裁判所のしくみと働き2~もしあなたが裁判員になったら~(シリウス)

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

◎裁判員制度とは

 裁判所の見学に出かけたとき、裁判所の職員から裁判員制度について簡単に説明があった。裁判員制度は平成21年度から、導入されている。

その特徴は、

  1. 20歳以上のすべての人が対象で、抽選によって選ばれる。
  2. 裁判官3名、裁判員6名の構成で、判決を行う。判決は、有罪か無罪か、刑はどのくらいかを決める。
  3. 意見が分かれた場合は多数決で決める。裁判官も裁判員も同じ1票とする。
  4. 扱う刑事事件は殺人・強盗など、社会的に関心の高い事件で、第1審の地方裁判所で行う。

というものである。

◎実際に判決を考えてみよう

①傍聴した裁判の場合

さて授業では、この裁判員制度について簡単に説明をしたあとで先日の裁判について、自分が裁判員だったら、どんな判決をするか考えさせた。

「あなたが裁判員だったら、どんな判決にしますか。班の人と協議して決めるよう。」

 傍聴した裁判の場合、検察は懲役2年、弁護人は執行猶予を求めていた。各班で評議したところどの班も有罪であり執行猶予は班によって違うが、1年~3年という判決となった。

実際の判決はどうなったことだろう。傍聴した裁判の判決について電話で問い合わせたところ「傍聴以外には、一般の方にはお教えできない」ということだった。

②法務省作成のビデオの場合

次に、法務省が作成した「裁判員制度」という啓発ビデオ見た。次のような内容で、悩む裁判員の様子が描かれている。前半部分(評議1日目まで)を見終わったところで、

「あなたが裁判員だったら、どんな判決にしますか。班の人と協議して決めるよう。」

各班で評議した結果、各班とも有罪で執行猶予を1~4年つけた班と、懲役1年をつけた班に分かれた。どうしてそのような判決になったかを尋ねると、

  • 「刺すつもりはなかった」と言っているけど、刺して人を傷つけたことには変わりがないから。
  • 刃物を持ったところが悪い。誤って刺してしまったとしたら、牢屋に入れられるのはかわいそう、執行猶予をつけて様子を見て試す。
  • 被告人は態度がよい。被害者の態度は悪いけれど、刺してしまったのは悪いことだから。
  • 理由はどうあれ、包丁で刺してしまったのは悪いことだから。

このような評議をしたあとで、後半部分(評議2日目~判決)を視聴した。
子どもたちの判決はほぼ妥当な線であったようだ。

このようにして裁判員制度についてより深く理解することができた。

※参考資料

裁判員制度 あなたが裁判員だったら?

被告:会社員 男性

 近くのバーで酒を飲んでいたとき、間違ってぶつかり、女性の洋服をぬらしてしまった。そのため連れの男にいきなり何度もなぐられた。 被告が「謝ってもらおう」と家から包丁を持ってもう1度バーにもどった。2人が外に出て5秒ほどたったときに、連れの男の悲鳴が聞こえてきた。連れの男は、腹から血を出して倒れ、被告は包丁を持って立っていた。 被告は次のように述べている。「最初から刺すつもりはありませんでした。ただ謝ってほしかっただけです。もみ合いになっているときに、間違って腹に刺さってしまいました」 一方、被害者の男は「殺すつもりでいきなり刺してきた」と述べている。2人の言い分は、正反対である。 裁判では、被告は聞かれたことに丁寧に答え、態度も一貫している。しかし被害者の男の態度は悪く、裁判員たちの評判はよくない。

 検察官は懲役3年を求刑し、弁護人は執行猶予を願った。あなたが裁判員だったら、どうしますか?判決 被告は( 有罪 ・ 無罪 )  (               ) に処す理由

◎裁判員制度の学習をして思ったこと・感じたこと

  • 私が裁判員に選ばれたら、どうしようと思った。これは、いいこともあるけれど、悪いこともあると思った。ビデオ見たら、裁判員になった人は自信を持っていた。
  • いつか自分もやることになったらどうするのかなと、確かに普通の人の考えはみな違うからいいと思うけれど、言われた人はやっぱり嫌だと思う人もいるから難しい。
  • 裁判所はいろいろな話をまとめていてすごいなあと思いました。あと結論をつくり出すので、よく話を聞いてきるんだなあと思いました。

3 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

4 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

5 編集後記

制度が導入されてすでに6年経つ裁判員制度。きっとこれからも多くの人が裁判員を経験するでしょう。実際に裁判員にならないと分からない大変さはあると思いますが、実際に裁判員になったつもりで考えてみると、違った見方が出来るかもしれませんね。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 宮嶋隼司)

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