1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
弥生時代と縄文時代の大きな違いは、稲作と共同生活だといえる。この違いに気づかせるために虫歯からアプローチを図った。
発問1 縄文時代の人々は何%くらいの人が虫歯を持っていたと思いますか?
子どもたちは見当のつけようがないので当てずっぽうに数字を言った。
- 12%
- 20%
- 2~3%
- 15%
意見が出尽くしたところで、縄文人の虫歯の率は44%であることを告げた。
「意外と多い」といったところであろうか
発問2 では、弥生時代の人々は、何%くらいの人が虫歯を持っていたでしょう。
- 55%:縄文時代より増えたのは、お菓子や果物を食べたから
- 88%:甘いものを食べたから増えた。お菓子みたいのを食べたからじゃない
- 2~3%:米を食べたから
- 3~4%:お米を食べると虫歯にならないんだよ
子どもによって縄文時代より増えたと考える子と減ったと考える子と大きく2通りに分けられた。
縄文時代から時間がたって、弥生時代に虫歯を持っている人は約83%です。
発問3 なぜこんなに虫歯が増えたのでしょう。
子どもたちが着目したのは食べ物であった。
- 食べ物が増えたんじゃない
- 甘いものを食べたと思う→甘いものって何だろうな?
資料集を見ながら、こんなことに気づいた子がいた。
- なんか丸い団子みたいのを食べているよ
この丸い団子は何なのかを考えていった。同じページの絵などを見ると、米を作っている。この団子は米の団子ではないかと想像した。別の絵を見ていた子は
- 何か野菜をつくっているみたい
- そういえばお米で餅を作るし、クチャクチャかむと甘くなるよ
- 前理科でやったんだけど、お米でおもちを作るし、ご飯をかんでると甘くなるよ
- 建物も家らしいし、倉庫みたいのがあるよ
などお米を作って食べていたことに気づいた。縄文時代は貝など狩猟中心の生活だったのが、弥生時代になると稲作をするようになってきたのである。
ではなぜ、このように稲作をするようになってきたのかを考えた。
発問4 お米を作るのに1年はかかります。なぜこんなに水をまいたり、草を抜いたりする手間のかかることをするのだと思いますか
- 食べるものが足りないから
- 狩猟だと食べ物が少なくて死んじゃうから
- 季節によって木の実とかできないときがあるから。できた米をとっておいて食べる
- 寒いときは大変だよ。見つけたんだけど縄文時代の寿命は短かった。
など資料を見ながら米作りの良さに気づくことができた。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
今回の指導案では、弥生時代と縄文時代の違いを検討するという授業でした。稲作の発展を虫歯から導き出すというのは、なるほどなぁと感心させられました。また、授業内容も虫歯の比率を比較、検討した結果、食事情について子どもたちが他の授業でも学んだ内容が考察に活かされている素晴らしい授業だったと思います。小学校の先生は、他の授業との兼ね合いも考えた学びの成果を児童にもたらすことができるのですね。大変参考になりました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 坂本一途)
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