感想では、相手が仲良い友達だったら吸ってしまうかもしれない・実際に言えるか分からない、などの不安な声がまだまだあったので、3つのポイントにそって、繰り返し授業を行うことが必要だと感じました。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 澁川万結子)

コメント

コメントはまだありません

    より良い実践のためには、あなたの励ましや建設的な対案が欠かせません。
    ログインして、ぜひコメント欄をご活用ください。