学級のまとめかた―子どもの内面から育てる―(立命館小学校 柳沼孝一先生)

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作成者:中原 瑞貴 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

立命館小学校の柳沼孝一先生に、社会科の授業や授業運営、教材研究などについて、インタビューを行いました。今回は、子どもへの指導の仕方と子どもの内面の育て方についてお伝えします。
柳沼先生の授業はこちらから(https://edupedia.jp/article/56a74a405aed04c4ed56a4b1)ご覧ください。

2 子どもへの注意について

①注意の大切さ

私は、子どもがちゃんとやらないと、かなり指導を入れるので、子どもは私をふざけるところと楽しむところのメリハリがあると思っているのではないかと思います。
注意や指導ができない学級は、荒れます。優しさの中に厳しさがある指導の方が荒れにくいです
学級系で一番難しいのは最初の出会いですね。出会いは子どもに面白そうな先生だとか、優しそうだとか、安心感を与えます。それから大体1週間くらいで決まりを決めて、子どもも「どういう先生かな」って様子を見る。そして、先生は、してはいけないことがあったときに叱る。周りの子どもも驚いて見る。そこで、してはいけないことがだんだんわかってきます。
だから、きちっと注意できない教師はダメだと思います。注意されるようなことを子どもも最初からわからないと思いますよ。少しずつラポール関係が取れてきて、何とか信頼関係ができたところで注意をすれば、子どもも自分のことを思ってくれているということがわかるのではないですかね。

②注意するときに気を付ける点

必ず自分が心掛けているのは、叱りっぱなしで終わらないことです。そのときは放っておいても、後で個別に呼び出して、好きで、期待をかけていて、なんとかしてほしいと思っているからきつく注意するっていう話をします。ただ、そのとき「もしかしたら先生が言っていたこと間違っていたかもしれないし、言いたいことがあれば話してごらん」と言って、子どもが言いたかったことも尋ねます。中には言いたかったことを聞いて、私から謝ることもあります。
全体の前で叱る場合は、本当に明らかにダメな場合だけですね。全体の前で怒るのはつるし上げるようですから。気持ちとしてはわかるのですが、子どもからすると、意図的じゃなくてどうしてもそうなってしまう子もいますからね。そのときは、個別に呼んで、必ず話を聞いてあげて、「そういうあなたを先生は一生懸命応援していくから、一緒にやろうよ」っていう風に期待をかけることが大事だと思います。

③指導と授業のメリハリ

指導はきつくしますが、授業は楽しくつくります。「こうしなさい」「書きなさい」「写しなさい」っていう授業だったら、子どもも「どうせ注意されるだけだから」と面白くない。「今日はどんなことが考えられるかな」「もっとこういうこともやってみたいな」という意識になれば、授業は楽しくなります。

3 学級が荒れないために

良い授業、良くない授業

学級系は今とても難しいと思います。楽しくやらなくちゃいけない。でも楽しいばかりでは、だらけてくる。しかし、だらけるからといって締めすぎると、子どもは学びから逃避してしまいます。
なので、根幹にあるものはきちっとした教材研究だと思います。「見てみ『たい』」「調べてみ『たい』」「やってみ『たい』」「発言してみ『たい』」というような、「たい」が泳ぐ学級は荒れにくいと思いますね。「たい」が泳がせられる授業で、それをどういう風に動かすかが教師の指導力。「たい」が泳ぐ授業をやっていれば、学級が荒れたり、注意したりすることはあまりないと思いますよ。荒れる学級は「しなさい」学級になってしまっていて、授業が面白くない。「書き『なさい』」「静かにし『なさい』」「黙り『なさい』」と指示するので、「たい」が泳がない学級になっていますから。
だから、私は「しなさい」っていうのはあえて言わないようにしています。

4 子どもたちの力を育てる

①自主性を育てる

子どもたちから、「〇〇をしてもいいですか?」って聞かれることがあるのですが、私は逆に「しないのですか?」って聞きます。私が学級系をするときに、してはいけないこととして子どもに伝えているのは、命(自分や他人の命)に関わることと、迷惑をかけることの2つ。それは止めます。その他のことで、「○○していいですか」ときかれたら、「それって誰かに迷惑かける?」という風に聞く。そうすると子どもはだんだん自主性が育ってきて、自分でどんどんやるようになっていきます。

②人間性を褒めて伸ばす

人間性を褒めることも大事だと思います。発言を褒めることはできても、その人間性をなかなか褒められない教師がたくさんいる。人間性を褒めるというのは、教師に限らず、人同士でも大切だと思います。例えば、「ブルーのシャツが○○さん似合っているよね」と言われるのと、「ブルーのシャツ、それいいですね。」と言われるのは、全然違う。「それをやっているあなたがすごいね」「あなたがすばらしいね」と言われるのは、やはり子どもだってうれしい。必ずしもそうはならないのだけど、そういうのを心がけて、褒めるようにしています。
心掛けていると、正答じゃなくても褒められます。昨日、うちの児童のある子が朝の会で、他の子に注意されたんですよ。注意された子はぶすっとしていたけれども、そこで私は、「今日は注意されたけど、明日違うことやってごらん、褒められるから。」とアドバイスしました。すると今日、注意されたことを改善していたんですね。周りからも褒められます。だって跳び箱とかでは、失敗したことができるようになったら褒めるじゃないですか。だからそれと同じく、失敗を繰り返すことも多々あるけれど、失敗の次にはその先(成功)がある

③前向きな姿勢を育む

前向きな姿勢を育むにはやっぱり小3が大事だと思います。
子ども育てるのは休み時間や授業外って考える人もいますが、学校生活の8割型は授業ですから、主体は授業で、優しい心や前向きな姿勢を育てなくてはいけないと思います。授業のなかでどうやって子どもを認め、称賛し、やる気を起こさせるか。
最近の若い先生や実習にきた先生で、授業とそれが別物だって考える人も結構います。でも私は、授業の中で人間関係や友達関係は育むと思いますね。
だから授業中に、「~さんが言ったことがわかる?」って普通の人は聞くのだけれど、私は「気持ちがわかる?」って聞くこともあります。算数の授業でも、「なんで○○さんがそういう気持ちになってやったかわかる?」って聞いたら、「わかる!」って答えてくれる。これは共感ですよね。「わかるんだ!じゃあ、ちょっと言ってみて。」とその子に振ってみると、「○○さんはこういう気持ちで言ったんだと思います。」と答える。そして、「どう?」って最初の子に聞いたら、当たっていた。また、「じゃあ、わかった人になんて言ったらいい?」って最初の子にいうと、「ありがとう」「こちらこそ」っていう会話が生まれる。「ありがとう」「こちらこそ」「またやろうね」っていうやり取りができますよね
休み時間も放課後休みも大事なのですが、基本は授業で繋いであげると、あたたかい授業ができる。生徒は誰も発言を否定しないので、「私も発言したいな」と思うのではないですかね。
また、私はある子が発表している途中で、「ストップ。じゃあ、~さんが次に何を言うかわかる人?」というように、ストップをかけて、他の子に発言を予想してもらうことがあります。「きっとこの次に○○さんはこう言うと思います。」と子どもは答える。違う場合でも同じ場合でも、どちらでもいいんですけどね。違う考えが出ても、「あなたは○○さんと違うこと考えたんだ、すごいなあ。」と言って認めながら、「でも、○○さんは違うこと言おうとしていたのね。じゃあ、続きを言ってごらん」と言って、また最初の人に戻す。相手の見方・考え方を自分のフィルターを通しながら見ると、相手が自分と同じようなことを考えているのか、違うことを考えているのかということがわかります。

5 実践者プロフィール

柳沼孝一先生
立命館小学校教諭
著書に、『授業の工夫がひと目でわかる!小学校社会科板書モデル60(明治図書 2014年9月)』『小学社会の授業づくり はじめの一歩(明治図書 2016年1月)』がある。

6 編集後記

自分自身の体験からも、注意する際に個別で呼び出すのは素晴らしい方法だと思いました。
また、授業を楽しくしながら、子どもを伸ばしていく心がけを先生はされています。現に、先生の授業ではたくさんの子どもたちの意見を聞くことができます。
ぜひ、先生の実践を試してみてください。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 中原瑞貴)

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