昆虫のすみかと食べ物3(シリウス)

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目次

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

パソコンを使って、バーチャル昆虫採集・口の大アップ写真を見よう

昆虫の部位に注目した授業を行いました。昆虫はその目的に応じて、器官を発達させています。着目したのは目(触角)、足、口です。
まずはプリントを使ったクイズを行いました。

昆虫クイズをやろう。この足は何をする足でしょう。足と仕事を線で結びましょう。(※青色=教師の発問/以下同様)

〈足の形〉と〈足の仕事〉〈口の形〉と〈口の仕事〉を線で結びました。よく見ると昆虫は口の形が違うのです。クイズの次に

パソコンで虫探しをしよう。自然の中に7匹の昆虫が隠れていますよ。

マウスをクリックして虫の居場所を探しました。虫が見つかると[写真といるところ]→[その虫の口の形]→[どんなものを食べているのか]のように画面が変わっていきます。ここでは口の形に特に注目しました。次に、

昆虫の口のアップ写真を見てみよう。

電子顕微鏡でとらえたチョウ、アブ、ハンミョウなどの写真を、インターネットを使って見ました。余りに大きくリアルなので、子どもたちはびっくりしていました。「気持ち悪い」との声も。

昆虫の口を見てわかったこと

  • モンシロチョウは普通のままに見るとかわいいのに、アップにすると気持ち悪い。モンシロチョウの口はクルクルしている。アメンボの口はちょっと太くて長かった。昆虫によって違うことがわかった。
  • いろいろ昆虫は食べるものによって口が違うことがわかった。
  • ハンミョウの口に牙みたいなものがあった。それで獲物をとる。ハンミョウの口に小さな毛がある。
  • モンシロチョウとチョウの口が違っていたことがわかった。アリの口にとんがったところがあって、それとまるいところもありました。すごいと思ったのは口が根っこみたいな口もありました。
  • ウロコアリは肉食性です。丸い尖ったギザギザしている斧みたいな牙を持っています。僕はアリがなんで肉食性かと思いました。あとアリは肉食だったんだなと思いました。

昆虫の口と食べ物は関係があるか

昆虫のことを調べてみるといろいろなことに気づきます。触角のことや目のことなど昆虫の不思議さに子どもたちは疑問を思っていました。今回はその中でも特に頭に注目しました。

昆虫の頭を見て気が付いたことはありますか。 

  • 口の針みたいのが強そうです。なぜ触角が長いのか。(カミキリ)
  • 虫の液を吸う口をしている。(アメンボ)
  • クワガタの下べらは小さい。(クワガタ)
  • 大きなあごが強そうですごい。(クワガタ)

口のことがいくつかあげられたので、さらに昆虫の口に注目しました。

昆虫の口と食べ物は何か関係があるだろうか。

全員が〈関係ある〉と考えました。
〈ちょっとだけ関係がある〉5人

  • 他の昆虫は食べ物が違うかもしれないから。
  • クワガタはミツをなめるから。口の形がちょうど良い。

〈とても関係がある〉

  • 虫は食べる種類があるから。木にいる虫はミツとかを食べるから。
  • 食べないと死んじゃうし、そうすると虫はいなくなっちゃうから。

子どもたちは〈関係がある〉と考えましたが、このことについてもう少し深く見てみることにしました。昆虫は食べ物に合わせた口の形をしています。
そこで

食べるときに口はどんなふうに動いてものを食べますか。

この質問だけでは難しかったので「飲み物を飲むときにはどんな口をする?」「固いものを食べる時にはどんな口をする?」など、実際に口の形を真似しながら確認をしていきました。
口の形と食べ物を一覧表にまとめました。

そこで今度は

自分が調べた昆虫の口は、〈吸う口〉〈噛む口〉〈なめる口〉のどれになるか考えて、表の中に分けてみよう。 

これまで調べた昆虫カードを手に、その昆虫の口はどんな口をしているのか、班ごとに相談して決めていきました。テントウ虫やハチなど分かりにくいものもありましたが、その時には昆虫の食べ物を見て判断させました。

こうして班ごとの一覧表ができたところで

自分たちが調べた昆虫カードを口の働きごとに分けて黒板に貼ろう。

カードをずらっと貼り出していくと、口の働きごとに分かれているのが分かりました。
分類ができたところでもう一度最初の問題を考えてみました。

昆虫の口と食べ物は関係があると思いますか。

  • 大切な口が変わるとすごく食べにくくなって虫が困るし、食べられなくなってしまう。バッタとかは草をかじるのにちょうどいい口の形をしている。すごく複雑だし口が違うと食べられないから死んでしまうかもしれない。
  • かむ虫もいるし、すう虫もいるし、なめる虫もいるから虫と人間は違いがある。すう虫は可愛い感じ。かむ虫はカッコイイ感じ。なめる虫は強い感じがする。
  • 虫には自分だけの口をそれぞれの虫が一つずつもっている。
  • 虫はこんなに違いが見られるのはあまり知りませんでした。ちょっとなら知っていたけど、もっと知るようになったから嬉しかったです。

3 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

4 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

5 編集後記

パソコンで見たい情報を子どもたちに探してもらったり、カードを作成したりと、昆虫の口の形を調べることに様々な角度からアプローチすることで、飽きずに授業を楽しんでいる様子がうかがえます。
また口の形をただ調べるだけでなく、食べ物と人間の口の動きを昆虫と関連付けて、自分たちで考えて分類することで、昆虫の口の役割がすんなりと理解できたのではないでしょうか。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 河村寛希)

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