評価・評定をエクセルで「ダイレクト」「確実」に算出する ~ 算出方法について【教育事務ファイル】

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目次

1 現状とは違った方法

現状の評価・評定は国立教育政策研究所は平成16年(2004年)に
「学習評価の工夫改善に関する調査研究」
が基になって各自治体の委員会等が指針を出しています。ところが、この方法で評価を出すにはいくつかの課題があります。
これに関しては、

評価・評定をエクセルでダイレクトで確実に算出する ~ 評価の現状と課題

で詳しく書いていますので、ご参照下さい。
学習評価の工夫改善に関する調査研究」を基にしたABCを丸めて「3・2・1」を導き出す方法とは違った、各素点の合計値を出しながら算出する方法について、以下に提案してみます。算出用のファイルの中にも具体的な説明がありますので、併せてお読みください。

評価評定算出エクセルファイルは、こちら↓からダウンロードしてください。最初はややとっつきにくいかもしれませんが、慣れてくれば簡単に思えてくると思います。

評価評定算出ファイルと説明ファイル2020.zip

上記ZIPファイルは2つの算出ファイルと説明ファイルからなります。

2 観点別学習状況の評価及び評定を各素点から算出する方法について

あゆみと指導要録の観点別学習状況の評価(以降、観点別評価)・評定は、素点(※1)の総和から算出する方法も考えられます。国立教育政策研究所が示すようなA・B・Cに統括しつつ、あゆみや要録の観点別評価・評定を行う方法とは別に、素点よりダイレクトに観点別評価・評定を行う方法を以下のように例示してみます。評価者が行うことは大まかにいうと次の3点です。
① カッティングポイント(※2)を設定する。
② 素点を集めて記録する。
③ 素点ごとに重み付けを行う。

●●● 以下の記事は、2019年度までの4観点から評定をつけていた時について説明しています。2020年度以降の3観点となった現在でも、同じことがいえると思います。

(1)重み付け

各素点に対して、150%をかけたり、70%をかけたりするなど、「重みづけ」を行います。テストの設問数は、その素点の重要度によって重みは変わってきます。また評定の算出時には各観点別評価に重みを付けるケースも考えられます。それぞれの素点や観点の特性を検討し、重みづけを行うことは必要に応じて行うとよいでしょう。

例えば上のような逆転現象が起こることがあります。4月に実施した跳び箱のテストと7月に実施した跳び箱のテストでは、7月の結果に重きを置くべきでしょう。このような場合には、4月のテストに低いパーセンテージをかけてバランスを図ることもできます。

(2)学期毎の観点別評価

例えば1学期の「技能」の評価は、図1の(ウ)の部分で算出します。各素点の満点データと各児童の得点から、達成率(※3)を算出します。「技能」のカッティングポイントを設定しておけば、達成率からコンピュータが各児童を「A・B・C」に割り振ることになります。

(3)学期毎の評定

1学期の評定は、図1の「(ス)=(ア・イ・ウ・エ)」で示された部分の素点の総計から達成率を算出します。「評定」用のカッティングポイントの設定により、コンピュータが各児童を「1・2・3」に割り振ります。同様に2学期は(セ)、3学期は(ソ)から算出すします。
1学期分の全素点から算出した達成率から評定を算出すれば、学期末の観点別評価が「AABB」「AAAC」のようになるケースで判断に迷う必要がなくなります。下の図の山本君と田中さんのような逆転現象は起こりません。

ダイレクトに素点から「A・B・C」「3・2・1」を算出すれば、上の図のように統括したA・B・Cのカッティングポイントの幅に観点別評価が左右され、達成率平均と評定結果の齟齬が生じるケースを防ぐこともできます。

全素点から「学期末の評定」を算出する方法は、このような利点があり、「学年末の観点評価」「学年末の評定」においても同様により公正な評価ができます。

(4)学年末の観点別評価

学年末は1~3学期の各素点の総合計から達成率を算出し、カッティングポイントの設定により各児童は「A・B・C」に振り分けられる。「関・意・態」は「(タ) =(ア・オ・ケ)」、「思・判・表」は「(チ) =(イ・カ・コ)」、「技能」は「(ツ) =(ウ・キ・サ)」、「知識」は「(テ) =(エ・ク・シ)」から達成率を算出します。カッティングポイントの設定により各児童は「A・B・C」に割り振られます。

(5)学年末の評定

学年末の評定は、1年間の総素点「(ト)=(ア)~(シ)」から達成率を算出し、カッティングポイントの設定により各児童は「1・2・3」に割り振られます。

(2)~(5)のいずれを算出する場合も、カッティングポイントや重みづけの具体的な値は十分に検討して定める必要があります。このエクセルファイルで数値を細かく変えて試してみることで、カッティングポイントの値が妥当なものであったのかどうかを振り返るのにも役立つと思います。児童や保護者に対して評価について説明責任を果たせるよう、慎重に設定してください。

※1:「素点」とは、学習指導要領に示す各教科の目標に照らして導き出された「数値」や「ABCDE等の記号」で表された評価をさします。小テスト・まとめのテスト・レポート・授業中の態度等あらゆる評価対象より算出されます。(記号ABCDEも最終的にはA=50・B=40・C=30・D=20・E=10等と、数値化します。)

※2:達成率の何%~何%を観点別評価の「A・B・C」、何%~何%を評定の「1・2・3」とするかの分割点を「カッティングポイント」とします。

※3:各自の得点の合計÷各素点の満点の合計×100=「達成率(%)」とします。

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