守るみんなの尾瀬を(細案)(シリウス)

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作成者: delpippoさん

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

6学年1組 国語科学習授業案

1 日 時 平成8年10月9日(水)第5時 6年1組教室

2 教材名 「守る、みんなの尾瀬を」

3 教材の目標

[関心・意欲・態度]

  1. 教材に対して自分なりの課題を持ち、関連した他の本を読むことができる。 

[表現]
1. グループの話し合い学習では、友達の考えとかかわりを持ち、自分の考えを話すことができる。
2. グループごとに学習した内容を、自分なりの方法でまとめ、相手に伝わるようにわかりやすく表現することができる

[知識・理解]
1. 尾瀬の自然を守るために、一生をささげた平野長靖の生き方や考え方を叙述に即して読みとることができる。
2. グループの話し合い学習を通して環境問題について自分の考えを深めることができる。

[言語事項]
1. 必要に応じて辞書を利用する習慣をつける

4 教材と子ども

1)教材について

自我に目覚めた小学校6年後期から中学時代に抱いた夢や希望は、人生の目標になることが多いです。この時期にある一つのことに情熱を燃やし、夢を追い続けた先人の人生の軌跡をたどることは、児童にとっても意義深いことです。伝記に描かれた人物との出会いは、児童のこれからの人生に新たな力を与え、人生観や世界観を築いていく上で大いなる指針を与えるでしょう。

本教材で取り上げた人物は、尾瀬の自然保護のために、一生をささげた平野長靖と、彼を取り巻く人々です。彼は世界的な発明者でもなく、大事業を成し遂げた人物でもありません。それだけに児童にとって、自然保護という地道な仕事にかける長靖の生き方を身近に感じることでしょう。

読書教材であるという点をふまえ、発展的な読書指導へと結びつけたいです。この教材を契機に「私たちは自然とどのようにつき合っていったらいいのか?」など、他の本も読みながら、自然保護について自分なりの考えを持たせていきたいです。

2)子どもの実態

表現活動(読む・聞く・話す・書く)について

【読む】 
文章を声を出して読むことに慣れていますが、物語文など心を込めた読み方ができる子が少ないです。図書館の貸し出しカードを調べると、借りている本に一人ひとりのはっきりした傾向(借りる本の偏り)が見られます。
Q1. 本を読むことが好きですか? (はい28/いいえ 7)
Q2. あなたは国語の授業が好きですか?(はい23/いいえ12)
Q3. なぜそのように思いますか?

  • 文章がめんどくさい
  • 意見を考えるのが大変(発表が苦手)
  • 漢字がわからない
  • 物語で考えるのが苦手

【聞く】
一斉学習よりも、班別学習の方が友達の意見を納得できるまで聞くことがで       きるので、授業がわかりやすいと感じています。
Q4. グループでの学習は、わかりやすいですか?    (はい35/いいえ 1)
Q5. それはなぜですか?

  • 一人ひとりの話がよく聞けて、聞き取りやすいから
  • みんなの意見がよくわかるから
  • よく話し合えるし、わかるまで説明してくれるから
  • 一人ひとりわかりやすく、ていねいに言ってくれるから
  • いつもの話し方で話してくれるからわかりやすい
  • わからないときに聞けるから、気軽に話しかけれる

【話す】 
自分のなりの意見は持っていますが、全員の前で発表することに緊張してしまい、挙手できません。反面、班別学習では、自分の意見を述べることができるので話しやすいと感じています。
Q6. 班別学習と一斉学習とどちらが話しやすいですか? (班別35/一斉 1)
Q7. それはなぜですか?

  • 気軽に話せる
  • 緊張しない、恥ずかしくない
  • 話したいことが上手に話せる
  • くわしく相談できる
  • 全員だとまとまんない
  • 意見を言う数が増える
  • 一人ひとりの話がよくわかる
  • 声がよく聞こえる

【書く】
行事などがある度に、感想をミニ作文の形で書いているので、ポイントを絞って考えを書くことに慣れています。
Q8. ミニミニ作文を書くのが好きですか?       (はい23/いいえ12)

3)児童の実態についての考察

アンケートをもとに、児童の意識を探った結果、次の4点が浮かび上がってきました。
a. 読書をすることは好きだが、国語の授業はそれほど好きではない
b. 一斉学習よりもグループ別の話し合い学習の方が、自分の意見を発表しやすい。
c. グループ別の学習の方が、わかるまで友達の話を聞くことができるからいい
d. 図書館から借りる本には、借りて読む本にジャンルの偏りが見られる。

5. 研修テーマとの関わり

研修テーマ : 友達と関わりを持ち、生き生きと表現する子
学年研修テーマ:全体を見通して、効果的に表現することができる

1) 研修テーマについて
子どもが主体的に取り組む授業をイメージしたときに、次のようなものが考えられます。

  • 自分の考えを言い合ったり、聞いたりする中で学習問題に対する考えを深めていく授業
  • やりたい、わかりたい、できるようになりたい等の意欲が見られる授業
  • 自分の内面から問いを発し、その解決を図りながら質的深まりを求めて問い続ける授業
  • 学習したことが教材の中にとどまらず、広がっていく授業

そして、このような授業を支えるためには一人ひとりの子供たちが、「友達とかかわり  を持ち、生き生きと表現できる子」であることが大事かと思われます。6年生では更にこの目指す姿を「ねらいをはっきりさせて、効果的に表現できる子」と設定しました。

2) 子どもに育てたい力
児童の実態を探っていく中で、上記(4.(2)児童の実態②) a.b.c.d. の4点が浮か  び上がってきました。そこでこの4点を子どもにつけたい力として、次のように考えました。
a. 与えられた一つの教材を徹底的に読み込む授業から、「読解+表現」「読解+読書指導」の授業をすることで、自ら問題意識を持ち、主体的に授業に取り組んでほしい。
b. 自分の「ことば」で考え判断したことを表現したり、自分の個性を「ことば」を通し   て生き生きと表現してほしい。
c. 子ども一人ひとりがお互いの感じ方や考え方をよく理解して、尊重し合ってほしい。
d. 本を読む楽しさを味わい、読書の幅をより広げてほしい。

3) 授業形態の工夫
子どもに育てたい力を上記の a.b.c.d. の4点にしたとき、これを具体化するために授  業形態の工夫を行いました。手だてとしては、次の3点です。

1. 班別学習(班ごとの話し合い学習)

班別の話し合い学習をすることによって、自分の考えをより表現しやすくするとともに、友達の考えをわかるまで聞くことができるようにしました。班別学習の良い点として考えられるものは

  • 気楽に自分の考えを話しやすい
  • 一人当たりの活動時間(学習時間)が多くなる
  • 個人の意識にあった学習をしやすい(個に応じた指導ができる)
  • 一斉学習に比べて表現する機会が多くなる
  • 教師の解を子供に押しつけずに、子供たちが納得できる答を見つけることができる
  • 友達の意見を、自分が納得するまで聞くことができる
  • 自分たちの力で答えを作っていくことができる(国語の場合)

2 ティ−ムティ−チング(TT)による指導

TTによる指導は班別学習の結果、必然的に生まれてきました。教師一人では、班ごとの話し合いが、何を問題点としどの文を検討しているのがわかりにくいです。そこで二人の教師により、班ごとの話し合いの経過をとらえ、一斉学習の中でその話し合いをどのように生かすか検討することができます。二人の教師の役割は

  • 教師は同じ役割で、班の話し合いの様子の経過を見守る。
  • 話し合いが脱線しかけたときには、学習問題にもどるようにアドバイスをする
  • 教師の解を押しつけるのではなく、子供自身の考えを十分引き出せるように助言する
  • どの子がどんな考えを持っているのか、個の表れを捉えることができる
  • 一斉学習の中で、どの班の話し合いをどのように生かすか検討することができる

3 複数教材を利用した単元展開

「読書は好きなのに、国語の授業はあまり好きではない」「図書館から借りる本には 一人ひとりジャンルの偏りがある」という実態をふまえ、より多くの本に親しみ読書生活の幅を広げるために、複数教材を使用した単元展開を構成しました。複数教材を利用することによって、子どもに次のような力を育てたいです。

  • いろいろなジャンルの本に親しませ、豊かな読書生活に誘う。
  • 自分にとって必要な情報を「集め・選択し・活用して」、自分の考えを発信させる。
  • 読みの着眼点を子どもに自分の問題として見いださせ問題解決的に学習に取り組む
  • 同じテーマを持つ他の作品を比べながら読むことで、教科書教材で学習した内容を更に深い意味を持って読みとることができる。

6.単元展開案(全9時:本時8時間目)

7.本時の指導
1) 本時の目標(8/9時)
これまで学習してきた伝記の読み方について学んだことを生かし、各自が読んだ物語の疑問点を出し合い、グループごと話し合うことでよりその教材について読み深めることができます。

2) 本時の構想
児童は「守る、みんなの尾瀬を」と同様年表を作り読み深めてみたいところを出し合っています。同じ疑問点を持つ者同士でグループを作り、その物語について自分たちで話し合っていきます。   

TTによる指導で、グループ内での個の表れを捉えます。グループの話し合いの様子を紹介する中で、全員で話し合いたい話題が出てきたら一斉学習をします。またこの時に教師が捉えた個の表れの中で、良い表れを一斉学習の中で生かします。

8.授業の視点
(1) グループ別の話し合い学習は、表現力を高めるのに有効であったか。
(2) 国語の授業で、TTによる指導は可能か?
(3) 他の伝記教材を読むことで、本教材の読みを深めることができたか。
(3) 本時の展開

3 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

4 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

5 編集後記

環境をテーマにした授業案を、関心・意欲・態度、表現、知識・理解、言語事項ごとに設定をし、子どもたちに伝えたいこと、理解してもらいたいことを考慮しながら、班別学習やティームティーチングの形式をとって伝えるなどさまざまなアイデアを駆使した授業案になっています。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 河村寛希)

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