名簿の覚え方(岡篤先生)

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目次

1 はじめに

本記事は、岡篤先生のメルマガ「学級開き603号~605号」から引用・加筆させていただいたものです。

学級経営の前段階として重要な名簿の覚え方、覚えることによるメリットなどを紹介していきます。

岡篤先生のメルマガはこちらを参照ください。→http://archive.mag2.com/0001346435/index.htm

2 実践内容

■学級経営の基礎作業

子どもと出会う前、あるいは信頼関係ができる前、もっというと信頼関係ができなかったときでも、担任としてできることが「学級経営の基礎作業」と考えています。あえて、「作業」という言葉を使ったのはそういう意識があるからです。

もちろん、担任として子どもとの信頼関係は重要です。授業が指導の大きな要素であることも間違いありません。しかし、この基礎作業も意外と馬鹿にできないものがあります。例えば、掃除と時間管理は子どもとの関係とは別のことです。授業でもありません。それでもこの2つがいい加減だと学級経営によくない影響があることは容易に理解いただけると思います。この2つは基礎作業だけに継続が大切です。そこで私は、基礎作業の内容を天地人と呼んで忘れないようにしています。天地人とは

  • の時
  • の利
  • の和

の3つです。

そのうちの「」で春休みにできることとして、名簿を覚えるということがあります。

■「さかのぼりくり返し」

「学級経営の基礎作業」として、名簿を覚えるということがあります。私は記憶力が悪いので、子どもの名前を覚えるのも一苦労です。そこで、できるだけ春休みのうちに名簿を覚えるようにしています。

漢字の反復練習は、さかのぼりくり返しと呼んでいるやり方です。例えば、山川日水月という漢字を1日に1字ずつこの順番で指導するとします。その場合の宿題は以下のようになります。

1日目は、山を指導したので「山」

2日目は、「川山」、川を指導したので川から始め、さかのぼって山も書く。

3日目は、「日川山」

4日目は、「水日川山」

5日目は、「月水日川山」

となります。実際には、熟語で書いたりノート1ページ分を指示したりということがありますが、原理としては上の通りです。

名簿を覚える場合も、さかのぼりくり返しの原理を使っています。クラスが決まったら、名簿を印刷しポケットに入れておき、隙間時間に上から5人ほどを覚えます。覚えられたら次の5人です。ただし、1番から順に10人が思い出せるかどうかが重要です。次は、11番から15番で、1番からではないので「さかのぼり」ではありませんが、覚えた分を復習しながら進むという意味では同じ発想です。名簿を覚えたら毎日想起します。名簿を毎日思い出すようにするのは忘れないようにするためです。名前と共に出席番号も覚えてしまうと何かと便利です。

また、始業式で子どもと出会った後は、名前と共に顔を思い浮かべるようにします。すると、脳の中ではその分、子どもと出会っていることになります。

■実践に対する思い

ここからは私の持論ですが、結構ずれていないのではないかとも思っています。人間、いつも一緒にいる人と疎遠な人とではどちらに親近感を抱きやすいでしょうか。他が同じ条件ならば、やはりふだん身近な人でしょう。その方がその人のことがよくわかっているからです。では今度は、自分が相手に対して親近感を抱いている人と、そうではない人を考えると、どちらが自分の話を受け入れてくれる可能性が高いでしょうか。これも、自分が相手に対して親近感を抱いている方が相手も同じように感じてくれる可能性が高く、その分話も聞いてくれるはずです。

毎日の教室ではどの子も公平に扱うことは原則です。しかし、同じ言葉数だけ会話しているかというとそういうわけにはいきません。積極的に教師に声を掛けてくる人やよくも悪くも目立つ子には声を多めにかけることになりがちで、逆に大人しく、特に目立つこともない子との会話は少なくなりがちです。どの子も伸ばすことをめざすと、当然そういう子も伸ばす対象となりますし、そういう子も目立つ子と同じように理解し、手立てを考える必要があります。とはいうものの、現実は忙しいし、つい…というのが私の実態です。そこでせめてもの行為として、4月のうちは毎日名簿と顔を想起するようにしているわけです。

3 執筆者プロフィール

岡 篤(おか あつし)先生
 1964年生まれ。神戸市立小学校教員。「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(略称学力研)」会員。硬筆書写と漢字、俳句の実践に力を入れている。

4 書籍のご紹介

『読み書き計算を豊かな学力へ』2000年

『書きの力を確実につける』2002年

『これならできる!漢字指導法』2002年

『字源・さかのぼりくり返しの漢字指導法』2008年

『教室俳句で言語活動を活性化する』2010年

5 編集後記 

今回は誰もが1度は苦労したであろう「名簿を覚える」ことについてのテクニックをお送りしました。いかがでしたでしょうか?

私も他人の名前を覚えるのは苦手なので、このような方法があったならもっと早くに知りたかったです。

ちょっぴり時期違いではありますが、目からウロコの「さかのぼりくり返し」。試したくて来年の春が待ち遠しいという人もいると思います。ぜひ次の機会にご活用ください。

(文責・編集 EDUPEDIA編集部 藤田湧真)

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