大学入試実績を伸ばすためのアクティブラーニングの授業(国語)

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作成者:Jun Nonakaさん

個を伸ばし、集団を伸ばす国語の授業—聖光学院方式の問題演習(アクティブラーニングによる大学入試対策).pdf

1 個を伸ばし、集団を伸ばすための大学入試問題演習

「アクティブラーニングでは大学入試に耐えうる学力が身につかない」と考える方もいるようです。たしかにアクティブラーニングだけではダメかもしれませんが、アクティブラーニングでも大学入試に耐えうる力は身につきます。

というよりも、アクティブラーニングをうまく取り入れることで、大学入学後に備えた学力のみならず、大学入試のための学力を高め、進学実績を伸ばすことも可能です。

詳細は↑PDFファイルを見て頂きたいのですが、ここにその一端を記しておきます。

2 センター型入試問題演習の概要

教材は大学入試センター試験の過去問を使います。

授業を進める手順は、おおよそ以下の通りです。

  • 1)本文を省いた問題部分(選択肢問題)のプリントを配布する。
  • 2)設問をざっと読みながら,小説の基本的な設定を説明する。
  • 3)本文を朗読する。
  • 4)解答用紙に自分の解答をマークさせる。
  • 5)朗読した小説の本文を配布する。
  • 6)4~5人のグループに分ける。
  • 7)新たな解答用紙を配布し,グループで話し合ってグループの解答をマークさせる。 
  • 8)答え合わせをする。

 
個人用のマークシート用紙には50点満点の配点をあらかじめ印刷してあります。

また、グループ用の解答用紙では配点を倍にして、100点満点の数字を印刷してあります。

個人で点数が伸びなくても、グループで満点をとれば、十分に挽回できる条件にすることで、生徒の意欲を引き出すためです。

100点満点で選択肢一つが14点とか16点になることも、私の勤務校の生徒たちにとっては、気持ちを奮い立たせる手助けになります。

3 誤答が正答を駆逐する

さて、センター試験の過去問が教材なので、経験的に正答率の低い問題がいくつか含まれていることがわかっています。

そのために上記のような演習をすると、興味深い現象が起こります。

朗読を聞いただけで解答するというのはかなり難しそうに思えますが、注釈をはさみながらゆっくり読んであげれば(問題にもよりますが)、最初に個人で解答をしたときに5~15%ぐらいの生徒が満点を取ることができます。(結果は最後まで知らせませんが)

ところが、話し合いをしてグループとしての解答をマークさせると、満点だった生徒の意見が通らずに、ほとんどのグループが満点を取ることができません。

グループで話し合うと、正しい意見が消滅し、間違った意見が採用されることが多いのです。

なぜそういう現象が起こるかと言うと、グループの話し合いが話し合いとして機能せず、空気を読んで多数決で決めるという方向に流されがちだからです。

話し合いをする前に個人で解答をしていますから、話し合いの最初に高校生がやることと言えば、「何番にした?」と尋ね合って互いの解答を確認することです。

「3番にしたけど…」「私も3番」「わたしも!」となると、自分の解答の如何にかかわらず他の2人も3番という解答に引きずられがちです。

「2番だと思ったんだけどな…」と言う生徒がいたとしても、もう1人が「3番か5番で迷って5番にしちゃった…」などと発言すれば、解答の良し悪しを論理的に検討する前にグループとしての解答を3番にしてしまうという方向に流されてしまうのです。

しかし上記の問題が正答率の低い問題であったとすると、じつは3番ではなく2番が正答である可能性が高いはずです。

そういう正答率の低い難しい問題を多数決で決めてしまえば、グループとしては確実に不正解の方向に流されて行くわけです。

結果的に、個人としては満点を取れている生徒がいたとしても、グループの話し合いを経て解答をまとめると、すべてのグループが満点を取れなくなってしまうのです。

誤答が正答を駆逐してしまうわけです。

4 ディープラーニングをめざして

満点のメンバーがいたのにグループで満点にならなかったり、正解を選んだ生徒がいたのにその答えをグループとして採用できなかったりしたことを第2時の授業で伝えます。

その上で、どうしてそうなってしまったのかを考えさせ、教師の口からも説明します。

そのあと、間違いが多かった選択肢について、解説をほどこしていきます。

そのような授業をした後で、日を改め、今度は朗読をせずに、通常の問題演習と同じように問題を解かせてマークシートを提出させた上で、グループでのマークシートの解答を作成させます。

2回目以降の演習では、おのずと話し合いの質が高まります。

グループでの話し合いを通して、自然に学び合いが繰り広げられ、本文を読解する能力や選択肢を吟味する能力が高まっていきます。(ほどよい難易度の問題を選ぶことが前提になりますが)

このような演習では、教員の解説も、正答を導き出せないグループが多かった設問にしぼり、じっくりと時間をかけて行うことができます。

大学入試において重要な位置を占めるセンター試験の得点を上げるための問題演習が、同時に話し合いのスキルを磨く授業としても機能するわけです。

もちろんこうした授業は、大学入試のためだけのものではありません。

こうした授業からは、「難しい課題に直面した時に、周囲の空気を読むことばかりを考え、単純な多数決で事を進めると、間違った道に進んでしまうリスクが増える」という教訓を得ることもできます。

記述問題でも同様の演習を行いますが、詳細はPDFファイルをご覧下さい。

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