私たちのくらしと政治 12 ~ひどひど憲法を作ろう~(シリウス)

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作成者:Mana Hirano (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。

http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

前回の授業(https://edupedia.jp/article/560654d4bfc381eec7de25c4)では自分の好きな憲法を選びましたが、今回はひどい憲法を作ることにしました。

指示1
みなさんは、日本国憲法を気に入ったみたいですね。今日はひどひど憲法を作ってみましょう。日本国憲法の反対になるように考えて、これはひどいと思えるような憲法を作りましょう。 

子どもたちはこの呼びかけに大喜び。張り切ってニセ憲法作りに取り組みました。子どもはニセもの、まがい物の類が大好きです。さて、子どもたちが作ったひどひど憲法はどんなものでしょうか。

  • 全て国民は、個人として命令され、その命令に従い、国民の考えは何も取り上げられない。
  • 全て国民は平等ではなく、~社会的関係において差別される。
  • 必ず戦争をし、一生続けます。
  • 訴訟に関する手続きは、必ず一人でやること。
  • 借金するな、金のない奴は死ね。悪いことをしたら、とにかく死刑。
  • 憲法は自由を保障しません。
  • いかなる奴隷的な拘束を受けます。
  • 天皇の意見は、絶対に聞かなければいけません。
  • 全て国民は、個人として尊重されません。
  • 結婚は親の決めた相手以外とすることを禁ずる。両性の合意は関係ない
  • 宇宙に行った人は戻ってきてはいけない。
  • 天皇の言うことを聞かないと、天皇からの体罰を与える。

一つ発表されるたびに「ひどい」「ひどすぎる」の声があがりました。確かにこうしてみると、ひどいです。こうして一通り出たあとで、

発問1
実は、こんなにひどい憲法を持つ国があるのです。それはどの国でしょう。
 

この問いに子どもたちはびっくり。アメリカ、ドイツ、フランス…など、一斉に世界の国々の名前があがりました。どれもはずれです。

最後の方でヤケクソで「日本」と言った子がいました。
「正解です。日本は日本でも、いつの日本でしょうか?」
「昔の日本だ。」

昔の日本の憲法(大日本帝国憲法)に気づきました。資料集を見て、比較すると日本国憲法とずいぶん違うことがわかります。主権は天皇にある、国民の権利は制限がある、だと必ずしもいいものではないことがわかりました。こうして比較することによって、現在の日本国憲法のよさをより理解することができました。

      日本国憲法         大日本帝国憲法
 公 布  1946.11.3          1889.2.11
つくった人 国 民           天 皇
 主 権  国 民           天 皇
 天 皇  象徴として         国の元首、神
国民の権利 犯すことができない     制限がある
国民の義務 納税、勤労、教育      兵役、教育、納税
 戦 力  戦力は持たず、戦争はしない 軍隊を持ち兵役の義務がある
 国 会  衆議院、参議院       衆議院、貴族院
 内 閣  国会で内閣総理大臣を選ぶ  議会と関係なく内閣を作れる
 裁判所  国民の信任による裁判    天皇の名による裁判
 改 正  国民投票          天皇だけが改正できる

3 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス

1984年創立。

「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。

最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

(2015年1月時点のものです)

4 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

5 編集後記

日本国憲法と大日本帝国憲法の違いをわかりやすく指し示した実践です。
どのような価値観からみて「ひどひど憲法」なのかを考える時間を設けると、他国への無用な偏見を避けたり、基本的人権や民主主義についての理解を深めたりと、さらに社会科らしい学びが得られると思います。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 平野愛)

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