「孔子から学ぶ」 ~あなたの伝えたい論語~

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作成者:真帆 白川 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

この記事は2014年3月1日に朝日新聞の連載記事の「花まる先生」
で紹介されたものです。
船橋市立三山東小学校 室 正太郎 先生の実践です。

2 概要

5年生では伝統的な言語文化に親しむということで「春暁」や「静夜思」などの漢文を声に出して読み、簡単な内容に触れることができました。6年生ではさらに内容にせまりたいと考え、漢文の入門に適している「論語」を扱うことにしました。
論語の考え方は我々の生活に密着したものであり、内容は子どもたちにも十分通じるものです。この論語を通じて孔子のものの見方や感じ方を知るだけでなく、自分の日々の行動も振り返らせ、生き方そのものを考えさせたいと考えました。

言語活動としての論語

論語から学んだことを身近な事例に置き換えて、友だちに伝える文章を書く言語活動を設定しました。朝の15分(スキルタイム)で1年間通して実践しました。

•論語に親しむ論語への抵抗感をなくすために、論語の視写・暗唱を行いました。また、並行読書として論語に関する本を市内の図書物流を活用して集め教室に「論語コーナー」を置き、いつでも読めるようにしました。

•身近な事項に置き換えた文章を書く
書く活動を取り組むには、論語の内容を十分に理解し、主体的に自分の書きたい(伝えたい)ことを明確にすることが重要であると考えました。
そこで、『心をみがくことば 論語(八木章好著)』を教材として利用しました。この本は「現代の小学生が孔子から学ぶ」というものであり、マンガで描かれています。子どもたちは意欲的に読むことができるため、論語に対して自分の考えを持つことができます。また、自らの意図を明確にして書くことができます。

3 実践のねらい

学習指導要領の【伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項】には
ア) 親しみしやすい古文や漢文、近代以降の言語調の文章について、内容を大体を知り、音読すること
イ) 古典について解説した文章を読み、昔の人のものの見方や感じ方を知ること
と書かれています。また、それらを指導する際、「A話すこと・聞くこと」、「B書くこと」及び「C読むこと」を通して指導を行うと明記されています。
そこで、親しみやすい漢文として論語を選び、そこから学んだことを身近な事例に置き換えて友だちに伝える文章を書く言語活動を設定しました。自分の考えを明確に表現するためには論語について、よく認識する必要があります。そこで、論語に親しむ活動、内容を理解する活動を行ないます。学んだ多くの論語の中から自分が伝えたいものを紹介します。
(例)論語が実生活の中で生きている感動や、論語から学んだことなど。

4 内容

学習時間は基本的に朝の「スキルタイム(15分)」を利用しました。

1. 視写したり声に出したりして親しむ
まずは、声に出して親しむことを目標に「今週の論語」を決め、暗唱させます。また、並行読書として論語に関する本を市内から集め、教室の学級文庫に置きました。

・子どもの反応
暗唱しようと言っても、児童は意欲的ではありません。まずは、教員が論語を暗唱するのが大切です。昔の文章はかっこいいと思ってもらいます。「文章は短いから君たちでも、暗唱できるよ」と言ってあげます。暗唱ができた子どもを「暗唱名人」とし、名前を教室に掲示しました。そうすることで、暗唱に意欲的になり、論語を口ずさむ児童も出てきました。論語の内容を考えさせる前に、まずは暗唱をし、論語を体感で持ってもらうようにしました
暗唱できたかは、教員が児童ひとりひとりを確認します。論語は短いので、休み時間や給食の配膳中にも確認できます。先生の代わりに暗唱できているか確認ができる「暗唱名人」を決めることで、さらに暗唱への意欲につながりました。

2. 論語の内容に触れる
今まで暗唱してきた論語に対しての交流会を行ないました。子どもたちは「意外とためになる」、「わかる、わかるというものが多かった」、「おもしろい」など様々な意見が出てきました。
そこで、君たちだけで学ぶのはもったいないから他の人たちにも論語の素晴らしさを伝えていこうと投げかけ、クラスで「孔子名言集」の本を作ることにしました。1人で本を作るのは難しいので、1人1ページ(1人で1つの論語を選ぶ)を担当して本を作ります。まずは、教師の見本を見せて「作りたい」という気持ちを高めた後、それにはもっと論語や孔子の考えについて知らなくてはいけないので、「論語ノート」を個人で作成することにしました。
子どもたちはには与えられた論語や意味を視写し、「論語ノート」に記入したレーダーチャートや実際に自分に当てはまる経験などを書きます。その際、論語が難しいという先入観をなくすために、主人公が小学生のマンガを用いました。(『心をみがくことば 論語』国土社 八木章好著)今まで暗唱を行なった論語ばかりなので、配った際子どもたちは「お~これか」、「こんな意味だったのか」などと反応していました。同じ世代の子が様々な場面で失敗したり活躍したりする場面を通して自分の生活を振り返り、思い思いの文章を書くことができました。学んだ論語は教室に掲示していつでも振り返られるようにしました。

3. 伝えたい論語を書く
自分の書き溜めた論語を見直し、一番伝えたい論語を選びます。伝えたい論語とは、自分が納得したものや考えさせられたりしたものなので、「論語ノート」に記入したレーダーチャートや作文を参考にしました。

4. まとめる
出来上がった本は教室に置いて、読書の時間や空き時間を利用して自由に読ませました。まとめとして自分にとって論語とは何かを書かせました(論語に触れて変化したこと考えさせられたことなど)。その後も帰りの会などで暗唱を行い、声に出す活動を続けました。

リーフレット

次年度は論語を紹介する方法として、リーフレットを取り入れました。主な活動は先ほど書いたものと同じで最後の本にすることがリーフレットに変わっただけです。リーフレットは1枚の紙を折ってできるもので、開くにつれ自分の考えの核心を書けるので1人で論語について十分に語る(書ける)ことができます。教師の見本のリーフレット(4種類)を分析させ、特性を充分に理解した後に、どんな項目を書いたらいいのかを分析しました。4種類はそれぞれわざと形状を変えて書いているので、自分の考えを一番表現できるのはどれかの見通しも持たせます。出来上がった作品を交流することで、自分の考えをさらに深めたり、広げたりすることができます。読書や暗唱、書く活動や交流するなど論語を重層的に扱うことで様々な力を伸ばすことができるのでないかと考えます。

孔子から学ぶ ~論語をリーフレットで伝えよう~
http://edupedia.jp/article/5595e4dd96cb030000efa2d4

出来上がった作品の交流

•3人のグループを作り、論語に関するエピソードをディスカッションします。こうすることで、論語をなかなか理解できない児童も実体験をもとに理解を深められます。

•自分が推薦したい論語でディスカッションをします。自分の考えが人に伝わっているか話し合います。

•書いた「おすすめの論語の本」(次年度は「おすすめリーフレット」)を読み合います。同じ論語でも、人によって感じることや考えることが異なります。人の意見を知ることで、自分の意見を広げたり深めたりできます。自分が書くからこそ、他の人のものを見たくなるし自分と比較したいと思うのではないでしょうか。この交流方法では付箋を用いました。

黄色の付箋 質問してみたい
青の付箋 自分の考えが広まった
赤の付箋 新しく発見した
色で付箋の意味を設定します。付箋を用いることで、その後の交流が活発的になりました。子ども同士だけでなく、保護者からも論語で子どもと交流ができたという声を頂きました。

5 子どもの変化

暗唱 人前で声を出すことに抵抗がなくなりました。

視写 板書を写すのを嫌がる子どもがいます。視写をすることで、書くことの抵抗がなくなりました。

•心が育ち、自分を見つめ直す子どもがいました。また、子ども同士で論語を使って注意し合うようになりました。

6 成果

視写したり、暗唱したりすることで、古典作品を身近に感じることができました。普段書くことが苦手な子も「おすすめを紹介する」という目的がはっきりしていたので、意欲的に伝えたいことをまとめることができました。
また、論語の内容に触れることで、普段問題行動を起こしている児童が、客観的に自分の行動を振り返ることができたので、そのような行動が減ったのも事実です。

7 課題

5学年で漢文を扱うので、6学年で行なうことがふさわしかったのか、また並行読書として論語に関する本を置いたが、学習で行なった以外の論語を書いた児童はいなかったので折に触れて紹介する場面を設けるべきだったと思います。

8 実践者プロフィール

千葉県教員12年目 現船橋市立三山東小学校勤務 生徒指導主任 学年主任 吹奏楽部顧問 

•モットー  子どもたちが「早く学校に行きたい!!」と思うクラス作りをする。
•エネルギー源 子どもたちの笑顔とおいしい物を食べること。

9 編集後記

小学生にとって難しいと思われる「論語」を暗唱や視写を重ねて興味を持ってもらいます。そして、自分のエピソードをもとに「論語」の内容を理解してもらいます。子どもたちの意欲を出すために、子どもを褒め、楽しい時間になるように工夫していらっしゃいます。論語ノートやリーフレットで交流をすることで、理解を深めるだけでなく、コミュニケーションも取れるようになれるのではないでしょうか。
(編集・文責 EDUPEDIA 白川真帆)

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