事件や事故がおきたら①(シリウス)

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。

http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

私たちが毎日ご安心して暮らせるために、消防署や警察署があることを学習しています。警察官の仕事についての学習を始めました。

お巡りさんの仕事

子どもたちの知っている「お巡りさん」の姿について尋ねました。

「お巡りさんの仕事はどんな仕事か知っていますか」

  • 犯人を捕える。
  • 道を教える。
  • 事件の時に調べる。
  • パトロールする。

「これまでに見かけたお巡りさんはどこで何をしていましたか」

  • 朝、学校に来るときに横断歩道のところに立っている。
  • 犯人がいないかいろんな人の家に行って聞く。
  • 交番のなかで紙に何か写していた。
  • 家の周りをパトロールしていた。
  • 道路でルールをおちゃんと守っているかどうか見ていた。
  • 人に道を教えていた。
  • 迷子の子を助けていた。
  • 犯人を捕えたり、事件の場所を調べたりしている。
  • 事件のとき建物の中に入らないように、入り口のところで守っている。
  • 車に乗っている人に注意していた。
  • スピード違反を捕まえていた。
  • 交通事故で轢いてしまった人を逮捕していた。
  • 怪しい人がいないかテレビカメラで見ている。

次に、子どもたちが知っているお巡りさんの仕事を劇にして演じてみました。

3年生は劇が大好きです。警察官の仕事というのは劇にするのにちょうど良いようです。お巡りさんが出てきて何かするだけで、笑い声が起きます。子どもたちにウケたのは〈犯人を捕える〉〈事件の時に建物の中に入らないように入り口のところで守っている〉〈事件の場所を調べている〉でした。〈犯人を捕える〉では追う警官と逃げる犯人のはずだったのに、いつの間にか追いかけごっこになっていました。大笑いの劇の後、警官が誰を相手にしているのかを考えました。

「いろいろな仕事をそこの場所に悪い人がいるか・いないかで分けてみよう」
警察官=悪い人を相手にする、という固定観念がありますが、そうばかりではありません。完全な暮らしを営むには、その事前活動が必要です。仕事を一つ一つ分類してみました。すると悪い人がいないケースというのは、思った以上に多いことに気がつきました。

他にも、警察官の仕事で詳しく知りたいことを子どもたちに聞いてみました。

  • どうやって捕えるか。手錠をかけるとき。
  • 警察官は事件が起きたときに仲間に知らせていますか。事件は毎日おきますか。
  • 忘れ物はどうやって見つけていますか。
  • 何時から何時まで警察はやっているか。
  • 1日に何回パトロールするのか。
  • 普段はどんな仕事をしているか。

次に、子どもたちの身近なところにいる駐在さんの仕事について考えました。

「駐在所にいるお巡りさんの仕事はどんなことだと思いますか」

  • ノートに犯人の顔や特徴を調べている。道を人に教えている。
  • 事件の写真を外に貼っているところを見たことがある。
  • 事件の電話がかかってきたら、次のところに電話する。
  • このシール貼って下さいとうちにもきたことがある。
  • パソコンで何かを調べている。
  • 横断歩道で車を止めている。
  • 異常がないか見回してパトロールをしている。

そして、今度は駐在所のお巡りさんの仕事を劇にして演じてみました。
人に道を教えたりノートに何か記録したりするなど、想像したことを体全体で表します。

他にも、駐在所のお巡りさんの仕事の中でその場所に悪い人がいるかどうか見てみました。一つ一つの仕事を見ていくと、その場に悪い人がいるケースが一つもありませんでした。警察官は悪い人を相手にするという固定観念からすると矛盾します。

悪い人がいない場合はお巡りさんは必要がないのか尋ねました。
「学区のお巡りさんは、悪い人を相手に仕事していませんね。こんなまちのことをどんなまちということができますか。」

  • 安全なまち。

「私たちのまちは安全だから別にお巡りさんがいなくてもいいのではないでしょうか。」と尋ねると、下のように意見が分かれました。

〈いらない〉1人

  • 事件とか泥棒とかそういうのがないから。別にいなくてもいいと思う。

〈いる〉13人

  • もし、お巡りさんがいないと「へっへっへっここには人がいないぞ」と言って、泥棒が入ってしまうから。
  • お巡りさんがいると、泥棒も入ることをやめるから。

「事件が起きるかもしれないと言っているけれど、このあたりで何か大きな事件や事故があったことを聞いたことがありますか?」と尋ねると、全員が「聞いたことがない」と答えました。

「事件や事故がないのならやはり交番はなくてもいいのではないですか」と尋ねると、子どもたちは困ったような顔をしていましたが、やはりいると答えました。

  • 前に事故とか事件があったかもしれないから。

昔このあたりで大きな事故や事件があったのかについて聞いて調べてもらいました。

  • 七夕豪雨のときに川の土手が壊れて家の中に土砂が入った。
  • 昔農協の向かいが村役場だったけれど、そこが火事になった。
  • 山のところに飛行機が落ちた。死んだ人はいないらしい。
  • このあたりに泥棒に入ろうとした家があって、近所の人が来て未遂になった。
  • 隣の学区で畑の中から人の手が見つかった。畑の持ち主の人は眠れなくなってしまったそうだ。

「こうして出てきた事件を一言で言うとなんと呼ぶことができますか」と尋ねました。

  • 洪水
  • 火災
  • 泥棒
  • 人が死ぬ

大きな事件・事故が意見として出ましたが、他に駐在所でやっていることを考えさせます。すると、以下のような意見が出ました。

  • パトロール
  • 訓練
  • 何か調べる
  • 交通事故

そこで、「この中で警察が力を入れている仕事はどれか、ベスト3を予想しよう」と尋ねてみると。

  1. 訓練
  2. 泥棒
  3. 人が死ぬ

と、予想しました。「どうしてそのことに一番力を入れていると思うのですか」と今度は理由を尋ねました。

〈訓練〉

  • サッカーと同じで、練習しないと上手くならない。最初から強い人はいない。訓練をすれば、犯人を捕える確率も高くなるから。
  • 盗んだとき車で逃げると早い。犯人を捕えるとき、訓練していないと逃げてしまう。

〈泥棒〉

  • 商品を盗まれたら困る。盗まれないようにする。訓練にいくら力を入れても泥棒を捕えるときに力を入れないと捕まらない。
  • 泥棒は人を殺したりする。探して捕えないともっと人が死んでしまう。

〈人が死ぬ〉

  • 人が殺されたら、犯人を捕えないといけない。訓練より人が死ぬ方が悲しい。

「反対にあまり力が入っていないものはどれでしょう」と尋ねると、

  1. パトロール
  2. 何か調べる
  3. 交通事故
  4. 泥棒

という意見が出ました。

〈パトロール〉

  • あまり見かけたことがないから。
  • パトロールをしているけれど、そんなに本気でやっていないみたい。
  • 泥棒がいるかもしれない。そんなに無責任にやっていない。
  • 安全のためにやるのだから力を入れていない、なんてことはない。

〈何か調べる〉

  • 学校前の掲示板にも、犯人の特徴の紙が貼ってあったから力を入れていないことはない。

〈交通事故〉

  • 人が事故を起こすと怪我をするから。力は入っていると思う。
  • 事故になったらみんなが困る。やる気がないと事故が多くなる。

3 プロフィール

静岡県教育サークル
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

4 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウト アイデア事典」(明治図書出版 2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

5 編集後記

普段、意識しないとなかなか気づかない「お巡りさん」の仕事は、整理していくと本当に多岐に渡っているのだな、と改めて驚かされました。また、子どもたちが実施に目にしたことのある警察の姿に犯罪捜査や事故現場での姿を多くあげていることにも驚きました。「安全を守る」姿よりも「何かがおこってから」の姿の方が印象深く残っているのですね。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 栗林茜)

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