1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
かけ算との出合いを印象深いものにしようと、次のようにおこないました。
(発問1) 人間の体の中で、一つしかないものは?
この質問に対して、「えー?」「クイズみたい」などと戸惑っていましたが、いろんなものが子どもたちから出されました。
・口 ・鼻 ・頭 ・顔 ・へそ ・のどちんこ
・ちんちん ・心臓 ・おしりの穴・おなか ・脳みそ
おしりの穴が出たときは、教室中が大騒ぎになりました。ちんちんが出たときには、「先生、私ちんちんなーい」と女の子が叫んでいました。
(発問2) 人間の体の中で、2つあるものは?
もう考え方が分かったので、「ハイハイハイ」と子どもたちは一斉に手をあげます。
・目 ・鼻の穴 ・耳 ・手 ・足 ・おっぱい
・ほっぺた ・唇 ・おしりの分かれ目 ・肩 ・き○○ま
子どもたちはどんなことを発言したら笑いが取れるかを知っているので、手の上げ方にも自然と力が入ります。「おっぱい」で「キャー!」、「おしり」で「キャー!」、「き○○ま」では「ギャハッハ」。子どもはこんな話題が、大好きです。
1つ、2つについては、こんなふうにすぐに出されました。体の中に5つあるものについても、手の指、足の指が出ました。この後が、子どもたちにとって少し難しくなります。
(発問3) 人間の体の中で、3つあるものは?4つあるものは?
あれほど騒がしかった教室が、ぴたっと静まり返りました。この答えは出ないだろうとただ尋ねてみただけなのですが、しーんと静まり返っています。頭の中をフル回転させているようです。やがて手が挙がり、意見を聞いてみると
- 3つのもの:指の骨が曲がるところ(関節)、手にある線(生命線・頭脳線・感情線)
- 4つものの:指の中で、同じ方向を向いている指の数(親指以外の指)
これを聞いて「うーん」と唸ってしまいました。言われてみると確かにそうです。しきりに感心したあとで、かけ算の話に移りました。
(発問4) ここにおへそを1個ずつ持った子が4人います。おへそは全部で何個でしょうか?
すぐに「四個」という返事が返ってきました。そこで、本当に4個なのかおへそを出して数を数えました。
式を 1×4 と書きます。
同じ要領で、口は 1×4
目は 2×4
手は 2×4
と進んでいきます。その度に、数が合っているかどうか実際に確かめていきました。「では次の問題です。おしりの穴が~」「ギャハッハ」「さあ、それじゃあ、出してもらおうかなぁ?」と私がつぶやくと、捕まっては大変とばかり、逃げる子どもは必死です。「おっぱい」や「おしり」のたびに大騒ぎになったかけ算との出会いでした。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
学び始めは子どもたちが躓きがちなかけ算。子どもたちの楽しめる方法を通じて、苦手意識を抱かないように学ばせることができる実践です。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 小川雄大)
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