わにおじいさんのたからもの2(シリウス)

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作成者: delpippoさん

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

「わにのおじいさんのたからもの」という物語教材の学習に入りました。 ここ十数年、教科書に掲載されている読みごたえのあるお話です。漢字の読み、ノートに表紙のページなどを作ってから、第一次感想を取りました。また、クイズ大会、体育館での物語の場づくり、国語辞典での意味調べなど、多様な活動から物語の世界を子どもたちが学べる工夫をしました。子どもたちは、物語に出会ってどんなことを感じたのでしょうか?

4.おにの子に宝物をあげようと決心させたもの

わにのおじいさんは、これまでずっと守ってきた宝物をおにの子にあげることにします。
30文”きみにわしのたからものをあげよう。そうしよう”とおじいさんは語ります。このおじいさんがどうして宝物あげようという決心をしたのかについて考えてみることにしました。
 
最初に28~30文を読みました。すると、”心おきなく”に立ち止まった子がいました。こんなつぶやきが聞こえてきました。
”心おきなく”ってどういうことかな。(※青色=教師の発問/以下同様)
「読書百遍、意、自ずから通ず」と言いますが、なんとなく意味をとらえている子がいました。

  • 心配しないでということじゃない
  • 安心している

さて、おじいさんがおにのこに宝物あげようと決心したことを確認したところで、次のように尋ねました。
わにのおじいさんが”たからものあげよう”と決心させたものは何だったのでしょうか。証拠になる文を探してみましょう。
しばらく時間をとり、ノートに考えを書かせました。

  • 28文”きみはたからものというものを知らないのかい”おにの子が宝物を知らないから。
  • 宝物を見せようと思ったから。
  • 18文”きみかい、はっぱをこんなにたくさんかけてくれたのは” おじいさんにほおの木の葉をおにの子がかけてあげたから
  • 15文”おにの子が、そのあたりの野山を歩いて地面に落ちている方のおにの大きなはっぱを拾っては、わにのところへ運び、体のまわりにつみあげていきました”おじいさんにはっぱをかけてあげたから。

子どもたちの考えは、大きく分けると三つに分けられました。18文を中心とした <はっぱをかけてくれたから>説、28文を中心とした <宝物を知らないから>説 33文を中心とする <目でたしかめるといい>説です。発表をして話し合いをしました。

< はっぱをかけてくれたから > 18文前後

  • 18文で”おじいさんは優しくしてもらったし悪い人に奪われるとやだから
  • 16文”朝だったのが昼になり、やがて夕方近くなって、わにの体が半分ほどほおのはっぱで埋まりました”おじいさんの体に朝からずっとはっぱをかけてくれたからあげようと思った。
  • 18文はっぱで体を隠してくれたから。おじいさんは感謝している。

< 宝物を知らないから >

  • 28文おにの子が宝物を知らないから、宝物を見せてあげようと思った。
  • 28文”たからものというものを知らないのかい”と言っている。おにの子がやさしいからおじいさんは教えてあげた。任せられるじゃないかと思った
  • 28文おにの子が、宝物を知らないからわにのおじいさんは宝物というものを知ってほしいからあげた。

< 目で確かめるといい >

  • ”たしかめるといい”とあって、おにの子に見せようと思った。

< わにのおじいさんを殺そうとしている >

  • 24文”わしをころしてたからものをとろうとするやつがいるのでね、逃げてきたってわけさ”と書いてある。おにの子がわにのおじいさんを殺していないけれど、宝物を盗む人は、わにのおじいさんを殺して盗むから。

このような考えが出てきました。

  • 28文”たからものというものを知らないのかい”
  • 33文”たからものってどういうものか、きみのめでたしかめるといい”

と書くと、「つながっているね」という声が聞こえてきました。文章の関係性に気がついたようです。

5.おにの子が大変だったところ

わにのおじいさんに宝物のありかを教えてもらったおにの子は、宝物を探しに出かけました。しかし、この宝物はすぐに見つかったのでしょうか。このことについて考えてみることにしました。
おにの子は、宝物の場所まで簡単に行けただろうか (かんたん・たいへん) 
全員が < たいへん > だと考えた。
では、それが文中のどこからわかるのか? 
文の言葉を探すことにしました。多くの子が34文をあげました。
34文”おにの子は 地図を見ながら とうげをこえ けものみちを よこぎり つりはしをわたり 谷川にそってのぼり 岩あなをくぐりぬけ 森の中で 何度も道に まよいそうになりながら やっと 地図の×印の場所へ たどりつきました。”

  • おにの子はいろいろなところへ行った。
  • おにの子は森のなかで、何度も何度も道に迷いそうになった。
  • 34文に”やっと”と書いてある。やっとというのは一時間くらい時間がかかって大変だった。
  • ”何度も まよいそうになりながら”と迷っているから大変だった。
  • 森の中で何度も迷ったから
  • 崖をわたり川を越えて大変
  • 地図を見ながらとうげを越えけものみち
  • ”やっと”と書いてあるから長い時間がかかっている
  • けものみちを横切った
  • 谷川とか大変そうだから
  • ”つりばし”をわたっているから。つり橋は揺れるから大変。

Mさんの発言をきっかけに、おにの子はつり橋のほかにどんなところを通ったか探すことにしました。
おにの子が通ったところで、まだほかに大変だなというところがありますか 
34文をよく読ませると、まだほかにも大変そうなところが見つかりました。

  • とうげ:こえた
  • けものみち:横切り
  • つりばし:わたる
  • 谷川:沿って上る
  • 岩あな:くぐりぬける
  • 森の中:迷う
  • がけの岩場:たどり着く

時間がなくて発表できませんでしたが、Rは「”切り立つようながけ”も大変だと思う」とつぶやきました。
子どもたちの中からなかなか出てこなかったのが”とうげ”でした。おそらく言葉の意味がわからなかったのでしょう。
「とうげって何?」という声が聞こえてきました。そこで国語辞典を使ってみることにしました
二人に1冊ずつあったので国語辞典を使ってみましょう”とうげ”書いたページがあったら教えて下さい。
誰か一人が見つければ「○ページ」という声があがるので、そこにポストイットをはらせていきました。こうすることで学習の足跡が残り、やる気も出るのではないかと考えています

さて調べた言葉の意味は、
【とうげ】山などの坂道をのぼりつめたところ
【けもの】全身に毛の生えた4本足の動物
【つり橋】下から支えるものがなくて、綱などを両岸へ渡して作られた橋
【谷川】谷間を流れる川
【岩】大きな石、鉱物の集まり、岩石
【もぐる】身をかがめてものの下を通る

たくさんの言葉を調べることができました。低学年のうちから辞書に慣れておくのは大切だと考えています。
およその場所のイメージがつかめたところで、34文を黒板に書き、少しずつにしながら全文を覚えさせました。文章が全部記されたときは「ええ」という悲鳴に似た声が起きましたが、見ないでもいうことができました。
 
体育館で場づくりをしてみることにしました。
体育館にあるものを使って、とうげ、けものみち・つり橋・谷川・岩穴・森・崖の岩場を作ってみましょう
子どもたちはもう大喜びで、この活動に取り組みました。

3 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

4 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

5 編集後記

教師のなぜなのかという問いかけに対して、文章中から答えを見つけることで読解力をつける応答が続きます。その後は、おにが苦労した様子を一つ一つ答えたあとに、実際に体育館で、おにの苦労した世界を作ってみます。この活動を通して子どもたちは楽しみながら物語の世界に入り込み、その世界を生き生きと想像できたのではないでしょうか。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 河村寛希)

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