防災教育ワークショップ~災害時の灯りを何とかしよう!~

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目次

1 はじめに

この記事は2016年5月8日に行われた熊本・大分震災チャリティイベント内の防災教育ワークショップ「EDUPEDIAとみんなで考える防災教育2016」のコンテンツとして行われた内容を、家庭・学校・地域で活用できるコンテンツとして再構成したものです。

2 参考資料・テキスト

この授業では参考資料・テキストとして東京都が発行している冊子『東京防災』を使用します。『東京防災』は下記のURLで閲覧、プリントアウトすることができます。

2.1 『東京防災』を使うときの注意事項

『東京防災』を使用するときは、必要最低限のイラストや文章しかないことに注意しましょう。授業者(教員・指導員)はイラストや文章を事前によく確認して、イメージ通りに指導できるかどうかチェックしておくことが必要です。

「防災ブック「東京防災」(206ページ)

また、学校教育用に防災ノート「東京防災」も公開されています。小学校、中学校、高校版がありますので、各校の状況に応じて活用できます。

【リンク】防災ノート「東京防災」

3 テーマ『災害時の灯りを何とかしよう!』

この授業のテーマは災害時の灯り(あかり)です。「灯りなんて後回しでもいいじゃないか!」と思うかもしれませんが、大地震等で自宅が停電したり、夜間に避難所や公園などへ避難しなければならない、車中泊・テント泊しなければならなくなったとき、懐中電灯やランタンなどの灯りはとても大切です。
私たちは夜間でも光があることに慣れた生活をしています。足元や目の前が暗かったら、スイッチを入れればいいだけです。でも、災害によって停電し、そのスイッチを入れても電気がつかなかったら、そして懐中電灯など灯りになるものが何もなかったらどうなるでしょうか。足元や目の前は真っ暗なまま、どこに何があるか分からず、何かを探すことも、身動きすることも、助けを呼びに行くことさえできなくなってしまうのです。
懐中電灯はもちろんですが、避難所や車中泊、テント泊などでは長時間その場所にいることになるため、固定して身の回りを明るくしてくれるランタンが便利です。この授業では、懐中電灯とペットボトル、水というどこにでもあるものを使って、ランタンをつくってみます。

3.1 防災教育ポイント

学校の授業などで行う場合は、作業に取り組む前に「もし、日常生活から灯りがなくなったら…」という課題について、考える時間を持ちます。児童生徒に、自宅や避難所、屋外にいるときに「真っ暗」になってしまったら、どんなことが心配か、どんな危険があるかなどを考える時間をつくるのも良いでしょう。また、停電時に活用できる様々な灯り(懐中電灯、スマートフォン、ライターなど)や、それぞれの長所や短所などを考えさせるのも効果的です。

3.2 参考指導案

指導案はExcelでダウンロードして、自由に編集・再利用してください。

災害時のあかりを何とかしよう!指導案

4 ペットボトルランタンのつくりかた

[1]ペットボトル2本、懐中電灯、ハサミ、ガムテープ(養生テープ、ノリ残りしにくいテープ)を用意します。1本はそのまま、もう1本は飲み口部分を切っておきます。

[2]飲み口を切ったペットボトルに懐中電灯を入れます。こうすることで、懐中電灯を立てて置けるようになります。懐中電灯がペットボトルより大きすぎる場合は、1.5Lや2Lのペットボトルを使いましょう。逆に小さい場合は、350mlなどでも代用できますが、あまり小さい懐中電灯だと灯りが弱くなります。

[3]今回はペットボトルより懐中電灯が大きくバランスが取りにくいので、スイッチを入れた状態でガムテープ(養生テープ)で補強しています。

[4]周りを暗くすると明るさが分かります(懐中電灯の明度にもよります)。

5 ペットボトルランタンづくりのコツ、工夫

・懐中電灯、空でキャップ付きのペットボトルを2本、ハサミ、ガムテープで作業します。
・一本のペットボトルの中に懐中電灯をいれ、もう一本には水をたっぷり入れて、懐中電灯が入ったペットボトルの上に重ねます。
・うまくバランスがとれない場合は、ガムテープで固定したり、ペットボトルのサイズを調整したりします。
・懐中電灯は「前方」を明るくし、遠くを見通すことができます。ただし、手に持つことが前提なので、身の回りを照らし続けたり、長時間使うことが難しいという特徴があります。
・ランタンは「周囲」を明るくし、置いて使うことが前提なので、長時間身の回りを明るくできるという特徴があります。
・どこかに避難するために移動する時や、持ち歩くときに懐中電灯は役立ちます。
・ただし避難所やテント、車中で生活しなければならいときは、手で持つ懐中電灯は不便です。身の回りを明るくできて、置くことのできるランタンが役立ちます。それぞれの特徴を確認しておきましょう。
・ペットボトルにマーカーで絵を描いたり、模様をつけたりすると、鮮やかなランタンになります。

6 おわりに~“当たり前の日常”の大切さに目を向けて~

そもそもですが、灯りの必要性や特徴をよく考えて、懐中電灯とランタン、ケミカルライト(ライブなどで使う、折ると光るライト。電気や火を使わず、ガス漏れなどの危険があっても安全に使える)などを災害に備えて事前に用意しておけば、それが一番なのです。ここで紹介しているのは「もし便利な道具がなかったとしても、あきらめずに考えて、工夫して、課題をのりきってほしい」という願いを込めての紹介です。当たり前のように使っている電気や灯りが、当たり前に使えることがどれほど私たちの生活を支えてくれているのか考えることも、大切な防災対策であり、防災教育なのです。

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