子供が自分から整理したくなる道具箱の工夫

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小学生までの個別指導による療育塾を開いている現役教師の鈴木あづみです。
年度はじめということもあり「道具箱の整理」について考えてみました。

目次

1 概要

整理整頓が得意でない児童の机の中は、使いかけの鉛筆や100点のテスト、はたまた紅白帽子などがまるで洞窟の奥深くに眠る宝物のように眠っています。

「先生、引き出し(道具箱のふたや本体)が閉まらなくなっちゃった」
「持ってきてるはずなのにない」
などという訴えも子どもたちの方から上がってきてしまいます。

また、整理整頓の能力があるというのに指導の工夫をしていないために「できない子」と勘違いされているお子さんもいらっしゃることだと思います。

今回は「子供が一人でできる!道具箱の整理の仕方」について考えてみましょう。

2 道具箱の整理ができないのは子供のせい?

一斉指導で道具箱の整理の仕方を教えたはずなのに、なぜか学習しない子どもがいる、と感じたことは学級担任であれば誰もがあるでしょう。
実際に私もそうでした。

これを「保護者のしつけ」のせいにしてしまう人もいますが、それは少し考えてみてください。
保護者は道具箱の中身を用意することはできても、道具箱の上手な使い方までは教えることができません。なぜなら、子どもは毎日使うのに、道具箱は学期に1度の持ち帰りです。そして、道具箱自体、学校で必要があるために用意するものなので、保護者にも使い方を説明する必要がありますが、それが成されていないのです。
道具箱の整理整頓ができるようになる、というのも教師の仕事だと個人的には思います。

3 口頭で伝えても難しい

担任が対象児童に道具箱を整理するように指示するとします。
恐らく口頭での指導、しかも1回限りの指導になってしまう可能性は高いでしょう。
さらに、毎日毎日口頭で忠告していると、どうしてもお互いが疲れてきます。
そしてそのうち「まぁいいか」となってしまう危険がありますし、そうでなくても年齢が上がれば上がるほど「自分で考えて整理しなさい」と言われてしまう訳です。

これは整理整頓スキルを持ち合わせて、あるいは非常に少なく持ち合わせている子どもにとっては辛いことだと思います。

4 写真とラミネーターを活用して「整理シート」を作成しよう

こちらの画像をご覧ください

道具箱に入れる道具の写真を1枚ずつ撮影して、ほぼ実物大になるようにします。
そして道具箱に入れた状態に写真を配置します。

上の画像でいえば、左側が1段目、右側が2段目用です

5 実際に道具を入れてみたら

まずは道具箱の底に1枚目のシートを置きます。必要に応じてセロテープなどで貼り付けてください。ただし、あとから剥がせるものが良いでしょう。

そして、子どもが道具の写真に合わせて道具を置いていきます。

1段目は最終的にこのようになります。

次に2段目です。

既にお気づきだと思いますが、シートの下部は透明になっています。ここには何も置かないということと、これから増えるかもしれない道具のスペースを確保しておくためです。

道具を入れるとこのようになります。

このような工夫で、子供の「できた」を増やすことができるのです。

6 執筆者紹介

教師/児童発達支援管理責任者/上級心理カウンセラー 鈴木あづみ

小学校で3年間通常の学級の、10年間特別支援学級の担任を務める。療育を学ぶため退職し、療育機関で約1年間応用行動分析を学ぶ。
その後、自宅で発達に心配のある未就学から小学生までの子どもと家族のための療育の教室を開業。その傍ら、学校の感覚を常に持ち続けたいという思いから葛飾区内で巡回指導員として勤務。

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