昆虫のすみかと食べ物1―虫のからだとつくり(シリウス)

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

アリアリ大実験

昆虫についての学習を始めました。これまで昆虫採集でバッタやチョウを捕らえたり、昆虫のペーパークラフトを作ったりしてきました。

さて今回はアリについて取り上げました。昆虫を探して歩いていると、運動場の隅に多数のアリの巣を発見。少しほじってみると…。一つ一つ独立した巣だと思っていた穴は、横につながっていることがわかりました。

うまく掘っていくと、ちょうど迷路のように横につながっています。中には宮殿のような大きな広間もありました。穴は下の方に向かっているものもあります。穴の中に棒きれを突っ込んでほじほじしてしていたら、卵を抱えたアリがあわてて飛び出てきました。半分透き通った卵の中には黒い影が見えました。子どもたちは「赤ちゃんだ、赤ちゃんだ」と大興奮。アリさんたち、さぞ大迷惑だったことに違いないでしょう。

さて次の時間には、アリの体をよく見ることにしました。

アリを見たことがありますか。(はーい!)どんな体をしているのか絵を描いてみましょう。(※青色=教師の発問/以下同様)

改めてこう問われると、子どもたちは「はて?」といった様子。描かれた絵は、少しずつ違ったものになりました。

そこで外に出かけて確かめることにしました。でもアリは忙しく動き回っていて、なかなかじっと止まってくれません。

アリをじっくり観察するにはどうしたらいいと思いますか。

  • エサ

すぐに、エサという返事が返ってきました。嬉しいものです。
「何がいいと思う?」と尋ねると「砂糖」「食べ残し」という返事。そこで砂糖とチョコクッキーの食べ残しをまいて、もぐもぐしながら観察していると、すぐにアリが集まってきました。

よく見ていると、アリのよく通る道というのは決まっているようです。決して無闇に歩き回っているのではないことがわかりました。

アリを観察しながら、昆虫のからだの特徴について教えました。

昆虫のからだ

  1. 足が6本足は胸から出ている
  2. 頭・胸・腹の三つに分かれている
  3. 触角がある

昆虫のからだを観察して、わかったこと・思ったこと。

  • アリのことを勉強して、アリは本当に砂糖とかを食べるんだと思いました。すごく勉強になりました。
  • 私は最初に足が4本だと思っていたけれど6本だったので、びっくりしました。あと体は3つわかれていると聞いてそうなんだと思いました。
  • 虫と昆虫って何が違うかわからなかったけれど、アリを見て昆虫は足がだいたい6本だなと思いました。アリは甘いものなら何でも食べるのかなと思いました。
  • アリは真ん中に足が6本ついていることを初めて知って、よく見るとアリは塩をまいても持って行かないことがわかった。

このあと、砂糖・ハチミツ・塩などをまいてみました。ハチミツや砂糖にはすぐにアリが集まってくるのですが、塩はさっぱり人気がありません。虫めがねで見ているうちに、光が当たってしまいました。光がアリに当たると、熱さを感じるとアリはそそくさと逃げていきました。これも楽しい実験(?)でした。
 

生き延びるための知恵 

昆虫は生き延びるために様々な工夫をしています。そんな昆虫たちの生きる知恵を学んびました。

モンシロチョウの幼虫(アオムシ)は柔らかくてぷにぷにしていました。鳥に見つかったら逃げるのも遅いので、すぐに食べられてしまいます。敵に食べられないようにアオムシを改造するとしたら、どんな体に改造しますか。

子どもたちは、元になるアオムシの体に色画用紙などを貼り付けて、改造していきました。

こう見るとそれぞれに工夫があって面白いです。子どもたちはこうした改造をしたのですが、実際の芋虫もこれに近いことをしていることを写真で見せて知らせました。

次の時間は成虫の身の守り方について考えました。

ピンチ!ダークドラえもんにスモールライトで小さくされてしまいました。あなたはどうやって生き延びますか。 

悪者役のドラえもんに小さくされてしまったという設定にしました。昆虫が自分の身体と同じくらいの大きさだったらかなり恐いし、身を守ることも自分のこととして考えられるのではないでしょうか。

子どもたちの考えた方法は

  • 袋の中に入って隠れる。みんなの嫌いな匂いを出す。
  • 葉っぱを頭の上に乗せて化ける。手に鎌みたいなものをつけて相手を攻撃する。
  • 緑のジャージを着て葉っぱに隠れる。歯と爪を鋭くして自分の身を守る。
  • 草や石の色に合わせて隠れる、足を速くして走って逃げる。石を置いてこられないようにする。

このように、たくさんの方法を考えることができました。

そこで
自分たちが考えた方法で本当の昆虫に似ている方法がありますか。

子どもたちの考えた方法は、どれも実際の昆虫が採用しているものばかりでした

  • 袋に入る…ミノムシ
  • 臭い匂い…カメムシ、テントウムシ
  • 鎌…カマキリ
  • 緑のジャージ…バッタ
  • 石…アリ

「昆虫が身をまもるふしぎな力」(農文協)という本を読み聞かせて、昆虫たちの生き延びる知恵を知りました。

3 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

4 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

5 編集後記

実際にアリを捕まえて観察することで、昆虫のからだのつくりを、自分の目で確認して知ることが出来ました。また、昆虫の仲間が外敵から身を守る方法について、自分が昆虫だったらどうするか?という観点から考えてもらう手法がユニークで、子どもたちが楽しみながら想像する姿が目に浮かびました。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 河村寛希)

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