学級目標の立て方<前編>(岡篤先生)

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目次

1 はじめに

本記事は、岡篤先生のメルマガ「担任の3K労働~608号~612号」から引用・加筆させていただいたものです。

初めて担任になって不安を抱えている、そんな先生のために具体的な学級目標の立て方を紹介します。

岡篤先生のメルマガはこちらを参照ください。→http://archive.mag2.com/0001346435/index.htm

2 クラスの実態を知る

■子どもを知る

普段の指導で、活用できる学級目標にするためには、そのときのクラスの実態を把握しておく必要があります。例えば、すでにみんなが仲のよいクラスで仲良くしようという目標を決めても普段の指導で活用する場面はないはずです。もしかしたら、書く力を伸ばそうといった学習の具体的な目標の方が役にたつかもしれません。

■アンケート

子どもを理解するという場合、基本は観察になります。授業中、休み時間や、教師の前と、子どもだけのときなど、教師が直接目にしたことが重要なのは当然です。他に、アンケートを取るということもできます。どんなことが楽しいですか、どんなことが嫌ですかという問いに対する答えである程度分かる部分もあります。「ある程度」というのは、学年にもよるでしょうし、書かれたことが必ずしも本音だとは限らないということもあります。

■読み書き計算の力を知る

漢字や計算、音読といった基礎的な学力を確認しておくことも重要です。授業をしていれば、「この子は音読が上手だな」「漢字が全然書けないんだな」ということくらいは分かります。そこをできれば、1年生の漢字・計算の力から調べておくと指導の際にとても参考になります。やったことのある方にはこの意義が
分かっていただけると思います。前の学年だけでなく、1年生から、というところがポイントです。

3 学級目標を立てる

■学級目標を実質的なものに

学級目標にもどります。書いてきたように、正直なところ学級目標は書類上のものでしかありませんでした。しかし、今は違います。学級目標を上手に活用することで実践が効果的、効率的に進められることがわかったからです。

■教師の思い

私の職では、担当学年がわかるのは4月1日の職員会です。今は、まだ何年生の担当かわかっていないわけです。やはり、クラスが決まらないまでも学年がわかっていると何かとイメージしやすくなります。それでも、今の時点で考えていることは、作文力を育てたいということです。国語としての作文だけではありません。学習のまとめや機会ごとの振り返りなどにフル活用したいと思うからです。

■6年生の学級目標

学級目標とテーマの例を挙げて説明します。6年生を担任した年のことです。この年、私自身の課題として書く活動を重視しようと考えていました。その思いがあったので、できれば学級目標にも書く活動に関わるようなものを入れたいと考えていました。 

■子どもからの意見

その一方、高学年なので、子どもの思いも聞き出したいとも考えました。
「どんなクラスにしたい?」
と尋ねたところ
「楽しいクラス」
「仲のいいクラス」
といった意見が出ました。これはこれで本当の意見だとは思います。しかし、一年間を通じて、学級目標を目指し、活用していくには、もっとリアルで、本音に近い部分があった方がいいはずです。
「楽しいクラス」
「仲のいいクラス」
というのは、やや一般的過ぎるように思いました。学級目標といわれたら、こういうことを答えるものだと思っていたのではないでしょうか。

■時間をかけて様子を見る

そこで、もしばらく時間をかけることにしました。私も子どもたちのことをもう少し理解する必要もあります。それから、週に1回程度、クラスへの思いを聞く時間をとるようにしました。そんなときに、一人の女の子から
「みんなで遊びたい」
という希望が出ました。私は、子どもから意見が出たことがうれしかったので
 「それはいいね。」
と、時間をとることにしました。
「何をするの?」
「みんなで円陣バレーがいいと思います」
「じゃあ、そうしようか」
他の子たちにも話したところ、賛成しました。
「先生は後で行くから、先に始めといて」 
私は、職員室によってから運動場へ出ました。思ったより職員室での用事に時間がかかり、子どもたちが出てから10分くらい経って運動場に出ました。いきなり意外な場面に出くわしました。

<後編に続く>

4 執筆者プロフィール

岡 篤(おか あつし)先生
 1964年生まれ。神戸市立小学校教諭。「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(略称学力研)」会員。硬筆書写と漢字、俳句の実践に力を入れている。

5 書籍のご紹介

『読み書き計算を豊かな学力へ』2000年

『書きの力を確実につける』2002年

『これならできる!漢字指導法』2002年

『字源・さかのぼりくり返しの漢字指導法』2008年

『教室俳句で言語活動を活性化する』2010年

6 編集後記 

学級目標を立てるためには、まず教師がクラスの実態を把握しなければならないということが分かりました。難しいかもしれませんが、生徒の本当の意見、学級目標に反映させることはとても大切ですね。後編では6年生のクラスで一体、どんな問題が起きそれをどう解決したのか紹介します。ぜひ、ご参考ください。

(文責・編集 EDUPEDIA編集部 内山翔太)

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