道徳・自分の意見をもつために 「原爆について考えよう」

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目次

1 <はじめに>

5月27日(金)は、オバマ大統領が広島を訪れるという、歴史的な日になりました。この機会に、原爆について日本人が考える機会を持つと同時に、出来事には様々な意見があるということを考えて欲しいと考えて、この授業をしました。

2 <指導目標>

1、 相手の意見を聞いて、複数の視点から問題を考えようとする態度を育てる。
2、 原爆を巡って様々な議論があったことを知ることで、これから戦争がない世の中にできるように考えていくことが重要であるということを実感する。

3 <準備するもの>

1写真
・ オバマ大統領の広島訪問の写真
・ 原爆投下の写真
・ アメリカ人の原爆投下に関するアンケート
・ ホノルルマラソンの写真
(以下パワーポイントの写真をそのまま印刷すれば用意できます)

2パワーポイント
写真と同時にテレビで見せられるようにパワーポイントでも写真を掲示できるように用意をしておく。

○道徳パワーポイント.pptx

3ワークシート

○ワークシート.docx

4プリント「アメリカ人の考え」

○アメリカ人の考え.docx

4 <授業の流れ>

⑴「めあて」の提示

今日のめあては、「自分の意見をもてるようになろう」です。

⑵導入

オバマ大統領の写真を見せる(パワーポイントでも示す)
この人を知っていますか?
→「アメリカの大統領」「オバマ」など答えてくれる。

最近このオバマ大統領が日本に来ました。なぜ来たのか知っている人はいますか?
→「広島に来るため」「原爆のあった場所でしょ」と知っている子が答えてくれる。

そうですね、オバマ大統領は原爆の使われた土地である広島を訪問をしました。
→原爆の写真を見せる。

では、なぜ広島で原爆が使われたのか知っている人はいますか?
→「戦争でアメリカ軍が攻撃するために使った」「たくさんの人を攻撃するために使った」

そうですね、この原爆が使われた第2次世界大戦について少し説明します。

第2次世界大戦は、1941年12月8日にハワイのホノルルという場所にある真珠湾を日本軍が攻撃して始まりました。その後、戦争が続くにつれて、戦いは激しさを増していきました。そして、アメリカは一つの武器の使用を決めます。
それが原爆です。1945年8月6日広島に原爆が落とされました。どうなったと思いますか?
→「たくさん死んだ」
何人くらい亡くなったと思いますか?
→「5千人」「1万人」「10万人」
原爆の爆発で、およそ14万人と言われています。その時の広島の人口は42万人だったと言われています。そして、原爆は人間の体に害のある放射線というものを出すので、爆発の後もその影響で苦しんで多くの人が亡くなっていきました。爆発後5年でさらに6万人ほど亡くなったので、最終的におよそ20万人の人が亡くなったと言われています。
→子どもたちはおどきを隠せない様子でした。

そして、三日後、今度は長崎にも原爆が落とされました。死者は約7万4千人と言われています。

1945年8月15日、日本は戦争を続けられないと判断して、降伏しました。
この日が戦争が終わった日として、終戦記念日となっています。

さて、今の話を聞いて、みなさんは原爆についてどう思いましたか?
→「ひどいと思いました」「とても怖い話だと思いました」「ちょっとひどすぎると思いました」

⑶問題①

意見にもあった原爆に関して「ひどい」と思う日本人は多くいます。さて、ここで原爆を使用した国のアメリカでは、原爆についてどのように感じているかアンケートが行われました。その結果がこちらになります。
(パワーポイントでテレビに映した。拡大コピーでもよい)

原爆投下は正当化できる?
日本人
できる14% できない79% わからない7%
アメリカ人
できる56% できない34% わからない10%

という結果になりました。
日本の意見とは大きく違う結果ですが、みなさんはどう思いますか?意見をワークシートに書いてみましょう。
→「正しいことだと思っている人が多すぎて驚いた」「ひどいことをしてるのに信じられないです」「なんでこう思ったのか知りたい」

⑷めあてのふりかえり

ここで今日のめあての「自分の意見を持とう」という部分を思い出してください。今、みなさんの答えを黒板に書きましたが、これが原爆に対する意見ということでいいですか?
→「そうです」と子どもたちは答える。

ではこの答えはみなさんの意見ということですが、実は正しい意見とするには足りないものがあります。なにかわかりますか?
→少し考えさせたが、でてこなかった。

まだみなさんは、なぜアメリカの人がグラフのように考えたのか、理由を聞いていません。相手の理由を聞かないで勝手に判断するのは、いい意見だと思いますか?
→「思わない」と口をそろえる

⑸問題②

いまから原爆に対するアメリカ人の考えを聞いてもらいます。(この意見は私が大学時代に日本に留学してきたアメリカ人の友達に聞いた話です。)そして、聞いた後にもう一度みなさんに原爆について感じたことを書いてもらいます。

アメリカ人の意見を紹介する
(パワーポイントで紹介する)

アメリカ人の考え
「原爆を落としたのは、確かにひどいことだと思う。けれども、日本は原爆を使わなければ、もっと戦争を続けて、もっと犠牲者を出していたと思う。原爆は戦争を終わらせて、その後の犠牲者を減らせたんだから、仕方ないことだよ。
正しいか、間違いか、と聞かれたら、正しいと思う。

でも、僕たちは原爆を仕方ないと思っているけど、悪いことをしたと思っている。だから8月には広島にも長崎にはいかない。アメリカが日本の広島の人にしたことを思えば、とても行けないよ。

ちなみに、12月8日のハワイのホノルルでホノルルマラソンが行われるんだ。日本人も毎年たくさんの人が参加するよね。でも、70年以上前の12月にこの場所で日本人は真珠湾攻撃をして戦争を始めたんだ。多くのアメリカ人を殺してね。

君たちは真珠湾攻撃を悪いことだとは思ってないのかい?」

パワーポイントで紹介後、文章に起こした紙も児童に配布した。

これが実際のホノルルマラソンの写真です。(PPT)
・ホノルルマラソンは12月の初めに行われる。
・毎年、2〜3万人の参加者がいますが、その内、約半分が日本人なのは有名です
・真珠湾攻撃による死者数は約2400人だそうです

では、みなさんアメリカ人の方の考えを聞いてどう思いましたか?
→「日本人も悪いと思った」「どっちが正しいのか、わからなくなった」「言いたいことはわかるけど、正しいことだったと言われると違うと思う」
全体的にどう考えていいのか、わからないという意見が多くなっていった

⑹まとめ

最初は、原爆の話とアメリカの方へのアンケートを見て、問題①のような意見を持ちました。そしてその後、アメリカ人の方の話を聞いて問題②のような意見がでました。
みなさんはどちらの方が良い意見だと思いますか?
→問題②の方とみんな答える。

どうしてですか?
→「アメリカ人の考えがわかったから」「相手の考えを聞いて考えた意見だから」
そうですね、では意見をもつときに大事になことはなんですか?
→「相手の話を聞くこと」

では、まとめを書きます。
→ワークシートにまとめを書かせる。

今日の感想を書きましょう。
→ワークシートに感想を書かせて、発表させる。

⑺最後に

「意見は、数字、表、データなど、相手の考えがわからないもので判断すると、偏ったものになる可能性があります。これからみなさんには相手の考えを積極的に聞いて意見をもてる人になって欲しいと思います。」と言って終了した。

(8)板書

5 <おわりに>

相手のことを考えるという主題だったので、アメリカ人の意見に対して深く追求はしなかったが、ここからの派生として、

◆ アメリカ人の若者は原爆を正しくなかったと答える人が増えていること
◆ オバマ大統領の広島での演説
◆ オバマ大統領の訪問に対する、日本人の反応、アメリカ人の反応

などの話し合いや討論へつなげる展開もできると思います。

私たち日本人は二度と戦争を起こさないためにも、戦争や原爆について考え続けなければいけないと思います。その一つの手段として、この授業を参考にしていただければ幸いです。

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