教科書をすらすら音読できない児童に適した学習

32
目次

1 はじめに

みなさん、こんにちは。東京都葛飾区の現役教師の鈴木あづみと申します。
週に1度小学校で指導をしておりますが、普段は未就学から小学生までのお子さんを対象にした個別指導による療育の教室個別療育塾ありあんちを運営しております。

2 ご紹介する内容の概要

通常の学級へ新1年生として入学してくる頃にはある程度文字を読むことができていたり、中には長い文章でもすらすら読めるお子さんがいます。
その一方、もうすぐ2年生へ進級するお子さんの中には文字を1字1字追って読むということがやっとだ、という児童もいます。

すらすら読みが難しいお子さんに長い文章を音読させるというのは非常に酷なことですが、音読は「練習あるのみ」であることもまた事実です。

文字を1字1字追っているお子さんはどうのような指導が必要なのか、その1例を考えます。

3 指導方法

今回ご紹介するケースの児童は「すらすら読み」が難しいということのみが前提です。行の読み飛ばしなどはございません。

どうしてすらすら読めないのか

私たちがすらすら読める理由を考えてみましょう。
まずは以下の文字を読んでみてください。
  
  すわにぎせけずりぎしきにんちぼち

みなさん、すらすら読めましたか?

さて、ここで「どうしてすらすら読めないのか」、つまり、どうして1字1字辿って読んだのかを思い返してみてください。

その理由は「文字があべこべに並んでいるから」です。
「トマト」「あいさつ」「とけい」など、知っている文字の並びなら簡単にすらすら読めるのです。でも、初めてみる文字の並びだとすらすら読むことは困難なのです。

ここで大事なポイントは以下の通りです。
○知っている文字の並び=文字の並びを写真のようにインプットしている
○初めてみる文字の並び=文字の並びをまだインプットできていない

どのような学習で補うべきか

先ほどのワークで、すらすら読みが難しい児童は文字の並びを覚えていない、ということがお分かりいただけたと思います。
そこで、このような児童への学習方法として考えられるのは、単語の並びを覚える学習です。

以下のような、ひらがな(またはカタカナ)のカードを用います。

まずは、児童にカードを見せて一字ずつ読むように指導します。それから指導者が複数枚のカードを持ち、フラッシュ式(紙芝居のようにカードを抜いて新たなカードを出していく方法)で児童に読むように促します。
これを繰り返し練習します。

なぜ仮名なのかというと、漢字表記にしてしまうと漢字1字を見ただけで何を表しているのか予想が付いてしまうからです。それを防ぐために仮名表記にします。
ちなみに、漢字の読みが苦手だという児童に対しては漢字のフラッシュカードが有効でしょう。

慣れてきたらこんな学習も!

以下の画像のように、最後または最後に近い文字を変えてバリエーションを増やします。

動詞や形容詞、形容動詞などは覚えるバリエーションが増えることですらすら読みがでより快適になるかもしれません。

4 プロフィール

教師/児童発達支援管理責任者 鈴木あづみ

小学校で3年間通常の学級の、10年間特別支援学級の担任を務める。療育を学ぶため退職し、療育機関で約1年間応用行動分析を学ぶ。
その後、自宅で発達に心配のある未就学から小学生までの子どもと家族のための療育の教室を開業。その傍ら、学校の感覚を常に持ち続けたいという思いから葛飾区内で巡回指導員として勤務。

○個別療育塾ありあんちHPはこちら
○ありあんちのメールマガジン【ありあんちめるまが】配信中!
マイベストプロ東京に掲載中

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次